2011年5月20日金曜日

2011 INDYCAR インサイド情報 R5 インディ500:エントリーにまつわるお金の話……装備の数に応じて2段階あるエントリープログラム

長いインディ週間を完全装備で戦うか、節約するか選択が可能
 インディ500を戦う際に選択できるエンジンとタイヤの使用プログラムは2種類ある。フルマンス・エントリー(フルプログラム)と、パーシャル・エントリー(ショートプログラム)などと呼ばれている。一般的なのはフルマンスの方。例えば、フルシーズン出場をしているチームは、全員がフルマンスで戦っている。というのも、エンジンの年間リース料金がフルマンスで設定されているからだ。パーシャルはいわば倹約バージョン。参戦可能な予算を下げて、少しでも多くのチーム、ドライバーに参戦してもらいたいという考え方の表れだ。
Photo:INDYCAR(Chris Jones)
 両者の違いで一番決定的なのは、エンジンの使用台数。フルマンスはプラクティス6日間と予選2日間で1基を使い、キャブレーション・デイ(ファイナルプラクティス)と決勝にもう1基を投入するが、パーシャルだとプラクティスから決勝までを1基で賄わないとならない。エンジンのリース料は、フルが150,000ドル(およそ1230万円)でショートは90,000ドル(およそ740万円)だ。
 タイヤ使用本数にも違いがある。フルマンスは33セットで、パーシャルは26セット。その差はエンジンに比べると小さい。タイヤのリース料(タイヤってリースなんですよ! 返却が義務付けられてるので)をファイアストンは公開していない。

 なお、プラクティス中の水曜の晩までであれば、「やっぱりフルマンスに変えて!」と申請することができる。新スポンサーを見つけて予算に余裕ができた場合など、思う存分戦えるフルに変えられるのだ。もちろん、新スポンサーを見つけてもショートで戦って儲けを大きくする……って考え方もあるが。
 今年のインディにパーシャル・プログラムで挑戦しているドライバーは11人いる。
・バディ・ライス(パンサー・レーシング)
・ポール・トレイシー(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)
・デイビー・ハミルトン(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)
・ブルーノ・ジュンケイラ(AJ・フォイト・レーシング)
・トーマス・シェクター(KVレーシングテクノロジー/SHレーシング)
・タウンゼント・ベル(サム・シュミット・モータースポーツ)
・ジェイ・ハワード(サム・シュミット-レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)
・ホー・ピン・タン(ドラゴン・レーシング)
・スコット・スピード(ドラゴン・レーシング)
・ダン・ウェルドン(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ/アガジェニアン)
・ピッパ・マン(コンクエスト・レーシング)

 スポット参戦でフルマンス契約なのは、バートラン・バゲット(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ジョン・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)、エド・カーペンター(サラ・フィッシャー・レーシング)の3人だけだ。
 ルーキーでパーシャルはいかがなものか……と思う。出場権を獲得する=ルーキー・テストを通るところまでで結構な周回数をこなさねばならない上、そもそも経験のない彼らは、ベテラン勢より多くの周回をプラクティスで必要とする。予選のシミュレーションにしても、ニュータイヤを投入したかったらタイヤのセット数は多いほど良い。こう考えると、ドラゴン・レーシングはルーキーをふたり走らせる体制で、そのふたりともがパーシャルで、どちらのルーキーもインディライツすら経験していない。ちょっと無謀な気がする。

 パーシャルでも助けを借りられるチームメイトにフルマンスで戦う人がいれば不利は少し減らせる。ドレイヤー&レインボールド・レーシングのように、フルふたり、経験豊富なドライバーがパーシャルでふたりというパターンはアリだろう。ハータのところというかウェルドンのところは、サム・シュミット・モータースポーツと手を組み、情報をシェアする作戦でパーシャルの不利を軽減しようという考えだ。ベルにとっても、アレックス・タグリアーニにとっても、インディで優勝1回、2位2回のウェルドンから得られるノウハウやデータは貴重だろう。
 ウェルドンとベルはガナッシ時代にチームメイトだった(インディ500のみで……だが)ことがあり、タグリアーニのエンジニア=アラン・マクドナルドは、アンドレッティ・グリーン・レーシング在籍期間がウェルドン、そしてハータと重なっている旧知の仲だ。

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