2011年6月20日月曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 46 R7 ザ・ミルウォーキー225 Race Day 決勝「序盤のペースは悪くなかった。でもピットレーンで目の前を横切るディクソンに接触してしまった。追い上げて8位となり、多くのことを経験して凄く勉強になった」

レース後にエンジニアのギャレットと話す琢磨。マシンのレース・セッティングは完璧ではなかったが、予選5位から決勝8位という結果を残した。
Photo:Masahiko Amano(Amano e Associati)
第7戦 ザ・ミルウォーキー225
The Milwaukee 225

ミルウォーキー・マイル
ウィスコンシン州ウエストアリス
コース全長:1マイル(=約1.609km)

Race Day 6月19日
決勝 8位フィニッシュ 225周 1時間56分49秒6888(6秒1011遅れ)

 初めてのレースとなるミルウォーキーは、ドライバーの腕がものを言う。しかし、その前にマシンをセッティングする能力が求められる。佐藤琢磨はプライベートテストを一度行ったが、十分に走り込みを行うコンディションに恵まれなかった。その結果、金曜の走行ではマシンを思うように仕上げることができなかった。テストでの天候が悪かったことがレース・ウイークエンドの金曜に遅れを取る事態を招き、それはレースにまで影響した。
 予選日に一気に失地は挽回されたかに見えていたが、レースに向けての準備という部分は、琢磨自身の経験という面からも完璧ではなかった。ピットでのアクシデントはさらに状況を厳しくしたが、琢磨はアグレッシブに走り続けた。チームの作戦が的確だったことで、周回遅れを取り戻すことにも成功。琢磨は粘り強い走りで8位フィニッシュを達成した。


Jack AMANO(以下——)スタート直後はハイペースでしたが、途中からガクッとペースと順位が落ちましたが、何があったんでしょう?

佐藤琢磨:スタート直後は結構攻めの走りができていました。最初のスタートがイエローにならなければ、前の2台を抜けちゃったぐらいの勢いだったんです。まぁ、再スタートで仕切り直しとなったわけですが、序盤のペースは自分でも悪くなかったと思ってます。それが、第1スティントの中盤ぐらいになってリヤタイヤのグリップの落ち込みが激しくて、そこからはかなり苦しかったですね。

——順位を落としたのは?

佐藤琢磨:2台によるトラフィックに阻まれていた時に後ろからEJ(・ビソ)が来て、かなり強引にインに入られちゃったんです。もう外側に弾き飛ばされちゃいそうな感じになって、そこでマーブル(タイヤかす)を拾ったんです。アレで一気に順位を落としてしまった。一度そういう状態になるとタイヤがグリップを回復するまでに凄く長い時間がかかりました。

——マシンのセッティングがタイヤへのストレスを高めていたということですか?

佐藤琢磨:そうですね。リヤタイヤが苦しい状況にあった。そこが一番今日の戦いで難しかったところです。

——ピットストップでのアクシデントは、どういう状況だったんでしょうか?

佐藤琢磨:ピットはレーンがふたつあるんですよ。ハイ・レーンからロー・レーン、そしてピットボックスに入る……という手順になるわけですけど、僕はピットボックスが近いのでハイ・レーンからロー・レーンに行ってたんです。スコット・ディクソンはまだハイ・レーンにいたんですが、そこから彼が僕の目の前を横切るカタチで入って来て、僕は避け切れなくて接触してしまった。僕は自分のピットに戻ることはできたんですが、最後尾まで順位は下がって、ペナルティにもなってしまって、レース再開後にピットスルーのペナルティを受けたから周回遅れになっちゃいまいた。そこからはもう追い上げるだけっていう展開でした。

——1回目のピットストップ以降のハンドリングはどうでしたか?

佐藤琢磨:リヤタイヤにブリスターができてしまって、非常に苦しい戦いになってましたね。しかし、フルコースコーションでトップの人たちがピットに入った際に、自分はステイ・アウトする作戦に出て、何とか周回遅れを脱出できました。

——展開も味方してくれましたね?

佐藤琢磨:はい。そこからさらに追い上げのレースが続きました。最後はまたマシンバランスが崩れて苦しくなっちゃったんですけど、今日は本当に多くのことを経験できたレースでした。

——終盤はスコット・ディクソン、エリオ・カストロネベスとバトルになりましたね?

佐藤琢磨:今日の自分たちのマシンは、その前のスティント2回でもそうでしたが、リヤのタイヤがダメージを大きく受けるものになってしまっていたので、ディクソンとのバトルをしていた時には右リヤを労わっての走りになっていました。そうしているうちに今度は右フロントがギブアップしてしまったんです。
やっぱりプラクティスでロングランができてなかったから、タイヤがどうなるのかがわかっていなかった。それがレースを難しくしていました。ディクソンを再スタートで抜いたりできていたんですが、フロントタイヤがなくなって抜かれてしまいました。カストロネベスとの戦いも厳しかった。彼の方がペースは良かったですから。
それでも、僕はプッシュ・トゥ・パスを何度も使って、ディクソンを追いかけて、彼に食らいついて行くってカタチでチェッカー・フラッグを受けました。8位フィニッシュとなりましたが、最後尾からの追い上げができたし、多くのことを経験して、学ぶことができたと思います。

——チームメイトふたりがクラッシュでリタイアすると、プレッシャーがかかるものでしょうか?

佐藤琢磨:最初は心配しましたね。ハイスピードでのクラッシュだったので、EJにしても、トニーにしてもケガをしていないかが気になりました。それと、クラッシュの原因が何かトラブルによるものだったら……という意味でも心配しました。それが全部大丈夫であることは、ピットとの無線での交信で知りました。チームメイトがどういう状況であれ、自分としては常にゴールを目指しているので、2台がリタイアしたから……という影響は受けませんでした。

——ターン1のアスファルトをみんなが走りたがらない状況下、オーバーテイクはどれぐらい難しいものだったんでしょう?

佐藤琢磨:いやぁ、本当に難しかった。ブレーキも凄く使ったし、本当にリスタートの時とか、コールドタイヤになった時には結構危ないシーンもありました。それでも順位を上げたリスタートはあったし、今日はそういう点からも凄く勉強になったと感じてます。

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