2012年6月12日火曜日

2012 INDYCAR レースアナリシス:R7テキサスファイアストン500 選手も観客も楽しめた「質の高いパス」インディーカー新時代の幕開け

テキサスのインディーカー第7戦、実に良かった。見応えあるバトル、そしてオーバーテイクをたくさん見ることができた。ああいうのを“クォリティ・パス”って言うんだな。いくつものドラマもあった。

「これまでのオーバルレースで一番楽しかった」と勝ったジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)は話していた。「自分が勝ったから言ってるんじゃないよ。マシンは時としてコントロールの許容範囲を越えていた。みんながそれを何とかコントロールしていた。そこが楽しかったんだ」。勝てなかったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)もまったく同じことを言っていた。優勝目前でクラッシュしたグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)も、「今日のレースはドライバーの善し悪しが勝敗に完全に結びついていた」と、ルールの方向性の正しさを高く評価した。ドライバー間の評判は非常に良かったんである。

 インディーカーは1.5マイルオーバルレーシングの正しい方向性を見出し、ルール設定を正しく行った。拍手を贈りたい。
「オーバルはマシン八割」ぐらいに言われて来た。ドライバーたちの中には、自分たちの能力が成績やパフォーマンスに反映されにくいと考える者が少なからずいた。彼らには、近頃のインディーカーの代表作的存在になっていた1.5マイルオーバルでの“パック・レーシング”は、テクニック不要の馬鹿げたレースと映っていた。しかも、危険度だけはやたらと高い厄介なシロモノとなっていた。

 もちろん、そういうパック・レーシングでも勝つ者と負ける者がいた。何よりも、一触即発の戦いはスリリングで、強烈なインパクトを見る者に与えていた。その上、目に見えないタービュランスの理解度、変化を続けるコンディションの読みなど、ライバルたちを上回る何かを持ってなければ勝つことはできなかった。そもそも、マシンを高いレベルに仕上げる力をドライバーたちはまず試されていた。「マシンが八割」なのは、レースの臨む前に勝負の大方がある程度決まってしまうというだけで、パック・レーシングにもみどころはちゃんとあったのだ。
 去年の最終戦ラスベガスでダン・ウェルドンが事故死。インディーカーはついに、自ら“ハイスピード・チェス”などと呼んでいたレースを捨て、ガラリとキャラクターを変えたレース=“クォリティ・パス満載のレース”を売り出して行くことになった。ウェルドンの名を冠したマシンのエアロパッケージを巧みにコントロールすることで、その挑戦は大成功を納めた。去年までとは違った意味で、非常にエキサイティングなレースになっていた。

 フルタンクで走れる周回数に対して、タイヤのライフが持たない。そこがまたレースを面白くしていた。コーナーでアクセル・コントロールが必要な「ドライバーが八割」の戦いになっていた。来年のテキサスが楽しみだ。このエアロパッケージ・コントロールを使えば、他の1.5マイルオーバルでもレース開催が可能となる可能性大ってことだよね? ケンタッキー、カンザス、シカゴ、ホームステッドなどでまたレースが行われることになるのかもしれない。

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