2019年6月19日水曜日

2019 INDYCARレポート 6月18日:インディーカー・ミッド・シーズン・レポート

激戦の2019年前半戦
9戦を終了してウイナーは6人!


 テキサスでの第9戦が今年も折り返し点。シーズン前半戦を振り返ろう。
 最多勝利=3勝はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。
 2勝がシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。
 1勝はコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の4人。


タイトル争いは、ランキング5位の佐藤琢磨まで!?
過去のデータでは、後半戦での2勝が必須


 勝ち星の一番多いニューガーデンが順当にポイント・リーダーだが、2勝のパジェノーはダブル・ポイントのインディ500での優勝がありながらもランキングは3番手。ロッシがふたりの間に割って入っている。ポイント4、5番手のディクソンと琢磨までがタイトル争いのメンバーと考えられるが、過去のデータからすると、最後に挙げた2人はすでにかなり不利な状況にある。2勝目をすぐに飾ればコンテンダー、2連勝をマークすれば一気にチャンピオン有力候補となれるが……。

ロード/ストリートでの予選パフォーマンスに注目

 過去のデータが証明しているのは、チャンピオンはシーズン後半に2勝以上を挙げているということ。それが可能なのは誰かを考える時、ロード/ストリートが5戦あるところがポイントになる。しかも、最終戦のラグナ・セカはダブル・ポイント。それらのコースで好成績を残すためには予選でのパフォーマンスが重要だ。
 今シーズンの3段階方式の予選ではウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がPPを2回獲得している(……が、彼は未だに勝利がない)。琢磨、ロッシ、パジェノーが1回ずつのPPを記録。デトロイト・ダブルへダーの2グループ制予選では、ロッシとニューガーデンがPPを手にした。
 ディクソンは今シーズンの3段階方式で唯一ファイアストン・ファスト6皆勤賞。彼はデトロイトの2レース両方で予選トップ6入りを果たしており、ダントツの安定感を誇る。ロード・アメリカで過去に1勝(昨年3位)、トロントでは昨年3勝目、ミッド・オハイオで5勝(昨年5位)、ポートランドでは昨年5位という実績を持つ彼は、ポイントの状況から最右翼には挙げにくいが、タイトル獲得の可能性は十分にある。ライバルたちが最も恐れる相手だろう。
 ニューガーデンはファスト6進出が3回あり、後半戦には相性の良いコースが多い。ロード・アメリカは昨年初勝利を飾っているし、ミッド・オハイオでも1勝(昨年4位)、トロントは2勝(昨年9位)、ポートランドでは昨年10位だった。彼はアイオワとゲイトウェイ、両ショート・オーバルでの優勝経験を持つ唯一のドライバーでもある。ポイント・リーダーである上に、いいデータが揃っているニューガーデンは、ディクソンに似た安定感志向のドライバーでもあり、大崩れは少ない。やはり、現在タイトルに最も近い存在と見るべきだろう。
 パジェノーが予選で良かったのは3戦だけ。ロングビーチの5位、インディーカーGPの8位、インディー500のPP以外は全部トップ10にも入れていない。まだ自ら申告しているように”ユニヴァーサル・エアロ・キットのマシンをマスターしている”とは言えない状況だ。シーズン後半戦のスケジュールを見ても、優勝経験があるのはミッド・オハイオだけ。インディ500優勝年にシリーズ・タイトルも……というのは難しいと見えている。

ニューガーデンを25ポイント差で追うロッシ
最も強力なコンテンダーは不運の流れを断ち切れるか


 ロッシは、ファスト6進出3回、PPは3段階の2グループの双方で1回ずつ。残りレースでの昨年の成績は、ロード・アメリカは16位、トロントが8位、アイオワが9位、ミッド・オハイオが優勝、ポコノも優勝、ゲイトウェイが2位、ポートランドが8位。ニューガーデンに備わっている安定感が昨年のロッシにはなかったが、今年の彼はリスク・マネジメントをかなり重視して戦って来ている。ロングビーチでポールポジションからブッちぎった、アレが今の彼の実力。不運続きでパフォーマンスとリザルトが一致していないが、ニューガーデンとの25点差は、腕ではなく、運の差。降りかかる不運がシーズン後半戦で軽減されれば、彼の爆発力が発揮され、一気にタイトルへと突っ走る可能性十分だ。
 ということで、タイトル争いの中心になるのは、現在のランキング3番手を除いたトップ4となりそう。そして、注目はそこに琢磨がどこまで割って入って行けるかだ。

終盤戦に得意なコースが並ぶ佐藤琢磨
シーズン2勝目をつかむことがタイトル争いの条件

 琢磨はPPが1回あるものの、他では今シーズン、一度もトップ6入りがない。後半戦での躍進には予選パフォーマンスの大幅改善が必要だ。琢磨が初タイトルに向けての奮闘を見せるだろうと期待ができる要因は、昨年優勝争いを行ったロード・アメリカ、トロント、アイオワが後半戦の最初の3レースとしてスケジュールされているところ。そこで1勝を挙げれば、昨年優勝したポートランド、PP獲得経験を持つポコノと、終盤戦には彼が得意なコースが並んでいる。今年のバーバーでポール・トゥ・ウィンで制している琢磨には、ミッド・オハイオとラグナ・セカでの好走も期待ができる。安定感も大事だが、今の彼には必要なのは優勝。シーズン2勝目が実現したら、3勝目、そしてタイトルが見えて来る。

高い予選パフォーマンスを見せるルーキー勢
シーズン後半戦での成長に期待


 上記以外のドライバーで予選で目立った活躍をして来ているのがルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)とフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)。オーバルも併せるとハータは5回、ローゼンクヴィストは3回のトップ6入りを記録している。予選でのパフォーマンスをレースでのリザルトに結びつけることで苦戦をしている二人だが、シーズン後半戦には落ち着いてゴールまで走り切れるレースも増えるだろう。
 昨年4戦に出場し、今年からフル参戦しているサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)は、ロングビーチでの10位が予選でのベスト・リザルト。それでもテキサスのレースで自己ベストとなる4位フィニッシュ。他にも3回のトップ10入りがあり、意外にもルーキーの中で最も多くのポイントを稼ぎ、ランキング9番手につけている。これは大先輩チームメイトのセバスチャン・ブルデイのひとつ上で、リタイア続きのハータは、逆にルーキー内でのランキングは4番目だ。
 F1から来たマーカス・エリクソン(アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)は、経緯からしてロバート・ウィッケンズと比較されるのは避けられない。しかし、キャリア6勝のチームメイト、ジェイムズ・ヒンチクリフですら予選トップ5入りは2回だけ、レースでのトップ3ナシとチーム自体が低迷気味。実力を発揮するのが難しい状況だが、デトロイトのレース2で2位になり、チームに今季初の表彰台フィニッシュをもたらした。
 参戦2シーズン目にはトップ・コンテンダーへ。ロッシのような急上昇をして来そうドライバーがこれだけいる。タイトル争いもエキサイティングだが、彼らの成長ぶりをチェックするのも楽しみな2019年シーズン後半戦である。
以上

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