2019年3月11日月曜日

2019 INDYCAR レポート R1 ファイアストン・グラン・プリ・オヴ・セイント・ピーターズバーグ Race Day 決勝:開幕戦ウィナーは予選2位だったジョセフ・ニューガーデン

2019シーズン開幕戦を制したのはニューガーデン。ドライヴァビリティが向上したシボレーエンジンと、マシンセッティングの改善がレッド・タイヤでライバルとの差を生み出した Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
扱いやすくなったエンジン特性でシヴォレー予選1-2
 「シボレー・エンジンのドライヴァビリティが向上している」。今週末のシヴォレー・ドライヴァーたちは、チャンスがあればそう口にしていた。パワーやトルクの描くカーブを去年までとは違えて扱い易さを求め、それをある程度実現させたようなのだ。予選ではウィル・パワーがポール・ポジションで、2位はジョセフ・ニューガーデンとフロント・ロウを独占。彼らの証言は事実を示しているのかもしれない。しかし、今年もシヴォレーが頼れるのはチーム・ペンスキーだけ。他チームの最上位は予選がチャーリー・キンボール(カーリン)の8位で、決勝はスペンサー・ピゴットの11位だった。


ペンスキー勢に割って入ったディクソンが2位
ルーキー、ローゼンクヴィストは堂々の4位フィニッシュ


チップ・ガナッシのルーキー、ローゼン久ヴストは序盤からトップを走行し、表彰台はのがしたものの4位に。レーストータルでのリードラップはニューガーデンの60周に次ぐ31周を数えた Photo:INDYCAR (Karl Zemlin) クリックして拡大
 レースではニューガーデンがひとつ順位を上げて優勝し、パワーはふたつ順位をダウンさせての3位フィニッシュだった。彼ら二人の間に割って入ったのはチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソン。彼のチームメイトのフェリックス・ローゼンクヴィストも、ルーキーながらレース序盤にトップを走った上、4位という堂々たる結果を残した。
ニューガーデン、ユーズド・レッドでスタート!

スタートの1コーナー。ポール・ポジションのパワー、ローゼンクヴィストは先行し、ユーズド・レッド装着のニューガーデンが3番手でディクソン、ハンター-レイアウトから抑える Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 ニューガーデンの勝因は、ライヴァル勢と違えたタイヤ・セレクションにあった。スタートをユーズド・レッドでこなしながら、ひとつ順位を落としただけの3番手をキープできたことで優勝への道を切り開いた。ポール・シッターだったパワーは、イエローが出ると踏んでピットに彼を呼び入れたことが結果的に判断ミスで、勝機を手放した。ローゼンクビストはピット・タイミング、ピット作業に時間がかかったことなどからデビュー戦優勝のチャンスを逃した。

第3スティントで満を持してニュー・レッドを投入
ラップタイムを終盤まで維持してディクソンを寄せ付けず


ニューガーデンを追撃したディクソンだったが、終盤にラップタイムが低下してしまい、捉えるまでに至らず Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 「レッド・タイヤは持ちが悪い」。どのチームもそう結論づけていた中、ニューガーデンだけは1スティントをコンペティティヴに戦えるとの自信を持っていた。三番目のスティント、ニューガーデンは新品レッドを選ぶと、その瞬発力を武器にリードを広げた。しかし、スティント終盤に貯金を一気に減らすだろう」という予測は完全に外れた。逆転トップを狙ったディクソンが、スティントの半ば過ぎに4周、5周と続けて差を縮めるシーンはあったが、さらにペースを落とすだろうと見られていたニューガーデンがスティント終盤のペース・ダウンをディクソン以下に抑え、トップを維持したままたピット・イン。ブラック・タイヤに戻して走った最終スティントでも差をコントロールし続けてゴールまで逃げ切った。

「僕ら以外はソフトの能力を疑っていたが
後半戦では路面温度も下がり、ハードに対抗できた」

 

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大

 気温27℃、路面温度47℃と今週一番の暑さだった決勝日。ドライヴァーたちがタイヤのライフに不安を抱いたのは当然だった。そして、ニューガーデンだけがレッドでの走りに自信を持ち、コンディションの予測も見事的中させて勝利を掴み取った。
 「みんなと違う作戦にしたくて、スタートでユーズドのソフトを装着することにした。僕ら以外はソフトの能力を疑っていた。持ちが悪いと低い評価を下していた。しかし、レースの後半戦では路面温度も幾らか下がり、タイヤラバーの載った路面はソフトの摩耗を防いでくれていたから、安定感が長く続くハードに対抗できた」とニューガーデンは勝因を語った。ニューガーデンを走らせるチーム・ペンスキーは、このオフの間にストリートコースにおけるマシンの実力アップも達成していた。「昨シーズンの僕らはストリートでのパフォーマンスが不足していたため、チームはこのオフにマシンセッティングの改善を目標に掲げた。今シーズン最初のストリートレースとなった今回、僕らはマシンの実力が高まっていることを確認できた。マシンはドライビングがし易いものになっていた」。


レース後半のペースダウンを悔しがるディクソン
「セッティングの改善が急務だ」


 ディクソンはレース後、「スティントの前半20周ほどは速く走れたが、終盤の10周でペース・ダウンしていた。ニューガーデンとの差を詰めることはできたものの、追いつき、パスするところまでは行けなかった。セッティングの改善が急務だ」とコメントした。

力強い走りを見せていた佐藤琢磨だったが
突然のトラブルでシングルフィニッシュを逃す

 
Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 20位スタートだった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、19位で初戦を終えた。アグレッシヴかつスマートな走りと、的確なピット・タイミングによって8番手まで大きくポジションを上げた琢磨だったが、最後のピット・ストップ直前に何の前触れもなくギヤボックスにトラブルが発生。リタイアを余儀なくされた。
 
Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

「スタート、リスタートで数台をパスし、バトルでザック・ビーチをオーバーテイクした。8番手まで大きくポジションを上げることができた通り、チームとしての戦い方は良かった。しかし、予選、決勝ともにあと一段レベルを上げる必要があるとわかった。トラブルが出なければ、8位フィニッシュできていた。奮闘してくれたクルーたちのためにも、本当に残念な結果になった。第2戦のサーキット・オブ・ジ・アメリカスでのレースで頑張りたい」と琢磨は話した。
以上


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