2022年5月23日月曜日

2022 INDYCARレポート R6 第106回インディー500 予選2日目 Qualifications Day2 プラクティス7:ファスト12のプラクティスでスコット・ディクソンが234mphをマーク

 昨日と打って変わった寒いコンディションと風向きに

 第106回インディアナポリス500のポール・ポジションが決まる日がやって来た。
 昨日の予選1日目に行われたタイム・トライアルでトップ12の成績を残したエントラントたちのみによるプラクティスがインディアナポリス・モーター・スピードウェイで午後12時30分に始まった。
 今日のインディアナポリスは朝から非常に寒く、予選開始時でも気温は17℃しかなかった。昨日の風は西から北西か、西から東に吹いていたが、今日は北から南向きに風向きが変わっていた。90分間を通して気温はほとんど変わらなかったが、路面の温度は31℃で始まって、終了時点では36℃になっていた。



ディクソン、計測1周目に234mph!

 曇り空の下での90分間のセッション、最速ラップをマークしたのは、昨年を含む3度のインディー500ポール・ポジション獲得歴を持つスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。彼はシミュレーションの計測1ラップ目に234.042マイルをマークした。ただし、ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)のアシストが幾分か入っていたかもしれない。このセッションではお互いのシミュレーションに影響を及ぼさないようどのチームも注意が払っており、2台が同時にコースを走る時には大きな間隔が取られていた。しかし、この時の2台はやや接近気味だった。

佐藤琢磨、4番手タイム

 2番手にランクされる233.624mphを記録したのは、同じく3回のインディー500PP獲得を果たしてきているエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)。
 3番手となる233.597mphは、昨日最速の4ラップと最速の予選ラップ、両方を出したリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は4番手の233.411マイルを記録したが、この時にはヴィーケイのトウが確実に効いていた。

好調なガナッシとECR勢
アロウ・マクラーレンSPは一転苦境に

 PP獲得合戦はガナッシvs.カーペンターとなるのだろうか?
昨日2、3番手につけていたアロウ・マクラーレンSPは、1ラップの比較でパト・オーワードが12人中の7番手、フェリックス・ローゼンクヴィストは最下位の12番手。涼しいコンディションにマシンを合わせ切れていなかった。アンドレッティ勢から唯一ファスト12進出を果たしているロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)もベストが232.459mphで12人中の11番手。ペンスキー・トリオからひとりだけファスト12入りしたウィル・パワーも232.466mphとベストは伸び悩んだ。

4ラップの走行タイムから見る
ディクソン、カーペンター、佐藤琢磨の状況は?


 4周の連続走行でもこのセッションのトップはディクソンだった。彼の2回目のシミュレーションはウォーム・アップ・ラップが221.329mphとかなり早めで、それに続く4周回は以下の通り.
L1 234.042mph
L2 233.962mph
L3 233.540mph
L4 233.554mph
 4ラップの平均スピードは233.775mphだった。L3よりL4が速くなっているのは、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)のトウを少し得た可能性があった。最速だった1ラップ目と前周より速くなっていた4ラップ目、両方ともなのか片方だけなのか、他車のアシストを得てとしたら、これらの数字は彼らの純粋な能力をクリアに反映していない。L2、L3の数字は素晴らしく、それらはトウを利用していなかったのだから彼らのマシンはとても速い……と捉えることもできるかもしれないが、1ラップ目にトウのメリットを受けているとしたら、そこで得たモーメンタムがL2、L3に何らかの影響(=スピードを高める効果)を及ぼすとも考えられる。

 カーペンターのシミュレーション1回目は、
L1 233.292mph
L2 233.007mph
L3 232.884mph
L4 232.689mph
平均が232.968mph。さらにトリムして行ったであろう2回目は、1ラップ目は233.6mph台で、2ラップ目がそれ以下だったので、そこで走行は中断された。

 琢磨のシミュレーションは1回目が、
L1 232.869mph
L2 232.701mph
L3 231.247mph
で、L4はターン2でマシンがルースになったためアクセルをリフト。シミュレーション2回目は1ラップ目が231mph台だったためにピットに向かった。そして、3回目は1周目に223.441mphが記録されたが、前述の通りヴィーケイのトウ利用となってしまった。その後に231mph台のラップを2周続けた琢磨はこの時も4ラップのシミュレーションを完成させずにピットに戻った。

 5台がファスト12入りしているガナッシ勢のマシン・セッティングがこのセッションのコンディションには最もマッチしていた上に、彼らは豊富なデータ収集を行うこともできていた。エド・カーペンター・レーシングは攻めのセッティングを好むチームだが、マシンのレベルをさらにもう1ステップ高める必要を感じたことだろう。アロウ・マクラーレンSP、アンドレッティ・オートスポート、デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRはやや厳しい状況に追い込まれた感がある。しかし、このセッションでのスピードに囚われ過ぎることなく、午後4時開始の予選時のコンディションにどれだけセッティングを合わせるかにフォーカスすべきだろう。そしてドライヴァーたちが、ミスのないドライヴィングを4周に渡って実現すること(それも2回)で栄光のPP獲得は果たされる。
以上

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