2019年5月20日月曜日

2019 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第103回インディアナポリス500 予選:予選1日目終了=佐藤琢磨にインタヴュー

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
去年よりは良いですが大満足の予選とはなりませんでした

――予選1日目が終わりましたが、今日のコンディション、自分のマシンはどうでしたか?
佐藤琢磨:そうですね、難しいコンディションだったと思います。どうだろう? 最初の7~8台はすごく良いコンディションの中で走れたと思うけど、10台目以降はもうどんどん、どんどん気温が上がっていって、風も今日は強かった。僕はクルマの中にいたからわからなかったけど、突風が吹いてたりもしてたから、やっぱり難しかったですね。自分のアタックでもクルマが風の煽りを受けて、ターン2でちょっとアクセルをリフトせざるを得なかったので、まぁ心残りと言えば心残り。だけど、チームが後で計算したら、あのリフトによるロスは、4周のトータルに対してコンマ1mphぐらいにしかなっていなかったので、リフトなしで行けてても順位は変わらずでしたね、結果的には。もうちょっとクルマのセット・アップをうまく持って行けてたらな、とは思いますけど、条件はみんな一緒ですから。去年よりは良いですけど、大満足の予選とはなりませんでした。

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風が吹くと一瞬でクルマが変わっちゃう

――4周のうちの3周目にスピードが落ちた。そのラップで風の影響を受けたんですね?

佐藤琢磨:はい。もともと2コーナーはギリギリで、でも本当に何だろうなぁ、風が吹くと一瞬でクルマが変わって、ラインもタイヤ1個分で変わっちゃうんですよね。ノーズが入らなくて、それを無理やり、こじってハンドル切ってもまったく反応しなかったので、あのまま踏み続けてたら……。2017年はタイヤが壁をちょっと擦っても戻って来れるとわかってたけど、ダウンフォースが今はないので、戻って来れないから。だからリフトせざるを得なかった、アレは。ちょっとそこは残念。

2回アタックできなかったのは残念


――一度アタックをした後、もう一度できるのか、もう一度はできなくなるのか、読みにくい状況でアタックのための列に並びましたね? 琢磨選手としては、もう1回挑戦したかったんでしょうか?

佐藤琢磨:そうなんですよね。僕らが走った後、午後3~4時ぐらいまでは気温が上がり続けたので、その間に何台もが2回目のアテンプトをしてて、速いクルマも出てって、実際に88号車(コルトン・ハータ)とか、27号車(アレクサンダー・ロッシ)はタイムを上げてたので、僕らも行きたかったんですけど、ちょっとしたタイミングですかね、2台前にチームメイトのジョーダン・キングがいて、彼はうまくアタックできた。でも、あそこに並ぶためには、多分自分たちが並んだ時よりも40分ぐらい前に並ばないといけなかったはずなんですよ。あの時点で、最も気温も路面温度も高いところで並ぶっていうのは、なんだろうな、かなり勝負を賭けないとならなかったですね。燃料を入れた時点で並ばないと行けないってルールなんですよ。燃料を入れて並んで、もし順番が早く来過ぎちゃったら、列からプル・アウトもできるんですけど、そうすると今度は長い列の一番後ろまで行かされちゃうので、順番が来たらアタックするしかなくなる。それで、マシンを並べに行くにはちょっと早過ぎると感じていたので、最終的にはチームが決定したんですが、僕は最初から”今日は2回行きたい”って言ってたから、それがかなわなかったのは、まぁ少し残念。

――記録したスピードを捨ててまで、もう一度アタックは無謀ですよね?

佐藤琢磨:アレは……自分のチームだったら行っちゃうけど(笑)。さすがに、そこまでリスクを負う必要はないかなって感じですね。例えば、ちょっとスロー・パクチャーがあったりとか、何か電気の配線が壊れちゃったとかがあったら……それで明日が雨だったら、もう予選落ちになっちゃうので、そこまでのリスクを冒す必要はなかったですね。

14番手で真ん中にはいるので、気持ちを切り替えて、
トラフィックでしっかりした走りをするために打ち合わせを続けます


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――最後の最後、残り3分でグレアム・レイホールはスピードを捨て、アタックを行いました。彼がそこで記録したスピードは最高が228.5mph台で、3周目まで228mph台。最後が227.2mphで27位から17位に順位が上がりました。ギャンブルを成功させたわけですが、あのマシン・セッティングは、琢磨選手のものとどのぐらい似ていた、あるいは違っていたのでしょう?
佐藤琢磨:彼にとって、あれは3回目のアテンプトだったから、走りを繰り返すことでマシンをコンディションに合わせ込んで行ったと思います。だけど、クルマ自体は非常に僕のものと似たところに来ていて、彼も最後のラップでのリフトがなければ、多分ギリギリで僕の前に入ってたでしょうね。だから、コンディションは良くなっていたんですよね。自分が走れていたら、コンマ3mphとか速かったかもしれない。その時にパーッと雲がかかって来て、風もいいように吹いたらコンマ5mphのアップも行けたかもしれないけど、それはもう、取らぬ狸の……ですから。実際には、自分たちにチャンスが1回あって、そのアテンプトで自分たちの持っていた実力と、合わせ込みだったと思うんですよね、あのリフトも含めて。トータルで見ると、やっぱり少し残念だけど、14番手で真ん中にはいるっていうことで気持ちをちょっと切り替えて、明日もし走れればプラクティスを走って、月曜日にもしっかりとしたトラフィックでの走りをするために、エンジニアとこれからもうちょっと打ち合わせを続けます。

今日のコンディションはチームが試されていましたね
コンディションが良かったのは最初の1時間だけでした


――今日はフェルナンド・アロンソが30番手に入れませんでした。琢磨選手にとても、やっぱり驚きでしたか?

佐藤琢磨:まぁ、だからそれがインディー500の厳しさですよね。

――新しいチームだったことが、挑戦を難しくしているように見えています。
佐藤琢磨:そうですね。こればっかりは、僕が彼らのチームの中を見ていないので何とも言えないですけど、それぐらいインディー500っていうのはものすごく厳しいものだと思うし、こうして14番手で僕らは不服を言っているのは、あのチームから見れば幸せなことでしょう。明日は、1日ずっと雨ということはないと思います。ファスト9の予選やらなくてもで、ラスト・ロウを決める予選は絶対やるって言ってるから、彼にはまだ可能性があるんじゃない?

――これだけ暑かったことで、コンディションにマシンを合わせるチームのエンジニリング能力が試されたと思いますが、どうでしょう?

佐藤琢磨:ハータとロッシは速かった。アレは不思議だよね。だって、ライアン・ハンター-レイは2mphぐらい遅いんだから。同じチームで、同じセット・アップで。何がそうしているのかっていうのは、僕らにはわからない。ハータは暑い中でも本家(アンドレッティ・オートスポート)より速かった。今日のコンディションはチームが試されていましたね。お昼以降、自分が走った時にはもう物すごく暑かったから。だから、最初の1時間だけでしたよね、コンディションが良かったのって。12時以降はみんな苦しんでいたと思いますね。そして、これもインディー500の難しさだと思います。クジ引きっていうところも、公平であるようで、公平じゃない。

――今年の予選1日目は、クジ引きである程度までシナリオが決まっちゃった感もありました。

佐藤琢磨:でも、結局トップ9に入るのはクジ引きは関係なかったかもしれないね。あそこに入れるクルマは、なんだかんだ2回目のアテンプトをして上に来ただろうし。そういう意味では、ウチらはもうちょっと力及ばずっていうところ。悔しいけど。

30号車は現状決勝に向けても14番手ぐらいのクルマ
そこからどれだけ上がれるかっていうのは、本当にわからない


Photo:INDYCAR (Karl Zemlin) クリックして拡大
――予選のパフォーマンスと、決勝のパフォーマンスでは違うものが求められると思います。レースに向けてのマシン作りで琢磨選手は手応えを感じているんですよね?

佐藤琢磨:去年に比べたら、ずっと好いですよね。ただ、予選の速度は無視できないってワケじゃなくて、やっぱり予選でアレだけ走れるクルマていうのは決勝でも速いわけですから。予選と決勝で完全に違うクルマではないしね。だから、そのセット・アップの方向性ってものであれば、僕らの30号車の場合、予選が14番手であれば、決勝に向けても現状は14番手ぐらいのクルマなんですよ。そこからどれだけ上がれるかっていうのは、本当にわからない。やってみなければ。もちろんトライしますけどね。

――これまでのことも考慮して、琢磨選手としては、決勝は暑くなるのと、涼しいのと、どっちが活躍の可能性があると思いますか?

佐藤琢磨:どうなんだろうね? でも、こうなったら思いっきり暑い方がいいんじゃない? だって、荒れてくれないと。涼しくなって、みんなイイカンジでダウンフォースついたら順当に、予選順位のままってなっちゃうよね?
だから、100℉(摂氏で37.8度)い超えがいいかな。

――明日、明後日のプラクティスは?

佐藤琢磨:今日の予選や、昨日までの予選シミュレーションで使ったタイヤがいっぱいあるので、それで何度かロング・ランをやります。新品も1セットぐらい使うかな?

――では、予選から決勝モードに切り替えて、頑張ってください。

佐藤琢磨:はい。ありがとうございます。頑張ります。
以上

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