2016年9月4日日曜日

2016 INDYCAR レポート 第15戦 インディーカー・グラン・プリ・アット・ワトキンス・グレン・プレゼンテッド・バイ・日立 Day2 予選:ディクソンがポール・ポジション獲得

危うくQ2敗退というところを勝ち上がり、終わってみればディクソンが堂々のPP獲得!Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
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ディクソン、ファスト6で新コース・レコード樹立

 3回のプラクティスでトップを取り続けたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が三段階の予選のファイナル・ステージで新コース・レコードとなる最速ラップを記録し、ポール・ポジションを獲得した。1分22秒5259というコース・レコードは、2009年にライアン・ブリスコーが予選で記録した最速ラップ=1分28秒1322より5.6063秒も速い。路面の全面改修と、インディーカーのエアロ・パッケージの性能アップによって、これだけのスピード・アップは果たされた。
逆転でのファスト6進出、そしてブラック・タイヤでアタックする戦略が的中

 ただし、ディクソンは悠々とワトキンス・グレン・インターナショナルにおける初めてのPP、今シーズン2個目でキャリア25個目のPPを手に入れたわけではなかった。Q1のグループ2こそエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)に次ぐ2番手とほぼ問題なく通過を果たしたが、Q3進出は実はギリギリだったのだ。チェッカード・フラッグが振られた直後にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が6番手に滑り込み、ディクソンは7番手に弾き出されていた。しかし、この時点で最後のアタック・ラップを走っていたディクソンは、そのラップによってどうにか5番手に滑り込んだ。


ブラック・タイヤでファスト6のアタックを行ったディクソン。Q2でのレッドが期待通りのパフォーマンスを発揮してくれなかったことからの決断だった Phnoto:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 
 そして、ファイナルでのディクソンは方針を大きく転換し、ブラック・タイヤで出走した。その作戦は見事に当たり、セバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)とパワーを抑えてPPを獲得した。チームメイトのトニー・カナーンは、ディクソンとは違ってレッド・タイヤで走った。チームの方針だった。そちらの作戦は失敗で、カナーンは予選5位となった。

「Q2のアタック・ラップではニ度ほどミスした」

 「今週は走り出しからマシンがとても速く、プラクティスではタイム・チャートのトップに居続けた。それができるマシンを用意してくれたチームに感謝したい。Q2のアタック・ラップでは二度ほどミスがあった。バック・ストレッチでのミス・シフトなどもあり、コンマ3秒もロスしていた。決して暑くないコンディションだったので、もっとレッド・タイヤが優れたパフォーマンスを発揮してくれるものと考えていたのだが、実際にはそうならなかった。Q2をクリアできて良かった。今年は少々厳しいシーズンになっているので、こうしてトップに立ち、いいパフォーマンスを見せられることは嬉しい。明日はハードなレースになるだろう。このターゲットのマシンをトップに保ち続けてゴールを迎えたい」とディクソンは語った。

パワー、繰り上がりで進出のファスト6でフロント・ロウ獲得
一方、ポイント・リーダーのパジェノーはQ2敗退


 パワーはQ2で7番手にランクされていたが、6番手だったミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が他車のアタックを妨害(インターフェアランス)で2ラップ取り消しのペナルティを受け、順位ダウン。Q3出場権を手に入れた。そこからのフロント・ロウ・グリッド獲得はチャンピオン争いに向けて大きな意味を持つことになるかもしれない。ポイント・リーダーのシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、その同じセッションでパワーよりひとつ後ろの8番手で、Q3進出を果たせなかった。この時の順位が逆だったら、パジェノーの方がファイナルに進んでいたということだ。
 

アレシンのペナルティによって、繰り上がりでファイナル・ステージに進出したパワーもディクソン同様、アタック・ラップをブラックで走行し予選2番手に Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大

  「僕もファイナルはブラックで走ったが、その作戦は正解だった。セバスチャン(・ブルデイ)が考え出した作戦だった。Q3に進めないところだったのが、(ミカイル・)アレシンがペナルティを受けたことで走れるようになり、こうしてフロント・ロウにグリッドを獲得できたんだから嬉しい」とパワーは話していた。

シボレー勢のみで争われたファスト6
ホンダ勢最上位はホウクスワースの9位

チルトン、インディーカー・キャリア初のファスト6進出を果たす Photo:INDYCAR (Chris Owens)
エナーソンが予選11位に Photo:INDYCAR (Bret Kelley)
 ブラック・タイヤでファイナルを戦ったディクソン、パワー、ブルデイがトップ3を占め、反対にユーズド・レッドで戦い通したカストロネヴェスとカナーンは予選4位、5位。ルーキーのチルトンは初のファイナル進出を果たした。彼はファイナルをブラックで走ったが結果は最下位。しかし、ロードコースでの自己ベストとなる予選6位を得た。アイオワのオーバルでの4位が彼のこれまでの予選ベスト・リザルトだ。

 アレシンがペナルティを受けてトップ6から脱落したことにより、今日の予選ファイナルを戦った6人はシボレー勢のみとなっていた。ホンダ勢トップはプラクティスで好調さを見せ続けていたジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)による予選9位。アレシンは予選10位で、ルーキーでインディ-カーのレースはまだ2戦目のRC・エナーソン(デイル・コイン・レーシング)が予選11位と大健闘している。プラクティス3で4番手だったジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)はQ1のグループ1でスピンを喫し、予選結果は13位。アンドレッティ・オートスポート勢は4人全員がQ1で敗退。ベスト・グリッドはルーキーのアレクサンダー・ロッシによる15位で、カルロス・ムニョスが16位。マルコ・アンドレッティは18位で、ワトキンス・グレン・インターナショナルで2008年に優勝しているライアン・ハンター-レイがチーム内最下位の19位だった。


佐藤琢磨、Q1でクラッシュし、決勝は最後尾からのスタートに

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、Q1で本格的アタック・ラップ1周目にクラッシュ。明日のレースは最後尾22番グリッドからのスタートとなる。2番手か3番手に入れるタイムを出していたラップのターン7でマシンがスピンし、リヤからガードレールにぶつかって行った。ドライバーに怪我はなく、マシンに大きなダメージはなかった。



予選Q1のターン7でフェンスにクラッシュした琢磨 Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 「走り出してすぐにHANSデバイスがちゃんと装着されていないことに気づき、自分でシート・ベルトを緩めて直そうとしたんですが、うまく行かなかったし、安全を第一に考えてピットに戻りました。今回はレッド・タイヤで最初から走っていて、アタック再開となりました。そして、ウォーム・アップを行った次のラップ、ターン7でコントロールを失ってしまいました。ターン7でそういうことになったことは、予選前までなかったので、なぜそうなったのかはまだわかっていません。ただ、レッド・タイヤ装着でのマシンがかなりナイフ・エッジなハンドリングになっていたのは確かでした。マシンのセッティング自体は良いものが確保できていると思うので、明日のプラクティス・ファイナルでもう一度それを確認して、レースでは作戦も利用してポジションを上げて、オーバーテイクもして……という戦いをしたいと思います」と琢磨は語った。マシンは良い感じでレベル・アップをして来ているので、感触自体は良いものを掴んでいるのだ。

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