2019年4月14日日曜日

2019 INDYCAR レポート R4 アキュラ・グランプリ・オヴ・ロングビーチ Day2 予選:アレクサンダー・ロッシが今季初ポールポジション



地元、カリフォルニア出身のロッシ、ロングビーチ2年連続のポール・ポジション獲得 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
ハンター-レイ、Q2の赤旗にファスト6進出を阻まれる
PP争いはロッシとディクソンの一騎討ちに

 

 走行2日目になって昨年度ウィナーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)がスピード・アップした。金曜は先輩チームメイトのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がイニシアティヴを取って充実感を満面に浮かべ、ロッシは苛立ちを隠せない様子だったが、予選を前に両者の立場が逆転した。その上、先輩はQ2での赤旗のタイミングが思い切り不運で、他の何人かとともにファイナル進出を阻まれた。ロッシはレッドでのアタックを早めに始めていたのが正解で、Q3ではスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)との一騎討ちを繰り広げることとなった。
予選でもディクソンは好調を維持 Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
初日から優位が続くホンダ勢
ペンスキー勢は予選でもホンダの一角を崩せず


 今年のロング・ビーチではホンダ勢が優位を示して来ている。レッド・タイヤ使用のプラクティス2ではディクソン、ハンター-レイ、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が1-2-3だった。今朝のプラクティス3ではブラック・タイヤのみの走りだったが、ロッシ、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)、ディクソン、ハンター-レイの順でトップ4を独占した。アキュラがタイトル・スポンサーになったからではないだろうが、今年のロング・ビーチではホンダ勢が優勢で、シヴォレーの看板を背負うチーム・ペンスキーが苦しい戦いを強いられている。それは予選が始まってからも変わらず、ブラック・タイヤでの勝負となったQ1のグループ1は佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)がトップで、ハンター-レイが2番手。レッドが使われたグループ2の戦いもロッシとレイホールによる1-2で、同じくレッドでの勝負だったQ2もディクソンとロッシが上位2ポジションを占めた。

明暗分けたQ2グループ1でのローゼンクヴィストのクラッシュ
ただしアンドレッティとガナッシは鉄板


 Q1のグループ1はほぼ全員がレッドをほぼ使っていない状況で終了したため、そちらから上がって行ったドライヴァーたちは、ファイナルで新品レッドか、それに近いレッドでアドヴァンテージを持てるはずだった。


ロゼンクヴィストがターン9でクラッシュバリアに突っ込み、Q2はレッド・フラッグ。結果的にこの前にアタックしたドライバーが勝ち上がることに Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
しかし、Q2でのレッド(ローゼンクヴィストのクラッシュ)のタイミングから、グループ1にいたドライヴァーでファイナルに進めたのはレイホールとニューガーデンの2人だけになった。そして、彼らはファイナルでそれぞれ4位と6位にしかなれなかった。ユーズド・レッドでの走りで一歩抜きん出ているウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)が3位に食い込んだが、フレッシュに近いレッドでもジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)は4位止まり。パジェノーの5位は健闘と讃えて良いもので、アドバンテージがあったはずのレイホールは、マシンの仕上がり具合がポールを争うレヴェルに届いていなかったようだ。フレッシュ・レッドを持つライヴァルを物ともせず、ユーズ ド・レッドでの走りでロッシがPPをものにし、予選2位はディクソンの手に落ちた。ここまでの戦いを見る限り、今年のロング・ビーチではアンドレッティ・オートスポートとチップ・ガナッシ・レーシングがライヴァル勢を引き離している。

コルトン・ハータと佐藤琢磨はQ2の不運に泣く


Q1グループ1をトップで勝ち上がった佐藤琢磨だったが、Q2で敗退 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 チーム・ペンスキーが3人揃ってファイナルに進出するのは、これが今シーズン初めてのことだ。昨年からその頻度は、主にシモン・パジェノーの不振によって激減していて、昨シーズンはロング・ビーチとトロントの2回だけしかなかった。今回もQ2で、ファイナル候補のローゼンクヴィストがクラッシュし、彼の出したレッド・フラッグによってハンター-レイのチャンスの芽は摘まれた。琢磨もコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング/ホンダ)も同じ不運に見舞われた。ストリート・コースだけにレッド・フラッグとなる可能性は十分あり、それを見越して早めのアタックを行なったピットの判断力が良かったんだ……とポジティヴに捉えることもできるが、先にアタックすれば、路面のグリップが上がるセッション終盤に逆転を許す可能性を大きくするリスクがある。今回のペンスキーは幸運にも恵まれたといういことだ。

レッド2セット投入でロッシがロング・ビーチ2年連続PP
「去年よりずっとハードな予選だった」

 

Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
 今年初、キャリア5回目、ロング・ビーチでの2年連続のPPを獲得したロッシは、「最後の1周に賭けた。レッドを2セット投入して戦ったのが正解だった。過去にやったことのない戦い方だが、今日はそれが効果を発揮した。レッドはユーズドになるとフレッシュ・レッドとはキャラクターが変わる。どれだけのアタックを行うことが可能か、それを理解する必要がある。サーキット・オブ・ジ・アメリカスでの第2戦の失敗に学び、今回は成果を手にできた。同じ間違いは二度犯さない。それを僕らのチームは目指している。明日、2年連続優勝を達成できることを祈っている。このコースが僕は好きだ。僕は地元カリフォルニアの出身だし、去年のようにホーム・レースで勝てたら最高だ。今日のPP獲得は、去年よりずっとハードに戦って実現された。インディーカーのフィールドは去年以上にタイトになっている。みんながマシンを深く理解し、ドライヴァーたちもレヴェルを上げている。そんな状況下でPPを獲得できただけに、特別なものを感ずる」と語った。

ブラック・タイヤに自信を持つディクソン
「ロAA勢を倒すのは大変かもしれないが僕らも全力を尽くす」

 2位となったディクソンは、「いい予選を戦えた。アタックをもう1ラップできたようで、それをしなかったのは心残りではあるけれど、ロッシの出したあのラップ・タイムを上回れていたかはわからない。僕らのマシンは今週ずっと調子が良い。特にブラック・タイヤでの走りは、ずっと良い状態が保たれている。グリップも長持ちしているし、明日もうひと頑張りしたい。最後の1周をリードすればいいんだろう? 1周目やその最初のコーナーでトップを走っている必要はない。ロング・ビーチでのレースは常に作戦が重要になる。ロッシは速いし、アンドレッティ・オートスポートは皆速い。明日、彼らを倒すのは大変かもしれないが、もちろん僕らも全力を尽くす」と話した。

予選8位はそれほど悲観的になる必要はないと語る佐藤琢磨
「今日の僕らあレッド・タイヤの走りがまだ十分よくなかった」


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 予選8位となった琢磨は、「レッドタイヤの性能を最大限引き出すレヴェルに行けていなかった。Q1の途中で赤旗が出され、レッドのラップはターン1に到達する前ぐらいで終わっちゃった。だから、レッドがどんなタイヤなのかを掴めずにQ2に行った。予選でのマシンは、試すのが初めてのセッティングになっていて、ブラック・タイヤでの走りはとても良いものとできていたけれど、予選で上位に食い込むためにはレッド・タイヤでの走りが良くなくてはならなくて、それが今日の自分たちはまだ足りていなかった。Q1で試していないから、Q2で1周目からそこまで攻めた走りは無理だった。でも、8番グリッドは悲観的になる必要はないでしょう」と話した。
以上

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