2011年7月12日火曜日

2011 INDYCAR レースアナリシス R9 ホンダ インディ トロント:苦しむチーム・ペンスキーにあって孤軍奮闘するウィル・パワー、 ロード&ストリートコース全戦ポールポジションを継続

「ここではマシンの持つ力をすべて出し切ることが求められる。
だからこそ、走っていて楽しいのだ」とウィル・パワーは語る。
Photo:INDYCAR(Jim Haines)
ファスト6に進出したペンスキー勢はパワーのみ


オーバル4連戦が終わって、久しぶりのストリートレースとなったトロント、予選はここでも3段階で、2種類のタイヤを使って争われた。出場は26台。ファイアストン・ファスト6に進出したドライバーたちを、第2セグメントのスピード順に挙げる。

  1. スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)
  2. マイク・コンウェイ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)
  3. ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
  4. ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)
  5. グレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)
  6. オリオール・セルビア(ニューマン・ハース・レーシング)


セルビアは最終ラップでトップ6入りし、そのせいで弾き出されたのはセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング)だった。セルビアはどのセッションでも最後にコースインする戦いぶりで、キッチリと最後にタイムを出す“仕事人”的走りを見せていた。アクシデントがひとつ起こればアタックを完了させられずに悔しい思いをすることになるが、セッション終盤のグリップレベルが高くなっている路面でタイヤ性能を最大限引き出そうというリスク承知の作戦を成功させているのだ。
彼の奮闘ぶりとは反対に、チーム・ペンスキーはパワー以外のパフォーマンスが低かった。ライアン・ブリスコーとエリオ・カストロネベスは、トロントで第1セグメントの通過こそ果たしていたが、第2セグメントではファイナル進出をかけた戦いに入って行けなかった。

すべてにパーフェクトを要求するトロントのコース

それでも、予選ファイナルではパワーが最速タイムをセッション終盤にマークし、今季5回目のポールポジション=ストリート&ロードの5戦すべて=獲得を達成した。第1セグメントに新品のオルタネートタイヤ装着でこの日最速となる59秒3535をマークしていたパワーはユーズドタイヤで走ったファイナルでも59秒6200を出してトップに立ち、次のラップでも59秒台をマーク、さらに次で59秒5771にセッション内でのベストを更新してポール獲得を決定づけた。3台を走らせるチーム・ペンスキーでパワーは孤軍奮闘している。
「トロントのコースに合わせてマシンを完璧にバランスさせるのは不可能では? とさえ思う。ここではマシンの持つ力をすべて出し切る力が試される。だからこそ走っていて楽しいんだ。ブレーキングやアクセルオンのタイミング、縁石への乗り上げる角度やスピードなど、すべてがパーフェクトじゃなくちゃならない。思い切りハードにプッシュし続ける必要があり、同時にミスを犯し易い、それがトロントなんだ」とパワーは話した。

安定した速さを見せ付けるチップ・ガナッシ


一方で、今回の予選でチップ・ガナッシ・レーシングは3台がファイナルへと進出し、2、3、5位に入った。この中からパワーに真っ向から対抗したのがディクソンだった。コンウェイのタイムを上回る59秒8537を記録してセッション半ばにトップに立った彼は、さらに59秒7857、59秒7358、59秒6646と4周連続で59秒台を出し、しかも1周ずつベストを更新して行った。しかし、パワーがセッション終盤に驚異的タイムをたたき出たため、ディクソンは予選2位に甘んずることとなった。ファイナルでのふたりのタイム差は0.0875秒しかなかった。
予選3位はフランキッティ。しかし、彼の走りは今ひとつだった。セッション終了間際までユーズドのオルタネートタイヤで1分の壁を破ることができず、最終ラップで何とか59秒9000を出し、コンウェイを抑えて2列目イン側グリッドを手に入れた。
トロントでの予選までの戦いでは、フロントローグリッドを占めたふたりがポイントリーダーのフランキッティをも含むライバル勢を圧倒するパフォーマンスを見せていた。チャンピオン争いを優位に戦っているフランキッティだが、トロントでは苦戦気味だったのだ。
チップ・ガナッシ・レーシングの強さは保たれ、サテライトチームのレイホールも実力を急速に伸ばしている。しかし、チームペンスキーは苦戦の度合いが徐々に高まっている。そうした現在の戦況が、トロントではより明確に見えていた。

KVはバンピーな路面を克服できず

KVレーシング・テクノロジー・ロータスは、トニー・カナーンによる16位が予選最高位で、EJ・ビソは18位、佐藤琢磨は19位だった。3人全員が第1セグメントでの敗退を喫したのだった。バンピーな路面への対応で彼らは苦しんでいる様子だった。アンドレッティ・オートスポートは、コンウェイがファイナルへ進出したが、マルコ・アンドレッティとダニカ・パトリックは第2セグメントに進むことさえできなかった。ライアン・ハンター-レイは予選8位だった。
ルーキーの中では、トロントが地元のジェイムス・ヒンチクリフ(ニューマン・ハース・レーシング)が13位で最上位。セバスチャン・サーベドラ(コンクェスト・レーシング)も15位に食い込む奮闘を見せていた。

以上

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