2018年3月11日日曜日

2018 INDYCARレポート R1 セント・ピーターズ・バーグ Day2 予選:開幕PPはルーキーのロバート・ウィッケンズ

デビュー戦PPの離れ業をなしとげたウィッケンズ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
天候:曇り 時々 小雨
気温:21℃

Q2から雨が降り出す条件の中、ルーキー3人がファスト6に!
 予選ファイナルに進んだ6人をセカンド・ステージの通過順位通りに並べる。
 ロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)(R)
 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
 ジョーダン・キング(エド・カーペンター・レーシング)(R)
 マティアス・レイスト(AJ・フォイト・エンタープライゼス)(R)
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)
 ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)
 ルーキーが3人も含まれている。チーム・ペンスキーはパワーひとり。アンドレッティ・オートスポートもひとり。チップ・ガナッシ・レーシングはゼロ(!)
この3人のルーキーたちが見せたパフォーマンスも凄いが、そこにはセカンド・ステージから降り出した雨も大きく影響していた。結果から見ても、ヴェテラン勢は少々慎重になっていたようだ。


ウィッケンズはQ1をクループ1の3位、Q2をトップ!で通過 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
ウィッケンス、運だけでない巧みなマシンコントロールで初出場PP
 私はピットで観戦していたが、雨は降ったり止んだりしていた。コースの反対側はあまり降っていなかったようだ。路面は刻々と変化していた。一番厄介だったのは、メイン・ストレート・エンド。滑走路上の幅広いペイント部分のグリップが他と比べて断然低く、誰もがブレーキが一切効かずに直進するか、あっという間にライドを始めるマシンをなんとか必死にコントロールすることを迫られていた。

 そんなコンディションが一番ひどかったのがファイナル・ステージ。そして、そこで最速ラップを記録したのはカナダ出身、28歳のルーキー=ウィッケンズだった。アタックしたタイミングが良かった……だけではない。彼はグリップの低いターン1~2で巧みにマシンをコントロールしていたということだ。ドイツのDTMで戦って来た彼は1分01秒6643をマーク、パワーをトップの座から0.0721秒の僅差ながら引き摺り下ろし、キャリア初PPを獲得した。

ウィッケンズ「自分がPPと聞かされて驚いた」
 「感激で言葉もないよ。開幕戦を迎えることにさえ興奮していた僕は、予選はトップ10に入れたらいいな……ぐらいに考えていた。それがファイナルに進めちゃったんだから、”オーケー、思いきり楽しんでやれ!”って考えた。そして、チームが最高の仕事をしてくれた。コンディションに合わせようと最後に施したセッティング変更が完璧に当たりだった。予選中は自分のポジションがまったくわからなかった。だから自分がPPだって聞かされて驚いた。もちろん、その後にすごくハッピーだと感じたけれどね」とウィッケンズは喜んでいた。一緒にカナダでステップ・アップして来たジェイムズ・ヒンチクリフがプッシュしてくれたおかげでシュミット・ピーターソン・モータースポーツのレギュラー・シートを掴んだウィッケンズだが、旧友への恩返しをいきなり開幕戦で済ませることになった。彼を選んだチームもこのパフォーマンスなら納得だろう。オフの間のエンジニアリング陣営の再構築も成功したということだ。

ルーキー勢の活躍にセカンドポジションのパワーも脱帽


初日から好調だったレイストもファスト6に進出し予選3位に Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 「ダウンフォースの少ない今年のマシンはセッティングのウィンドウにマシンを入れるのが簡単だから、それも影響してのことだと思う。しかし、今日の彼らルーキー3人のパフォーマンスは掛け値無しに素晴らしかった」と予選2位となったパワーはPPゲットしたウィッケンズ、予選3位に食い込んだレイスト、予選4位のキングの3人を讃えた。

佐藤琢磨、繰り上がりのQ2進出からファイナルステージ5位ゲット

 
Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

  琢磨はチームを変わっても去年と同じ予選5位だった。9回目のセント・ピートで5回目のファスト6だ。
 チームメイトのグレアム・レイホールはステージ1でクラッシュしてしまった。そのクラッシュの清掃で予選ファースト・ステージのグループ2は残り時間がなくなると思われ、5番手につけていた琢磨は難なくセカンド・ステージ進出がなると思われた。ところが、2分ほどを残してセッションが再開され、1ラップのみのアタック勝負となって琢磨は7番手に沈んだ。一転してQ1で予選終了か……・と思ったら6番手につけていたマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)がスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)の走行を妨害したペナルティで最速2ラップ剥奪。琢磨は6番手に繰り上がってQ2に進出した。
 Q2を琢磨は6番手でぎりぎりクリアした……と思ったら、今度は3番手にアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)のアタックを妨害したと判定されてポジション・ダウン。彼の代わりにファスト6に駒を進めたのはチームメイトのハンター-レイ。琢磨は5番手、RHRは6番手でセカンド・ステージを終え、ファイナルでの順位はまったく同じになった。

「新しいチーム、新しいマシンでの最初のレースでこの予選順位は満足」
 「もっと雨が降るという読みでセッティングを変えた。しかし、そうならなかった」と琢磨は悔しがっていたが、「新しいマシン、新しいチームでの最初のレースでファスト6に進出して、予選5位なら嬉しいですよ」とも語っていた。チーム・オーナーのボビー・レイホールも、「いいシーズン・スタートを切った」と納得顔だった。
 

Photo:INDYCAR (Chris Owens)
 「金曜日のプラクティス1でセッティングが良くなかったことで、僕らは1セッションのビハインドになっていた。そこからマシンを少しずつ良くして来ました。そうして迎えた予選ですが、私はそれを楽しむことができてました。とてもトリッキーなコンディションでの戦いになっていましたね。もう少し前のグリッドを獲れていたらもっと嬉しかったけれど……。フロントローグリッドも狙えた状況だっただけに……。それでも、今日はチームが難しいコンディションに見事に対応してくれていました。コースへ送り出すタイミングもパーフェクトでしたし……。予選より重要なのは明日のレースで強いマシンを作ること。まだブラック・タイヤがどこまで持つのかもキッチリとチェックができているチームはないでしょうから、どんなレースになるのか楽しみです」と琢磨。レースに向け、彼は確かな手応えを掴んでいるようだった。
以上



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