2019年2月13日水曜日

2019 INDYCARレポート オープン・テスト at COTA Day1 プラクティス2:ハータ二世、またしてもトップタイム!

午後のセッションでもハータ二世はベテラン勢を寄せ付けないタイムでCOTA初日の首位をキープ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
気温と路面温度が上昇した午後のセッション
ベテラン勢も48秒台を続々とマーク


 プラクティス1の最後は気温が15℃、路面も21℃以上になっていた。
 プラクティス2は午後2時半スタート。気温は17℃まで上昇。陽が照り続けたことで路面もまでアップした。ただし、午後も風はまだ強いままだった。


ロッシがコルトン・ハータのタイムを更新して暫定トップに浮上 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski)クリックして拡大
 走行開始30分、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が自身のこのセッション2周目に午前中のトップ・タイム(by コルトン・ハータ)を抜く1分48秒3967をマークしてトップに立ち、すぐに1分48秒2043まで縮めた。
 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)もペース・アップ。午後3時前に1分48秒0319でトップに躍り出た。
 朝のセッションで2番手だったマーカス・エリクソン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)もプラクティス1最速ラップを上回る1分48秒5596を出して3番手。
 彼らに続いたのはサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)。今年はフル・シーズン・エントリーする予定のルーキーが1分48秒3851で3番手に食い込んだ。

ハータ二世、驚異の1分46秒台!
パワー、渾身のアタックも退けてまたもトップタイム


 この状況下、プラクティス1でトップだったハータ二世(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が、午後に入ってからの自身の12周目に1分46秒6258まで一気にタイムを縮めた!
当然トップ奪取。それも、パワーに1.4秒もの差をつけた。

 このラップは最後まで破られることはなかった。
COTAは高速コーナーが複数あり、タイヤの磨耗が激しい。「ベストが出せるのは2ラップ目」と誰もが口を揃えるコースで、データ収集により重きの置かれる開幕前のテストという状況下、タイヤ・セット数が限られていることもあり、何度もアタックを行う余裕はどのチームにもない。セッション終盤、パワーが渾身のアタックでハータに迫り(そのせいで赤旗も誘発するが)、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)が3番手に食い込んだ。それでも、ハータがセッション中盤のアタックで築いたマージンは大きく、2番手のパワーとの間には0.4786秒もの差があった。おかげでトップの彼と10番手との差は1.7729秒に広がっていた。明日もハータが上位につけることになったら、COTAで行われる第2戦では彼の活躍が期待できる。

予想を上回るハータの走りに
惜しまれるパト・オーワード
 しかし、ハータがここまで良いと、彼以上の走りを昨年の最終戦ソノマで見せた彼のチームメイト、パト・オーワードが突然チームからリリースされた事態が大いに悔やまれる。彼の走りを見たかった。インディー・ライツを彼が戦ったアンドレッティ・オートスポートは、コナー・デイリーをインディー500にスポット参戦させるのだから、そのクルーを使ってオーワードを他の幾つかのレースに出場させることは可能なのでは?
チームのランクは大幅に下がるものの、フル・シーズン・レギュラーの決まっていないチームはカーリンとフンコス・レーシングの二つがある。あるいは、デイル・コイン・レーシングに『やっぱり3台目を走らせよう!』と考えを改めてもらうのはどうだろう?
これがベスト・オプションと見えるが……。

 ハータだけでなく、今年もルーキーの勢いにはかなりのものがある。チップ・ガナッシ・レーシングのレギュラー・シートをついに与えられたローゼンクヴィストは、1分48秒0451でセッション序盤に3番手につけた。最終的に彼のプラクティス2での順位は4番手となったが、堂々たるパフォーマンスと評されるべきものだった。F1から来たエリクソン、RC・エナーソン(カーリン)らも先輩チームメイトを上回るタイムを叩き出している。

セッション最後のアタックが赤旗で遮られ
佐藤琢磨は実力発揮する前に初日を終了


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、路面ができあがるのを待ってコース・インは最後の最後となった。そして11周目、残り時間がまだ1時間20分ある時点で1分50秒を切り、16番手につけた。ここで彼らはマシンのセッティング変更を行うために一旦ガレージへ。作業中に順位は21番手まで後退したものの、残り17分でコースに復帰すると、13周目に1分50秒7980、14周目に1分50秒0397、15周目に1分49秒5542とセッティングの向上を確認。残り10分となり、16周目に1分49秒7151を出した後、フレッシュ・タイヤの3セット目を投入。一気にタイム・アップを狙った。ところが、いざアタックというタイミングでパワーがスピン&スタックで赤旗。実力を測ることができずにオープン・テスト1日目を終えることになった。

2019年ルーキーズの勢いに注目


ローゼンクヴィストはディクソンの7番手を上回る4番手タイムをマークした Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
  今日の印象は、ルーキーに勢いがあること。プラクティス2終盤にフレッシュ・タイヤを履いたベテラン勢が上位にパパパッと食い込んだが、サンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)、エリクソン、ローゼンクヴィスト、ハータ、エナーソン
の5人がトップ10に食い込んでいる状況が一時的にだがあり、最終結果を見てもプラクティス2ではトップがハータ。4番手がローゼンクヴィスト、9番手にフェルッチ、11番手がエリクソンだった。
初日の2セッションのトータルで9番手のタイムをマークしたデイル・コイン・レーシングのフェルッチ。走りもよかったが、それ以上にインパクトがあったのがこの全面クロムメッキ!?のマシン。あたかも光学迷彩を施したかのようにCOTAのコースに透き通る Photo:INDYCAR(John Cote) クリックして拡大

 ただ、計測終了間近になってエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)が3番手、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が5番手、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が6番手、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が7番手、8番手=グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の座を奪った。そして、10番手はスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)のものになった。琢磨のチームメイトのレイホールは、セッション半ばのセッティング変更の後に1分48秒3410で7番手までジャンプ・アップし、最終的に8番手でセッションを終えた。
 その一方で琢磨は、23番手とプラクティス1よりポジションが悪かった。その最大の理由は最後のフレッシュ・タイヤ投入時にパワーによる赤旗が出たこと。明日、どこまでトップ・グループとの差を縮められるか、琢磨、グレアム、そしてレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの底力に期待したい。

マシンのバランスの変化に苦しんだ佐藤琢磨
「しっかりデータを見直して明日を迎えたいです」

 「マシンのバランス、そしてグリップの無さ。そこが今日の問題点です。低速コーナーと高速コーナーでハンドリングのバランスが大きく変わってしまう。だから全体的にグリップ感が低くて、バランスが変わってしまうのでスピードが乗せられないんです」と琢磨は今日のマシンの苦しい状況を語った。使ったタイヤは3セット。残念なのは、最後に投入した3セット目が、ちょうど力を発揮するところで赤旗になってしまった点だ。「ニュー・タイヤでオイシイのは2周め、あるいは3周目」というのが琢磨の持った印象。今日の3セット目はある意味で無駄になってしまった可能性が高い。「グレアムとは朝のプラクティスから仕事を分担してやっています。午前中のマシンが結構良くなかった。午後は、彼の方はある方向でマシンを煮詰めて行って、対する僕の方は大きく方向性を変えるため、プラクティス2の間に1時間ほど走れない時間がありました。グレアムはセッションの途中から良い方向性を見つけたみたいなので、今日のミーティングでそれを聞いてみたいと思っています。データをちゃんと見直して明日を迎えたいです」と琢磨は話した。

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