2015年6月8日月曜日

2015 INDYCARレポート R9 ファイアストン600 Day1 ファイナル・プラクティス:最速はファン・パブロ・モントーヤとグレアム・レイホール=同タイム

ファイナル・プラクティスでモントーヤと並ぶトップタイムをレイホールがマークし、ホンダ勢が好調。決勝でのタイムの落ち込みはシボレーのほうが大きいのでは? という見解もあり、決勝でのホンダ勢に注目だ Photo:INDYCAR (Chris Jones) 
決勝レースとまったく同じ時間帯ではないために
難しさを増すマシン・セッティング


 予選を終えて、日の傾き始めた午後6時45からインディーカーは30分間のファイナル・プラクティスを行った。気温はまだ33℃もあったが、真っ昼間の予選に比べると、路面のコンディションは10℃以上下がり、レース時のものに近づいていた。しかし、スタート時刻は7時50分なので、レースとまったく同じ時間帯での走行とはならない。金曜日もナイト・レースが行われるので仕方がないと言えば仕方がないのだが、インディーカーはまるで難しい宿題を出してニヤニヤしている先生のように、チーム&ドライバーが決勝のコンディション予測やベストのセッティングとその幅で頭を悩ませるのを見て楽しんでいる。
 それは少々行き過ぎの感がないでもない。今回は新エアロ・パッケージになっているというのに、プラクティスは予選前に1時間あっただけ。その上、予選では決勝とは異なるコンフィギュレーションでの走行を許可。当然、アドバンテージを求めて多くのチームが予選トリムにチャレンジしていた。そして、予選後に行なわれる30分間のプラクティスが決勝前に走れる最後のチャンス……。「みんな同じ条件だから」と誰も言い訳はしないが、データ不足、練習不足の状況にあるのは間違いない。これによってチーム間の差が広がり、優勝コンテンダーが少なくなってレースのおもしろみが減る……という可能性が心配される。

そんな中、モントーヤは予選セッティング完全無視で決勝に集中 
 ファイナル・プラクティスで最速ラップをマークしたのは、ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)とグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だった。小数点以下4桁までまったく同じラップによる2人トップ(こういう場合、先にそのラップを出した方が上に表示される)。トップがまったくの同一タイムというのは非常に珍しい。

 ペンスキー勢では一番後方の5番グリッド(他の3人で予選1-2-3)からスタートする今年のインディ500チャンピオンが、またしても決勝を前に仕上がりの良さを垣間見せた。
 モントーヤとレイホールの記録したファイナル・プラクティスでのベスト・ラップは215.002mphで、ドラフティング利用だったが、予選での彼らの2ラップ平均より約2.5mph遅かった。モントーヤが予選前のプラクティスで出していてベストは213.333mph。やはり、開幕以来ポイント・リーダーの座に居続けている彼は予選セッティングは完全無視で決勝用セッティングに集中していたのだ。それでもモントーヤは予選5位と、まったく悪くないグリッドを確保してみせた。
「自らの決勝用セッティングや、チームメイトたちからの情報だけで予選は何とかカバーできる」と、モントーヤはチーム・ペンスキーで走っているメリットをフルに利用した参戦姿勢を取っているのだ。3年連続ポール・シッターとなったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も、楽な戦いさせてはもらえなそうだ。

このセッション、ホンダ勢がトップ3に2人、トップ5には3人!!
 レイホールの速さも決勝が楽しみとなった。「シボレーの方が決勝でのスピード・ダウンは大きくなるのでは?」というカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)は予選後に話していたが、それは希望的観測でもないようだ。ファイナル・プラクティスで3番手にギャビー・シャヴェス(BHA・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)、5番手にライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、8番手にムニョス自身がつけた。ホンダ勢がトップ3に2人、トップ5に3人、トップ10に4人入っていたのだ。トラフィックでの走りではホンダ勢にも充分戦闘力アリと見ることができるようだ。
 しかし、佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は211.982mphのベストで13番手と、期待されていたよりも順位が悪かった。トップより3mph遅いのは、あまり歓迎できる状況ではない。チームメイトのジャック・ホウクスワースは、210.213mphとさらにスピードが伸びていなかった。琢磨はこのセッションを左右非対称ウィングレットで走っていたが、エアロ・バランスを始めとして、レースまでにセットアップをもう一度深く考え直す必要に迫られたと言える。
 「タイヤの持ちが思っていた以上に悪かった」と前を行くマシンにジリジリ引き離されて行ってしまっていた苦しい状況を説明していた。それでも「これから色々と検討します。レースも頑張って行きます!」と明るい表情でガレージへと戻って行った。

Jack Amano

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