2012年5月12日土曜日

2012 INDYCARレポート:アレジ大幅にスピードアップ、ルーキーテスト第2段階を通過。Indy500出場可能まであと一歩

5月11日
天候:快晴
気温:24〜25℃

 ジャン・アレジのインディー500挑戦2日目は、初日より断然スムーズに進んだ。夕方の4時半から6時まで、アレジに与えられたのは90分間しかなかったが、無事にフェーズ2通過を果たしたのだ。

 実際には、アレジが205mph〜210mphでの15周連続走行を終えてピットに戻ったのは、チェッカー・フラッグが振られる1分前だった。ハラハラ・ドキドキの時間切れギリギリだったのだ。

 今日のインディアナポリスは昨日より気温が高い1日で、コースの路面温度は十分に上がっていた。夕方になっても風がほとんど吹いていない、インディーでスピードを出し易いコンディションが整っていた。アレジは幸運でもあった。 

 もっとも、アレジがフェーズ2を今日の走行で完了できなかった場合、インディーカーは明日の朝9時から最後のチャンスが与えることをすでに決定していたようだ。明日の走行開始は正午だからだ。随分な特別扱いではある。インディーカー、そしてインディー500にとって、今年のアレジはどうしても出て欲しいドライバーということなのだろう。

 アレジの参戦で心配なのは、ロータスエンジンのパワー不足、信頼性不足、そして、インディーカー・シリーズ初挑戦のインディーライツ・チームの実力だ。今日もファン・フォース・ユナイテッドは準備に時間がかかり、走行開始の4時半になってもマシンはガレージから出て来ていなかった。アレジが走り出したのは4時47分だった。

 まずは昨日使ったタイヤでウォーミングアップ。これだけでもう5時を回っていたが、アレジの平均スピードは200mphを越えた。昨日のベストが186mph台だったことを考えると、非常に大きな進歩である。

 5時10分を過ぎての二度目のコースイン。ここでアレジは9周連続して200mph以上を記録しただけでなく、202mph、203mph、204mphと徐々にだが確実にスピードアップ。205mph台を3周続けて出し、10周連続の200〜205mphには1周足りなかったが、その安定感、スピードの高さなどが考慮され、フェーズ1通過が認められた。

 この後、ピットでターボのウェイスト・ゲイトに調整を施してからアレジは3回目のコースインを行った。するとストレートでのオーバーブーストによる燃料カットの症状が出なくなり、スムーズなエンジンサウンドを保っての走行が可能になった。これで更なるスピードアップが実現、アレジはコースインして4周目に平均スピードを205mph台に早くも載せると、そこから6周を206mph台、その先には206mph台、207mph台、さらには208mph台の後半までマークし、205mphオーバーでの15連続ラップを見事に達成。インディーカーにフェーズ2完了を告げられた。この15周プラスの走行は非常に安定しており、アレジがオーバル走行に見事に順応していることが感じられた。

 ピットでマシンを降りたアレジは、クルーたちと喜び合った。ヘルメットを脱ぐと満面の笑顔で、「久しぶりのフォーミュラカーだし、まったく初めて乗るマシンだし、オーバルも初めてだった。慣れるのには少し時間がかかったね。チームのみんなに感謝したい。経験豊富なスタッフが多くのアドバイスをしてくれた。インディーカーにも感謝したい。僕らはこうして、短時間でフェーズ2を通過するという大きな成果を達成できた。パラダイスにいるような気分だよ」と語った。フェーズ2一発通過がよほど嬉しかったのだろう、アレジはダンスをするようにステップを踏みながらクルーの元へと戻って行った。

 昨日が18周で、今日は38周。合わせて56周でフェーズ2までを終了した。ルイェンダイクとインディー500で2勝しているベテランエンジニアのティム・ワードロップに加え、今日からはインディー500での優勝経験を持つ(アル・アンサーJr.と)ベテランクルーチーフのオーエン・スナイダーもチームユニフォームを着て働き始めた。経験豊富なスタッフを集めることに成功している彼らは、フェーズ3通過に向けても大きな問題はなさそうだ。

 インディーカーでドライバーコーチを務めているアリー・ルイェンダイク(インディー500で2勝)は、「ジャンは非常にスムーズに走れている。フィードバックもいいし、マシンや、このコースに対する理解も正しく行えているようだ」と高い評価を与えていた。

 アレジは、「インディアナポリスは本当に速い。集中力を切らせてはいけない。このコースに対して、僕は大きな敬意を払って走っている」とも語った。舐めると痛い目に会う。それがインディアナポリス・モータースピードウェイなのだ。

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