2025年7月28日月曜日

2025 INDYCAR レポート R14 ジャバ・ハウス・グランプリ・オヴ・モントレーRace Day 決勝:アレックス・パロウ=ウィン・ナンバー8!クリスチャン・ルンドガールドが2位フィニッシュ

 

Photo:Penske Entertainment

ポールポジションスタートのパロウ、完全勝利

 気温は18〜19℃。路面温度も44〜48℃という真夏とは思えない低温コンディションでのレースとなったジャバ・ハウス・グランプリ・オヴ・モンテレーは、ポール・ポジションからスタートしたアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が完勝した。
 フレッシュ・レッドでスタートしたパロウは、セカンド・スティントにスカッフド・ブラックを投入し、レース後半はユーズド・レッドを二連投した。レース前に言われていたのは、”ユーズド・レッドでのフル・スティントは難しい”というものだった。しかし、実際にはユーズド・レッドの耐久性はそこまで悪くない……どころか、かなり良かった。


パロウとオーワード、異なるスタートタイヤチョイスに

 最強チームのチップ・ガナッシ・レーシングであっても、今日のレースではタイヤ・ストラテジーをスタート前から決め切ることはできずにいた。パロウはフレッシュ・レッドでスターティング・グリッドに着き、それに対して予選2位だったパト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)はユーズド・レッド装着だった。CGRはブラック・タイヤをメインで使うレースとなる可能性が高いと読み、フレッシュ・レッドを温存することとしたマクラーレンは、レッド・タイヤの方が高いパフォーマンスを発揮するレースになるとの読みだった、と見られる。レース前の時点でのレッド・タイヤに対する評価ではマクラーレンの方が優っていたと考えることもできる。

Photo:Penske Entertainment

 パロウ陣営は、スタートにフレッシュ・レッドを使ったら、もうレッドはユーズドしか残らない状況。しかし、ユーズド・レッドでスタートに臨むことにはリスクがあると考えたのだろう。今年の第2戦サーマルが思い出された。あのレースでのパロウはユーズドをスタートに使う作戦をまんまと成功させて優勝を飾った。対するオーワード陣営は、ユーズド・レッドのポテンシャルに疑いを持ったことで敗北を喫した。今回はその逆のパターンとなる可能性があった。
 しかし、オーワードはピット・ストップを少し早めに行うアンダー・カット作戦が、今回はトロントのようにうまく展開にマッチしなかった。

フレッシュ・レッドを温存したハータはそのメリットを生かせず

 優勝すれば、またチャンピオンに大きく一歩近づく。今週も勝利を目指すパロウにとって、警戒すべきはコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)だった。予選3位からスタート直後に2番手に浮上したハータは、フレッシュ・レッドを最後にとっておく作戦だった。

Photo:Penske Entertainment

 ラグナ・セカでの3勝目を狙っていたハータだったが、2回目のピット・ストップでチームがミスを冒した。右フロント・タイヤのナットが転がり、スペアを使用しなければならない状況に陥ってタイム・ロス。予選7位からポジションを上げてきていたクリスチャン・ルンドガールド(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)にパロウに次ぐ2番手の座を譲ることとなったのだ。

 ルンドガールドはチャンピオン争いをしているチームメイトのオーワードよりもアンダー・カット作戦を成功させ、7番手スタートから2位でのフィニッシュを達成した。オーワードは2位スタートから、ふたつ順位を下げての4位フィニッシュとなった。マクラーレンもアンドレッティも、なかなか完璧なレースというものを戦えない(……特にアンドレッティ)。
 
パロウ、レース後半ユーズド・レッド2連投もライバルにつけ入る隙を与えず

 パロウと彼のピットは、ライヴァル勢のペースを戦いながらチェックし、ユーズド・レッドのポテンシャルを見極めた。彼らの導き出した作戦は、後半戦はユーズド・レッドで押し切る……というものだった。そのために、彼らはもう一仕事プラスする方針も固めた。セカンド・スティントからプッシュ・トゥ・パスを普段より積極的に使い、レース終盤にライヴァル勢がアドヴァンテイジを手にアタックして来る可能性に備えることとしたのだ。

 しかし、パロウが最も警戒するハータは、ルンドガールドに抜かれ、そこから抜け出せないままレースを終えた。2番手のポジションをキープできていたら、ハータはレース終盤にパロウに攻撃を仕掛けることができていただろう。しかし、攻略ができていた可能性は残念ながら低い。フレッシュ・レッドを履きながら、彼はユーズド・レッドで走るルンドガールドを抜き切れなかった。

「すべてのラップで楽しさを感じている」

 「マシンは本当に速く、乗り易かった。僕らはブラック・タイヤでもレッドでも速く、優勝できた。これ以上に嬉しいことはない。ただし、ユーズド・レッドでの走りは大変だった。10周ぐらいは全然問題なく良いぺースで走れるんだが、その後は一気にフロントのグリップがダウン。ラップ・タイムが大きく落ちていた」とパロウは笑顔で語り、「ラグナ・セカというコースが僕は大好きなんだ。すべてのラップで楽しさを感じている。インディーカー・シリーズの中で、一番楽しめるコースなんだ。イン・ラップやアウト・ラップでさえも楽しい。これで8勝目。3勝を挙げられたら素晴らしいシーズンで、4勝できたらものすごく良いシーズンだというのに」と笑顔を見せた。

タイトル争いはパロウとオーワードの2人のみの戦いに

Photo:Penske Entertainment

 今日のパロウの勝利により、ポイント・スタンディングで3、4番手につけるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)とカイル・カークウッド(アンドレッティ・グローバル/ホンダ)が今年のシリーズ・チャンピオンとなる可能性はなくなった。残るは3レース。チャンピオン争いはパロウとオーワード、ふたりによって争われる。

 今日のレースではディクソンが19番手スタートから5位フィニッシュしたのをはじめ、カルーム・アイロット(プレマ・レーシング/シヴォレー)が予選24位から6位、クリスチャン・ラスムッセン(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)も予選11位から9位でゴールと、素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。ディクソンとアイロットは序盤の12周目にイエロー中のピット・ストップを行って大きな順位アップを成功させていた。

 チーム・ペンスキー/シヴォレーは、少なくとも今週末は酷い不運に見舞われることはなかった。しかし、予選のファイナルに進んだ二人=予選5位だったウィル・パワーは7位とふたつポジションを下げてのゴールとなり、予選4位だったジョセフ・ニューガーデンもレース結果は11位と大きなポジション・ダウンをしてのものとなった。ただ一人、予選が13位と振るわなかったスコット・マクロクリンが、三つのポジション・アップを果たしての10位フィニッシュを記録。アイオワでのレース1以来となる3台揃っての完走を果たした。

以上


0 件のコメント:

コメントを投稿