2019年5月27日月曜日

2019 INDYCARレポート 第103回インディアナポリス500 Race Day 決勝:シモン・パジェノーがインディー500初勝利

Photo:INDYCAR (John Cote) クリックして拡大

 ピット・シークエンスがライバルより3~4周早かったパジェノー
燃費が苦しくなった終盤、レッドフラッグに

 雨の予報は吹き飛び、曇りがちの空の下で始まったレースは、終盤には青空の下で戦われることになった。
 ポール・ポジションからレースをリードし続けたシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、レースがもう終盤に入ってからチームメイトのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)にパスされて2番手に下がったが、それは燃費をセーヴするための作戦だったはずだ。1回目のピット・ストップがライヴァル勢より3~4周も先だった彼は、しわ寄せで厳しい状況に追い込まれつつあった。その上、予選9位だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がレース中にグイグイとスピードを上げて来て、177周目にパジェノーをパスした。
 その直後にセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)とグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の接触に端を発する多重クラッシュ発生。コース清掃のために赤旗が出され、レースは一日中断となった。





スタートからパジェノーがレースをリードする Photo:INDYCAR (Jason Porter)クリックして拡大
残り13周、最後のリスタートからロッシとの一騎討ちに

 リスタートは187周を終えたところ。ゴールまで13周で切られた。空は晴れ、強い日差しが路面温度を今年最高レヴェルに上げていた。ここで2番手から絶妙のタイミングで加速したパジェノーは、ロッシを抜いてターン1へとトップで飛び込んで行った。
 そして、二人によるシーソー・バトルがスタート。189周のターン1でロッシがトップを奪還し、189周のメイン・ストレートでパジェノーがまた逆転。この時のパスはコントロール・ライン前で完了しており、パジェノーがスピードで若干の優位と映った。

優勝争いに割って入る佐藤琢磨、残り10周から3人でのバトルに

 残り10周。3番手に佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が浮上して来てスピードウェイが沸いた。予選14位、レース序盤に1ラップ・ダウンとなりながら、ゴールまで30周を切ってからリード・ラップに復活した彼は、リスタートを5番手で迎え、優勝争いに加わるチャンスを得た。パジェノーとロッシの一騎打ちになると見えていたレースに、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)とニューガーデンを抜いて3番手に浮上した琢磨が参加。彼は今にもロッシに襲いかかり、その勢いでパジェノーにも手を届かせるかのでは?
との期待が持たれた。結局、2017年ウィナーはあと一歩が届かなかったが、観客席は琢磨の走りにも歓声を送っていた。

ロッシ、198周目にトップに立つが、パジェノーが再逆転



 
198周目のメインストレートでロッシがアルトからパジェノーに並びかけ、1ターンでオーバー・テイク! これで勝負はついたかにも思えたが…… Photo:INDYCAR (Doug Mathews) クリックして拡大

  残り2周。ロッシが動き、ターン1でトップを奪った。これがウィニング・パスかとも思われた。しかし、パジェノーは余力をまだ残していたようで、ロッシの背後に食らいつき、ターン3でアウトからパス。これで勝負あり。ロッシも食い下がったが、パジェノーはターン2を再度ロッシに並びかけるチャンスを与えることなくチェッカード・フラッグを潜った。ロッシは0.2086秒差、琢磨がその後ろ0.1327秒でゴールに雪崩れ込む。

「人生の夢をかなえることができた」


Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
 パジェノーは優勝直後、「まだ自分が優勝したことが信じられない。緊張感に満ちたレースだった。最多リードラップを記録したと思う。マシンがレールの上を走っているように安定していた。人生の夢を叶えることができた。この勝利のために頑張って来た。マシンが最高で、チームももちろんベスト。あとは自分が全力を出すだけだった。そして、ミスを犯さないこと。それができてヴィクトリー・レーンにマシンを乗り付けることができた」と語った。

「最後のほんの少しだけ足りなかった」と語るロッシ
「2位に敗れた悔しさは当分忘れることはできないだろう」
 2位に敗れたロッシは、「最後はパワー勝負だった。残念だが、そういう戦いで、彼らがいい仕事をしたということだ。彼らはポール・ポジションを獲り、レースでは最も多くのリード・ラップを記録した。しかし、僕らのマシンは本当に素晴らしいものになっていた。最後の最後、ほんの少しだけ足りなかった。アンドレッティ・オートスポートのクルーたちは本当に頑張ってくれた。2位という結果を残せたことは嬉しいが、インディー500は勝つことにこそ意味がある。2位に敗れた悔しさは当分忘れることができないだろう。シリーズ・ポイントも稼げはしたけれどね」と悔しがっていた。

2周遅れから優勝争いまで挽回を果たした佐藤琢磨
「最後のリスタートからはとてもエキサイティングだった
サイモンにおめでとうと言いたいです」

 3位でゴールした琢磨は、「最初のピット・ストップで右リヤ・タイヤがちゃんと装着されていなく、ピットに戻ってタイヤを交換し直しました。それで周回遅れになって、リードラップに戻るのには100ラップ以上がかかりました。チームが作戦を駆使してそれを実現してくれました。後ろの順位を走っている間もトラフィックでどう走れば良いのか色々とトライをしていました。それで最後のリスタートからはとてもエキサイティングなバトルになりました。レース再開時には5番手で、そこから2台をパス。前にはロッシとパジェノーの2人しかいなくなりましたが、彼をオーヴァーテイクするところまでは行きませんでした。サイモン(・パジェノー)に”おめでとう!”と言いたいです。ウィナーとなるに相応しい走りでした」。

 4位はニューガーデン、5位は残り4周でカーペンターをパスしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。ペンスキー勢がトップ5に3台入った。パワーは2回目のピット・ストップでクルーにヒット。リード・ラップの最後尾まで下がるペナルティを受けたのが痛かった。
 6位はカーペンター。7位はサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)で、彼がルーキー最上位。終盤の多重クラッシュ、フェルッチは芝生を横切りながら見事に潜り抜けて見せた。
以上

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