2018年8月20日月曜日

2018 INDYCARレポート R14 ABCサプライ 500 Race Day 決勝:アレクサンダー・ロッシ圧勝

前戦のミッド・オハイオから2連勝。シーズン大詰めに向けてロッシの勢いが止まらない Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ロッシ、1スティントで8秒をリードする速さ
リードラップは実に180周!

 第13戦ミッドオハイオで圧勝したアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が第14戦ポコノでも予選3位から優勝した。スタートでジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)をパスし、フルコースコーション明けのリスタートでは予選1位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を抜き去ってロッシはトップに躍り出た。
 予選ではパワーが圧倒的な速さを見せていたが、レースではロッシが最速だった。1スティントで8秒の差をパワーにつけ、レースを完全にコントロール下に置いて、200周のうちの180周をリードしてチェッカーフラッグを受けた。今季3勝目はミッドオハイオからの2連勝。キャリア5勝目はオーバルでの2勝目となった。


単独でも、トラフィックの中でも抜群の早さを見せたロッシ。アンドレッティ・オートスポート勢の好調ぶりが光った Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ロッシはチームの勝利を強調
「ヴィーチが発見したセッティングが僕らの大きなアドバンテージだった」
 レース終盤、ピットタイミングを遅くしたパワーがリードを取り返すシーンがあった。しかし、ターン1でアンダーステアを出した隙をロッシは逃さず抜き返し、その後は差を拡げて行った。最後のピットストップでもタイミングを遅らせる作戦を採用したパワーは周回遅れに進路を阻まれ、逆に差を広げられて逆転のチャンスが潰えた。
 「今日のマシンは誰より速かった。チームの力だ。今週末も勝てるマシンを用意してくれた。そこには先週ここでテストを行ったルーキーのザック・ビーチの大きな貢献があった。彼が発見したセッティングが僕らのアドバンテージだった」とロッシは喜んだ。2連勝でディクソンとのポイント差は29点に縮まった。

ポール・ポジションスタートのパワー
トラフィックでのパフォーマンスに苦しみ2位に


ピットストップ作戦も駆使して、何とかロッシの前に出たパワーだったが、コース上のパフォーマンスでは抗することができず2位に Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  パワーはトラフィックでのパフォーマンスが低かった。ダウンフォースを小さくしたセッティングはトップを走れば速いはずだったが、予選のような優位は獲得できなかった。それでも2位フィニッシュでタイトル争いには踏み止まっている。ディクソンとの差は81点となった。
 ニューガーデンは5位でゴール。ポイントスタンディング3番手は保ったが、ディクソンとの差は66点に広がった。

光ったディクソンの粘り
マルチクラッシュも回避し予選13位から3位フィニッシュ


予選でセッティングを失敗したディクソンは、その後走行がないまま決勝に臨んだが、粘って3位に。ロッシとの差は17ポイント詰まったもののランキングトップを守る Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  今日はディクソンの予選13位からの3位フィニッシュもすごかった。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)とロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)の大アクシデントを見事に潜り抜けたのは幸運だけでなかった。わずか7周で9番手まで順位を上げた彼は、2回目のピットストップを終えた時点で4番手に浮上。我慢強くミスなく走り続け、ついにマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)を攻略、3番手までポジション・アップし、終盤戦ではセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)のアタックを振り切った。

ターン2の大クラッシュでウィッケンズが救急搬送
8番手走行中の佐藤琢磨も巻き込まれてリタイア


ターン2の大クラッシュでレースは赤旗に。ウィッケンズのマシンが激突して破壊されたターン2のキャッチフェンスの修復作業に長い時間を要した。上空ではメディカルヘリが負傷したウィッケンズを救急搬送している Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 最後に、序盤の大アクシデントについて。7周目に切られたリスタートの直後、ターン2で5台がリタイアする多重クラッシュが起こった。ウィッケンズがハンター-レイにアタック。タイヤ同士が接触したためだった。ウィッケンズは壁にヒットした後に空を舞ってキャッチフェンスに激突! すぐ後ろを走っていたジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング)が巻き込まれた。アグレッシブな走りが魅力のウィッケンズだが、今回は少々無理があったかもしれない。ハンター-レイは相手が引くのが当然と考えていたのか、1台分のラインを空けることはしていなかった。500マイルのロング・レースでもあり、ウィッケンズは引くべきだったとも考えられる。
 すざまじいアクシデントだったが、ウィッケンズは意識を保ち、骨折などの負傷を治療すべくサーキットからヘリコプターでリーハイバレー病院へと搬送された。
以上

3 件のコメント:

  1. 琢磨選手、今回もポコノの悪魔に取りつかれてしまいましたね…………(ー_ー;)

    確かに昨年はポール獲得したんですが、レースでは過去ピットロードでハンター=レイと追突したり、スタート直後にエンジントラブルに見舞われたりと琢磨選手はポコノでは完走できないんですよね………。

    で、今季も多重クラッシュに巻き込まれ………。

    お祓いしたいですわ。

    今週末は早くもゲータウェイ。これまでの悪夢を振り払い、アイオワで見せた笑顔の表彰台をまた見てみたい。

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  2. それからウィケンズの容態も気がかり。

    手術したみたいですが、脚や肺などダメージがあったみたいで、このまま今季終了の可能性もあるとなると、本当に寂しいです。

    今はゆっくり怪我を治して、来季のセント=ピーターズバーグで元気な姿をみせてください。

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  3. 天野さん、取材おつかれさまでした。今回の多重クラッシュは、すごかったですね。ウィッケンズも、意識はあると知って安心しました。ハンターレイは、かなり落ち込んでましたが…。気になったのが、リスタートが近づいているのにブルデーがなかなか準備に入らず電話をしていたことです。かなりナーバスになっていたみたいですね。ディクソンとブルデーは、去年クラッシュに遭っているだけに不安も大きかったと思います。でも、その2人が3位と4位でレースを終えました。スイッチが入って、恐怖や不安を払いのけハンドルを握る。ブルデーは、すごいなって思いました。もっとファンになりました。レース後のインタビューがなかったのは、残念でしたが…。次のゲートウェイも、楽しみにしてます‼天野さん、体に気をつけて取材してくださいね。

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