2017年8月27日日曜日

第15戦 ボマリート・オートモーティブ・グループ 500 Race Day 決勝:ジョセフ・ニューガーデンの4勝目はチーム・ペンスキー内部に波紋?

今シーズン4勝目一番乗りを果たしたニューガーデンだったが、その勝利はペンスキー内部に亀裂をもたらしかねないものだった Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ポール・ポジションスタートのパワー、まさかの瞬間リタイヤ

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が1回目のリスタート直後にまさかのクラッシュ! 予選2位だったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)にアウトサイドからパスされ、ターン2出口でタービュランスを浴びてのことだった。

低い路面温度のため、ウォームアップ・ラップでカナーンが単独クラッシュ。アンダーイエローでレースが始まり、最初のグリーンフラッグの1ターン立ち上がりで、ニューガーデンにアウトからパスされたパワーがスピンしてクラッシュ。後方からカーペンターと佐藤琢磨がスピンしながら突っ込むマルチクラッシュに Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡 
 タイヤが暖まり切る前…………って事情はわかるが、ポールスタートでこのミスはナシでしょ…………。参戦間もないってドライバーでもないんだし。これで2度目のタイトルは消えたか??
ニューガーデン、レースの大半をリードする快走

 パワーがいなくなっても、チーム・ペンスキーの強さは保たれた。残る3台がトップ争いを最後の最後まで展開し続けたのだ。


Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 ポイント・リーダーのニューガーデンは、6周目にトップに立つと、。悠々とリードを維持し続けた。しかし、ピット・ストップで所定の位置にキッチリとマシンを停められずにタイム・ロス。トップはエリオ・カストロネヴェス大先輩(チーム・ペンスキー)の手に渡った。
 しかし、次のピット・ストップではエリオの方がエンジン・ストールの大チョンボ(!)。レースのリードはまたもニューガーデンの元へと戻った。ニューガーデン、ツキがある。あとはソレを最終戦が終わるところまでキープできるか、となった。

チームメイトのパジェノーに先行され、迎えたラスト30周
ニューガーデンは1ターンでパジェノーに接触しならが強引にパス

 200周を超えて最後のピット・ストップを行う時がやって来た。ここでニューガーデン、またも時間をロス……シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)先輩に先行を許した。ずっとトップに立てずにいたパジェノーが、とうとう最後の最後でトップに立った。彼が勝てばチャンピオン争いはさらに混沌とする……などと考えているうちにレースは残すところ30周となった。


パジェノーに迫るニューガーデン。問題のオーバーテイクは、この直後に、1ターン進入で発生した Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
 ターン4を立ち上がるとインへとラインを振り、オーバーテイクを許さない。ポコノでパワーが勝利を収めたのと同じ考え方だ。アウトからのパスは非常に難しいからだ。
 しかし、パジェノーが僅かに空けた空間にニューガーデンは飛び込んで行った。そして、チームメイトのマシンに軽くヒット、こじ開けるようにしてオーバーテイクを実現させた。
 トップに復活した彼は、そのままゴールまで走り切った。

パジェノーはスペースをくれたのか?

 パジェノーはインに小さなスペースを作るのが一瞬早かった…………かもしれない。あるいは、新チームメイトを信用し過ぎていた。ニューガーデンは、”空間が見つかったから、そこへ飛び込んだ”と主張。「スペースをもらえるとは思わなかった」とも話した。しかし、パジェノーはチームメイトならここまで狭めたところには入ってこないと考えた。だからラインを外へと少し振った。そこへニューガーデンは、「スペースをくれた」と考えて飛び込み、接触を起こしてオーバーテイクした。
 接触するとわかっていての接触は、審議やペナルティの対象となるのでは? あのアングルでターン1に突っ込んで、彼はぶつからずにちゃんとターン1を曲がり切れたんだろうか? そこも疑問だ。

釈明するニューガーデン
「スペースをくれたら、僕はそれを取りに行く」


 「パジェノーはアクセルを戻すべきだった、あそこまで僕に並びかけられたのだから」とニューガーデン様は主張なさっていたが、彼の方が先輩に敬意を払い、ぶつからずにパスする道を探すべきだったのでは? 「彼が少し動いてくれないと、僕は縁石に乗り上げていた」とニューガーデンはコメント。つまりは、パジェノーの協力なしにパスは不可能な場所へ無理やり飛び込んだということか。若きポイント・リーダーのアタックは強引過ぎたかもしれない。


Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
  ニューガーデンの釈明は続く。「正直言って、あの時僕はサイモンがアクセルを戻してラインを外へ取ると考えた。しかし、彼はそうしなかった。だからコーナーに入って行く僕らは、そこで何とかしなくてはならなくなった。そもそも、僕は彼がスペースをくれたことに驚いた。スペースをくれたら、僕はそれを取りに行くさ。僕は最多リード・ラップを記録して、勝てるポジションにあったんだから。リードを失ったのはピット・ストップでのこと。彼は僕がパスをトライするとわかっていたはずだ。僕はピットでの順位変動で勝てるレースを失いたいとは考えていなかったから」。
 序盤からずっとトップを走っていたから……勝つ権利があるワケじゃない。パジェノーは正々堂々と戦ってトップに立った。彼の戦いぶりにまったく否はない。パスが不可能と考えられる位置までインにラインを保って走ったつもりだったが、ニューガーデンとはその境界線の理解に違いたあった。彼はまだ突っ込めると思っている場所で空間ができたので、道を譲ってくれたと捉えた。随分と楽観的な物事の捉え方とも思える。
 

パジェノー 「彼に対する信頼はなくなった」

 「ロードコースのコーナーだったら、アレは素晴らしいオーバーテイクだった。しかし、オーヴァルで接触してのパスは御法度だ。ロードコースならスピードは40mphとか50mphだ。しかし、ここゲイトウェイのターン1ならスピードは190mph出ている」とパジェノーはニューガーデンのレースぶりを批判し、「彼に対する信頼は無くなった。尊敬も消えた。彼は私に敬意を払っていない」と怒りを表しもした。

レース直後、感情を抑制してインタビュー対応していたパジェノーだが、失意のほどは大きい。さすがのジェントルマンもニューガーデンが立ち去ったあとの表彰台でご覧のポーズ Photo:INDYCAR (Bret Kelley) クリックして拡大
 ディフェンディング・チャンピオンで、ニューガーデンにとっては先輩チームメイトでもあるパジェノーは、フェアプレー精神の塊。同時に、チームワークという点についても極めて紳士的な考え方の持ち主だ。ゲイトウェイでのニューガーデンのパスは、彼のルールに合わないものだった。
 両者は話し合いで合意に達するだろうか? それも、ワトキンス・グレンでの週末を迎える前に。時間はほとんどない。チーム・ペンスキーとしては、この問題にどこまで関与をするのだろう。ドライバー同士での解決することを期待するのか、ロジャー・ペンスキー御大自らが二人と話し合う? それとも社長のティム・シンドリック(ニューガーデンのストラテジストを担当)が間に立つ? 話をキッチリつけておかないと、義理堅く真面目なフランス人チャンピオンでも残る2戦でニューガーデンにお灸を据える行為に出ることだって考えられる。後輩チームメイトに舐められちゃマズイので。
以上

1 件のコメント:

  1. アンドレッティが、来年もホンダエンジン継続と載ってましたが…琢磨選手も来年はアンドレッティから走るのですか?インディ500ウィナーを簡単に手放すわけないと思うのですが…。

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