2016年5月30日月曜日

2016 INDYCAR レポート 第100回インディアナポリス500 Race Day 決勝:第100回インディー500ウィナーはアメリカ人ルーキーのアレクサンダー・ロッシ

燃費走行に懸けたロッシが、第100回インディー500にふさわしいオーバー・ナイト・サクセスを実現 Photo:John Cote クリックして拡大
インディー500初出場、オーバル・レース2戦目!の勝利

 11位スタートだったアメリカ人ルーキーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が記念すべき第100回目のインディー500で優勝を飾った。
 昨年のロッシはF1グランプリに5戦出場したが、今年はライドがなく、開幕が近くなってインディーカーへの参戦が決定。そんなロッシにオーバル・レーシングのキャリアはなく、4月のフェニックスでの第2戦が初めてのものだった。彼にとって幸いだったのは、フェニックスとは大きく異なるインディー500=インディアナポリス・モーター・スピードウェイでは、アンドレッティ・オートスポートのマシンがプラクティス開始から非常に良い仕上がりになっていたことだった。彼には経験豊富な4人のチームメイトもおり、短時間で超高速ドライビングに慣れることができた。
 それがまさかの優勝に繋がるとは!

勝負の分かれ目は163周目の琢磨のクラッシュ

 ロッシはレース序盤のピット・ストップで順位を下げ、苦しい戦いを強いられていた。しかし、ピット・タイミングを違える作戦でトップ・グループへと復活。勝負の分かれ目は163周目に起こった佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)のクラッシュだった。


こちらは98周目のロッシのピット作業。この時点で11位と、好位置をキープできるマシン・ポテンシャルがあったことが勝利の遠因となった Photo:INSYCAR (Jim Haines) クリックして拡大
  この時に出されたフルコース・コーションは、実に微妙なタイミングだった。ほぼ全車がピットで給油とタイヤ交換を行ったのだが、最後までフル・スロットルでは走り切れない周回が残されていたからだ。ロッシはレース再開時に9位で、トップ争いに絡んで行くのは難しいと見えた。そんな彼らは燃費をセーブしてゴールまで走り切る作戦を選んだ。
 全速力でのトップ争いを展開したジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、ジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)、カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)らは、ゴールまで10周を切った後に燃料切れとなって1台ずつピットに向った。彼らはタイヤ交換ナシでコースに戻る作戦を採用、逆転勝利を狙った。
 このバトルで197周目にトップに躍り出たのがムニョスで、彼は残り周回数の少なさから補給すべき燃料も少なくて済み、全開バトル組のトップをキープした。しかし、167周目から徹底的に燃費をセーブする走りを続けていたロッシが、ピット・ストップを行わなかったことで大きなリードを獲得。最終ラップ前のターン4でガス欠症状に陥りながら、最後の1周をなんとか走り切り、大幅スローダウンしてのゴール。それでも2位には5秒近い差があり、ルーキーによるインディー500初優勝が達成された。


コントロール・ラインのレンガにウイなー恒例のキス Photo:INDYCAR (Chris Jones)
  カリフォルニア州出身の24歳は、初挑戦のインディー500で優勝したのだ。ブライアン・ハータの作戦が見事に当たった。そこにはライアン・ハンター-レイという先輩チームメイトのアシストもあった。ピットでのアクシデントで優勝争いから脱落した彼は、チームメイトを先導し、彼の燃費セーブを助けたのだ。
 

速さでレースを制しながらも目前で優勝を逃したムニョスは痛々しいほどの落胆ぶり Photo:INDYCAR (Chris Jones)
 対照的だったのは、コロンビア出身22歳のムニョス。スピードでの勝負を堂々と制したのは彼だったというのに、2位に敗れた。22歳の若さで2回目の2位フィニッシュとは……。

激しい展開!史上2番目となる54回のリードチェンジ
アンドレッティ・オートスポートは4度目のインディー500制覇


 今年のレースは史上2番目に多い54回のリード・チェンジがあった。最多は2013年の68回だ。レース・リーダーの数も2013年の14人に次いで史上2番目となる13人だった。
 ルーキーによる優勝は史上10回目。一番最近は2001年のエリオ・カストロネヴェスだったが、奇しくも、その年の彼も11番手からのスタートだった。
 この6年、レース・ウィナーはゴール前4周以内でトップに立ち、優勝を飾っている。 

 
レース序盤をリードしていたハンター‐レイは、118周目のピット・アウト時に、あろうことかチーム・メイトのタウンゼント・ベルと接触。2台はともにラップダウンに Photo:INDYCAR (Dana Garrett) クリックして拡大

 最多リード・ラップはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の52周。
 アンドレッティ・オートスポートにとってはインディーカー・シリーズでの55勝目(2003年参戦開始のアンドレッティ・グリーン・レーシング時代から数えて)。
 04、05、07、12年の4回シリーズ・チャンピオンに輝いてきているアンドレッティ・オートスポートは、インディ-500での勝利も今日で4回目となった(05、07、14、16年)。


 ジミー・ブライアン(1959年)と、1977年のジョニー・ラザフォードに続いて、ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は前年度ウィナーでありながら、最下位33位となった。
 最下位の33番手スタートながらアレックス・タグリアーニ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)はトップを走った。これもまた史上3人目。1925年のフィル・シェイファーが最初で、1980年のトム・スニーヴァが2人目だった。
以上

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