2021年9月26日日曜日

2021 INDYCARレポート R16 アキュラ・グランプリ・オヴ・ロング・ビーチ Day2 予選:ポール・ポジションはジョセフ・ニューガーデンが獲得

 

今季最多となる4度目のポールポジションを獲得し、ニューガーデンはわずかに残ったタイトルの可能性を決勝レースへとつないだ Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大

最大ポイント獲得を目指すニューガーデン
逆転への望みをつなぐPPでの1ポイントゲット


 ポイント・スタンディング3番手で最終戦ロング・ビーチを迎えたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が、大・大逆転で自身3回目のシリーズ・チャンピオンになるためには、今年最後のレースで最大ポイント=54点を獲得する必要がある。ポイント・リーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は48点もの差をつけられているためだ。インディーカーでは決勝レースで25位となっても5点が与えられる。パロウが最悪の事態に陥り、最後尾に近い順位でレースを終えない限り、ニューガーデンはチャンピオンにはなれない。

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 今日、ニューガーデンは予選でポール・ポジションを獲得し、ボーナス・ポイント1点を手に入れた。パロウとの点差は47点に縮まり、逆転の可能性が明日にギリギリ残された。明日の彼の目標は最多リード・ラップを記録しての優勝。それを達成するとニューガーデンの獲得ポイントは523点に増え、25位以下という最悪の結果となったパロウは522点。1点の差でシリーズ・タイトルはニューガーデンのものとなる。

ファスト6ユーズド・レッドで自己ベスト
際立つニューガーデンの勝負強さ

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 ニューガーデンは予選のファースト・セグメントをグループ1で戦い、ここをトップ通過。セグメント2は5番手だったものの、ファイナルで1分08秒2241をマークしてポール・ポジションを掴んだ。PP獲得がマスト……という状況でそれを実現したところにニューガーデンの強さ、しぶとさが現れていた。Q3でのラップ・タイムは、大抵の場合はユーズド・レッド装着で記録される。フレッシュ・レッドはQ1、Q2で使ってしまっているからだ。今日の予選ファイナルでのニューガーデンは、彼自身がセグメント2でフレッシュ・レッドを履いて出した自己ベストを、ユーズド・レッドで上回って見せていた。

「タイトルの可能性が低いことはわかっている
明日は明日の目標をクリアすることを目指す」


 「ポールを獲ることができ、大変嬉しい。このところの2戦で僕らの予選パフォーマンスは良くなかっただけに、喜びはより大きい。2戦続けて週末の走り初めはすごく良かったが、その後に何が理由だったのか下降線に陥り、決勝日のマシンも良い仕上がりとはできていなかった。今週末はその反対で、自分たちは戦闘力の高いパッケージを作り上げることができている。今日の目標は達成した。明日は明日の目標をクリアすることを目指す。それだけだ。可能性が非常に小さいことはわかっている。チャンピオンシップに関して言えば、僕らのチャンスは死んでいるようなものだ。だから明日の自分たちは優勝を目標にする。勝ってシーズンを終えたい。もちろん、レースの世界では”絶対有り得ない”という言葉は使うべきではない。最後までチャンピオンになることを諦めるつもりもない。また、チャンピオンになれなかったとをても、ランキング2位が自分たちの望めるベストの結果であるなら、それを目指して戦う」とニューガーデンは語った。
 今日のPPはニューガーデンにとって今年4回目。今シーズン最多のPPウィナーとなった。彼自身にとっては通算15回目のPPだ。


ディクソン、惜しくも2位でパロウの援護はできず

 予選2位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。彼がPPを獲得していたら、ニューガーデンのタイトルの目は消えていた。それは0.2181秒の差で果たされなかった。

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「予選でのマシンは最高だった。少し残念なのは、エリオ・カストロネヴェスが予選の最後のラップを邪魔する存在となっていたこと。ポール・ポジションを獲得できるだけのスピードが自分たちにはあったけれど、彼に追いついてしまったためにPPに必要なだけのタイムのゲインができなかった」と彼は自身のため、そしてチームメイトのために憤っていた。それでもディクソンは、「2位は良いスタート・ポジション。明日は勝つために戦う。チャンピオン争いがかかっていないのはちょっと奇妙な感じがするが、チャンピオンシップ・トロフィーが自分たちのチームに置かれ続けるよう、明日のレースでは全力を尽くす」と語った。彼が優勝すれば、チームメイトのパロウのチャンピオンはほぼ決まるのだ。

Q2敗退、予選10位となったパロウ
タイトル獲得条件は12位、18ポイント獲得

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  予選を終えた今、ポイント・リーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は、レースで18ポイントを獲得すれば初のインディーカー・チャンピオンとなれる。12位以上でのフィニッシュなら、逆転の可能性を残しているパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)とニューガーデンのフィニッシュ順位に関係なく栄冠を手にできる。彼の今日の予選結果は10位だった。二人に抜かれても、そのポジションを最後までキープできればチャンピオン。1周でもレースをリードするシーンがあれば、彼は13位でもチャンピオンだ。

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 オーワードが優勝か2位の場合、パロウと彼が同点となるパターンが有り得る。しかし、その場合にタイトルはパロウのものになる。オーワードが勝てば勝利数は「3」でパロウと並ぶが、2位フィニッシュがパロウの「2」に対してオーワードは「1」なのだ。

オーワードは予選8位

 今日の予選で8位となったオーワードがチャンピオン(こちらも実現すればキャリア初)になるには、自身が優勝し、パロウが25位以下の場合。オーワードの場合は優勝しなくても、リード・ラップを1周以上記録して2位フィニッシュできれば、パロウが25位以下だった場合にチャンピオンになれる可能性が残されている。

ハータ、まさかのQ1敗退

 2回行われたプラクティスで両方とも最速ラップを記録していたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)は、今日の予選でポール獲得候補の最右翼だったが、予選セグメント1で姿を消した。彼のスターティング・グリッドは14番手と決まった。ブラック・タイヤ装着での走行中に壁をヒット。サスペンションが曲がり、レッドでのアタック中にその部分が折れた。

「サスペンションが曲がった時点でマシンはパフォーマンスを失っていた。残念だが、あれは自分のミスだった。しかし、レースはおもしろいものになりそうだ。14番手からのスタートだけれど、レッドの新品が2セットある点が有利に働くかもしれない」とハータは語った。

佐藤琢磨、チームベストの予選16位
「明日のウォームアップでしっかりまとめ上げ
決勝ではベストを尽くす」


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は16位だった。プラクティスからさらにセッティングを変更して臨んだ予選、彼はチーム内ではベストの順位を手にしたが、まだマシンは十分な戦闘力を備えたものとできていない。

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「ラグナ・セカで見つけた良いセッティングの要素をストリートでの今週のマシンに少し移植したセッティングを持ち込んだんですが、最初のプラクティスでのマシンが良くなかったので、今日のプラクティス2に向けてセッティングを大きく変えました。そうしたら走りが良くなったので、その方向性を保ったまま、予選に向けて更に変更を加えました。予選での自分たちは、アタック・ラップをまとめることはできていました。しかし、クルマの向きを変えて、コーナーから脱出する。その時の安定性でまだ自分たちは苦労をしています。チームメイト3台が同じ症状に悩まされています。今シーズン最後の予選は16位という結果になりましたが、明日のウォーム・アップでしっかりとマシンをまとめ上げ、決勝レースでどこまでポジションを上げられるか、ベストを尽くしたいと思います」と琢磨は語った。
以上

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