2018年6月24日日曜日

2018 INDYCAR レポート R10 コーラー・グランプリ・アット・ロード・アメリカ Day2 ・予選:チーム・ペンスキーの2人がファイナル・ステージで実力発揮

巧みなタイヤマネジメントでファスト6を制したニューガーデン。ペンスキーにとって、ロード・アメリカのインディーカーレースで10回目となるポール・ポジションだ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
ニューガーデン、0.05秒差でパワーを抑える

 ロード・アメリカでの予選でポール・ポジションを獲得したのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。
 Q1をグループ2で戦ったニューガーデンは、2番手でそこをクリア。タイムは1分43秒0013だった。トップはルーキー・センセーションのロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)で、1分42秒9097をマークしていた。続くQ2でもニューガーデンは2番時計だった。1分42秒9296とQ1より速く走ったが、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が1分42秒7998を叩き出してトップだった。そして迎えたファイナル・ラウンド。ニューガーデンのベストは1分43秒2026。最も重要なセッションで最速ラップを完成させ、見事PPを手に入れた。2番手は先輩チームメイトで、インディカーで歴代3位の51回のPP獲得歴を誇るウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。彼のラップは1分43秒2508で、ふたりの間には僅かに0.0502秒しか差がなかった。



Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
今シーズン早くも3回目のポール・ポジション
賞賛すべきニューガーデンのパフォーマンス
 Q1とQ2は上位6人に入りさえすれば良く、一番肝心なのはQ3。ユーズド・レッドでどれだけ速く走れるかによって栄えあるPP、そしてその他のフロント3列のグリッドは決まる。フレッシュ時よりパフォーマンスの下がっているタイヤでどれだけ速いラップを刻めるかが勝負なのだ。そして、今週のロード・アメリカは全長が4.014マイルとシリーズで最も長い常設サーキット。コーナーの数は14もあり、その中には大きく回り込む高速コーナーのカルーセル、その先のキンクといったリスキーで勇敢さを試されるものも含まれる。ニューガーデンはシリーズで最も難しいロードコース予選でてっぺんを獲った。そのパフォーマンスは大きな賞賛に値する。

 これでニューガーデンは今シーズン早くも3回目のPP。現在27歳の彼にとってはキャリア5個目のPPとなった。意外に少ないと感じられるだろうが、歴代2位タイに2個まで迫っているパワーが27歳の時、彼のPP獲得回数は7回でしかなかった。ニューガーデンの5個とほとんど変わらない。そして、ニューガーデンは今シーズン中にその数字に追いつくことが十分に可能だ。そして、今と同じペースでPP獲得を続けて行けば、将来的に彼がパワーを上回ることさえ考えられる。
 予選は今週一番の暑さになっており、タイヤへの負担は3回行われたプラクティス時よりも大きくなっていた。そこでニューガーデンがPPを獲得した意味は大きい。マシンのセッティングを最も高め、その実力を引き出す走りを実現したのがニューガーデンとパワーを擁するチーム・ペンスキーだった。そして、ニューガーデンはPP獲得にかけては圧倒的な実績を誇るパワーを倒して見せたのだ。

ホンダエンジンの優位性が感じられた予選
ペンスキー勢との差はタイヤマネジメント

 

ステージ1のグループ2では、プラクティス3に引き続きトップタイムをマークしたウィッケンズ。ステージ2では5位、ファスト6でも5位に Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  今日の予選全体を見渡すと、最速ラップはQ2でトップを獲ったロッシの1分42秒7998で、2番目はQ1グループ2でトップだったロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)の1分42秒9097だった。これが何を意味するかと言えば、シボレー・エンジンのピーク・パワーにおけるアドバンテージが決して大きくないということだろう。急坂のメイン・ストレートをはじめ、パワーが重要な意味を持つロード・アメリカだが、そのパワーが大きくものを言う予選でより速いラップを実現していたのはホンダ・エンジン搭載の2人だったのだ。大きな影響力を発揮していたのはエンジン・パワーの差ではなく、マシンのセットアップ能力、コンディション変化に対する読みと対処、そして、ファイアストンのレッド・タイヤの使い方の差だった。ロッシとウィッケンズが今後PPを獲得するためには、ファイナル・ステージにおけるユーズド・レッドでの走り、あるいは、ファイナルに至るまでのレッド・タイヤのマネジメントを今より1ステージ引き上げる必要がある。

気を引き締めるニューガーデン
「決勝という二つ目の戦いを制することが重要だ」


 「PPを狙えるマシンがある。それは素晴らしいことだ。昨日のプラクティス2セッションで速かった自分たちとしては、今日こうして予選でも最速となれてうれしい。しかし、PPはひとつ目のゴールでしかない。決勝レースというふたつ目の戦いを制することがより重要だ。その目標を明日、達成したい」とニューガーデンは語った。


2016年のロード・アメリカのウィナー、パワーも純情な仕上がりぶり Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 パワーは、「惜しかった。Q3最後のラップでは持っている力のすべてを振り絞ったが、僅かに届かなかった。今年はフロント・ロウ獲得を続けて来ている(6回目)が、PPは1回しか獲得できていない。それでも今日の私はとてもハッピーだ。差が100分の5秒差だったと聞くと悔しいけれどね。実際、かなりいいラップだったんだ。ジョセフがすごいラップを完成させたということ。こちらは全部出し切った」と話した。

ホンダ勢最上位のハンター-レイ
「優勝を狙えるグリッドなので文句はない」

勝負への貪欲さが甦ってきた、と語るハンター-レイ。ユーズド・タイヤでのパフォーマンスに自信をのぞかせる Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  ホンダ勢のトップとなる予選3位となったのがライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。若いチームメイトのロッシに昨シーズンから押され気味で来ていたが、デトロイトでのレース2での勝利で以前の走りの鋭さ、勝負への貪欲さが戻って来ている。「事前テストに来なかったので週末のスタートでは遅れを採っていたが、セッティング変更がどれも良かったことで予選も力強く戦えた。予選前のプラクティス3で2番手だったからPPを狙っていたが、結果は3位。しかし、決して悪くないグリッドだ。優勝を狙える位置からのスタートなのだから文句はない。ライバルたちの決勝セッティングがどうなるかが楽しみだ。今回はレース・デイにファイナル・プラクティスが行われないスケジュールだから。ユーズド・タイヤでの走行となった際にマシンがどのような動きを見せるのか、それを僕らは把握できているので、きっといい戦いができるはずだ」と彼は自信あり気だった。

ロッシ「昨日苦しんだことが一晩で解決された」


Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  ロッシも、「Q1、Q2をトップでクリアしながらPPを取り逃がした点は悔しいが、非常に僅差での勝負になっていたのも事実だ。それに、4位からなら十分に戦える。全長4マイルのコースでここまで差が小さいことには驚かされる。その中で上位のグリッドを確保できたのはチームの頑張りがあってのことだ。昨日苦しんでいた面が、一晩で解決されてスピード・アップできた。その点もレースに向けて勇気付けられる」と表情は明るかった。

 上記の4人以外でファイナルに進んでいたのはウィッケンズとセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)。ウィッケンズが予選5位、ブルデイが予選6位となった。

佐藤琢磨は惜しくもファイナルステージ進出ならず

 
Photo:INDYCAR (Matt Fraver) クリックして拡大
 予選7位は佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。8位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、9位はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)で、シボレー陣営3番目のグリッドとなる10位がスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)。11位はルーキーのザック・ヴィーチ(アンドレッティ・オートスポート)で、12位はエド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。

 今回Q1での敗退を喫した中には、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、ジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が含まれていた。
以上

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