2013年5月4日土曜日

2013 INDYCAR プレビュー R4 サン・パウロ:ウィル・パワーのブラジル4連覇はあるのか? 佐藤琢磨の2戦連続優勝の可能性は?

注目のドライバーはパワーと琢磨とハンター-レイ

 サン・パウロのレースといえばウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だ。去年までの3レースすべてで彼が勝っている。
 サン・パウロは佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が得意とするコースでもある。デビューイヤーだった2010年こそ1周目の1コーナー前でクラッシュ&リタイアとなったが、2年目にはチームのボーンヘッドさえなければ優勝していただろう決定的な速さをウェットコンディションで見せ、去年は25番手という後方スタート(予選前にエンジントラブル発生でエンジン交換=10グリッド・ペナルティ)ながら自身初の表彰台フィニッシュを達成する3位でゴールした。
 そしてもう一人、ブラジルで強いドライバーとしてライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が挙げられる。彼は2回の2位フィニッシュを記録してきている。上記3人は今年も速いだろうし、彼らのチームメイトたちも要チェックだ。

地元ブラジリアンとチップ・ガナッシ勢はなぜか例年不振

 過去3年のレースを見ると、ブラジルではブラジル人ドライバーとチップ・ガナッシ・レーシングがイマイチ振るわない。ブラジリアンで表彰台に上ったのは2010年のヴィトール・メイラだけ(=コレがAJ・フォイト・エンタープライゼスでだった)。ガナッシ勢はダリオ・フランキッティの2011年の4位がベスト・リザルト。スコット・ディクソンは2010年の6位がベストと、彼らしくない。今年もこの傾向は続くのか、それとも誰かが一矢報いるのだろうか。

ウエットなら琢磨、と言われているが雨の確率はかなり低そう

 ウェットでなら琢磨は優勝候補の筆頭か、それに近いポジションにランクされる。「ウェットは得意」と宣言し、その通りに速いドライバーを挙げるとすれば、琢磨の他にはフランキッティになるだろうか? しかし、今週末の天気予報は晴れ、もしくは曇りで、雨の確率はかなり低そう。気温も平年並みの20℃台半ばとなるようだ。
 去年はパワーがシーズン4戦目で早くも3回目のポール・ポジション獲得を記録したが、今年の彼にはそこまでの切れ味がない。ガムシャラに、貪欲に全セッションでスピードを追い求めるスタイルから一転、決勝レースにフォーカスし、よりリラックスし、自らの持つフィーリングを頼りマシンをセットアップするスタイルに変更したという彼は、狙い通りの成果を得られていないのだ。

まずはパワーの予選がどうなるか……

 ここまで3戦して未勝利のパワーは、去年までのなものに戻すことを検討すべきかもしれない。あるいは、その判断を無敗のサン・パウロで下そうと考えている可能性もある。パワーによる3年連続のポール奪取はなるのか? まずはそこに注目したい。
 去年のレースでは、パワーが75周を2ストップで走り切ってしまった。多くのドライバーより1回少ないピットストップでゴールしたのだ。予選5位だったRHRがパワーと同じ2ストップ作戦だったが、スピードではパワーにまったく叶わなかった。
 パワー&ペンスキーの去年の強さは、メカニカル・グリップの高さにあった。サン・パウロの重要コーナー=ターン4とターン10での去年の彼のコーナリング・スピードは抜きん出ていた。しかし、そのアドバンテージが今年は消滅しているようだ。ライバルチームもマシンセットをハイレベルに仕上げてきているのだ。

ヴォーティエ、サン・パウロで大ブレイクなるか?

 今週末に私が注目したいドライバーは、ルーキーのトゥリスタン・ヴォーティエ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。ロング・ビーチでも彼はそのポテンシャルの高さを見せていた。スタート直後にスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)に後ろからヒットし、ペナルティで最後尾まで一端下げられながら、3位にまで順位を上げた。上位フィニッシュが果たせなかったのはピットでパワーとの接触があったため。それは彼ではななく、クルーのミスによるものだった。去年のルーキー・オブ・ザ・イヤーで、いつ優勝しても不思議はないと見られているシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)の目を丸くさせる速さを持つヴォーティエは、去年までのパワーに匹敵する圧倒的な速ささえ発揮する可能性を秘めた逸材だと思う。


興味深いホンダとシボレーのエンジンバトル

 マシン面では、サン・パウロのバック・ストレッチがとても長いので、2ブランドあるエンジンのパワー比較ができる。インディー500を前にしての彼らの力関係はどうなっているのか? 開幕戦ではホンダが不利にあったが、第3戦ロング・ビーチではホンダがシボレーと肩を並べたように見えていたが……果たして……。
 エンジンの燃費性能に関しても、ブラジルは我々に何かを見せてくれそうだ。去年はシボレーV6ツインターボが優位にあった。ホンダ勢の2ストップでのベストはフランキッティによる5位だった。スタートから2ストップを強く意識した戦いぶりを見せていた彼は、ライヴァル勢と同じペースを保つことができないでいた。
 おもしろいのは、去年のブラジルの次のレース=インディー500ではホンダが燃費でのアドバンテージを持っていたことだ。今年もカレンダーは一緒で、ブラジルの次はインディーだ。そして、今年のロング・ビーチまでのレースを見る限り、またしてもシボレーが燃費は優れていた。ただし、全開で走る時間が断然長いインディアナポリス・モーター・スピードウェイでは、去年と同じように形勢が逆転する可能性もある。
以上

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