2012年7月23日月曜日

2012 INDYCAR レポート R11 エドモントン・インディー 決勝:自己最高位!佐藤琢磨、2位フィニッシュ!! カストロネベスと最後まで一騎討ち

ブラックでスタートしたカストロネベスがレース後半トップに浮上
 アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)が母国カナダのファンの前で見事なスタートダッシュを見せ、ポールスタートだったダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)さえパスしてトップを突っ走った。しかし、彼は予選でレッドを2セット投入しており、ファイナルスティントはユーズドレッドで戦うしかなかった。この差は非常に明快で、2セット目のフレッシュレッドを持っていたライバルたちに次々と先行されて5位フィニッシュが精一杯となった。
 そんなタグリアーニをレースの後半に入ってからパス、トップを走ったのがエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。ブラックタイヤでスタートし、26周目に行った1回目のピットストップでフレッシュレッドを装着した彼は、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とフランキッティをパスして見せた。
 ブラックで走った最初のスティント、カストロネベスはフレッシュレッドを履くチームメイトのライアン・ブリスコーとのバトルで勝利し、4位を走行。燃費セーブも重要だった26周でトップ3に追いついてピットタイミングを迎えた。このパフォーマンスが大きくものを言った。
 スピード的に不利なブラックで、レッド装着ライバルたちと結果的に同等のスピードを示した。それが今日のカストロネベスだった。
 2回目の、そしてこの日最後のピットストップは51周目だった。ライバル勢より1周早いタイミングだったが、1周後に他のトップグループがピットストップを行い、彼らがコースへと戻ってみると、トップの座はカストロネベスのものとなっていた。


そのカストロネベスに襲いかかる佐藤琢磨
20周あまり一進一退の攻防に 琢磨はタグリアーニをピットアウトから2周目の55周目にパスした。フレッシュレッドを装着した彼は、ユーズドレッドのタグリアーニとの勝負を、お互いにまだタイヤの内圧が安定しないタイミングを選び、見事に成功させた。
 パスを成功させ、2位へと浮上した琢磨だったが、すでにカストロネベスはリードを2秒以上へと広げていた。
 そして、ここから琢磨が目覚ましいアタックを開始した。
 ハイペースでの連続ラップは、予選アタックのようだった。75周のレースが61周目を迎えた時、ついに琢磨はカストロネベスのリヤに食らいついた。二人の差はコンマ4秒しかなくなった。
 このバトルで彼らは3位以下を遠く引き離した。彼ら2人のスピードは突出しており、優勝争いは完全に彼らだけに絞り込まれた。
 キャリア26勝利のカストロネベスと、初勝利を目指す琢磨、ふたりの一騎打ちはゴールまでの20周に渡って続けられた。
 琢磨はブレーキングが安定しており、一気に差を縮める。しかし、コーナーの中、あるいは立ち上がりではカストロベベスに分があり、差を広げられてしまう。その繰り返しだったが、琢磨はハードに攻め続けた。
 どちらのドライバーもミスを冒さず、軍配はカストロネベスに上がった。今季2勝目、キャリア27勝目を彼は記録した。3度も2位フィニッシュして来たエドモントンで、ついに念願の勝利を手に入れたのだ。
 琢磨は初優勝に0.8367秒届かず、2位となった。しかし、キャリアベストだったブラジルでの3位を上回った。08年のアイオワで武藤英紀が記録した日本人ドライバー最高位フィニッシュに並ぶ2位フィニッシュだ。


「タクマとの戦いは非常に激しかった」とカストロネベス
 勝者カストロネベスは、「ブラックでスタートするという作戦がまず正解だった。みんなより1周早いタイミングでのピットは、ちょっと心配だった。しかし、チームの作戦はどれも正しかった。終盤の琢磨のアタックは非常に激しかったが、最終的に僕らは勝利を納めることができた。長年インディーカーで走って来た経験を活かして戦っていた」とカストロネベスは語った。
 琢磨は気迫に満ちたアタックを続けた。実に見応えある二人の戦いぶりだった。カストロネベス攻略はならず、2位となった琢磨だが、今日のレースでまた一段、インディーカー・ドライバーとして大きなステップを上がったように見えた。次に巡って来るチャンスで、琢磨はより力強い戦いぶりを見せてくれるだろう。
 3位でゴールしたのはパワーだった。17番手スタートで表彰台へ。カストロネベスと同様のブラックタイヤスタートを見事に好結果に結びつける戦いぶりだった。「イエローの出なかったレースで17位スタートから3位フィニッシュできたら、何も言うことはない。もちろん、タクマとエリオのバトルに絡んで行けたら最高だった。二人が激しく戦っているのは見えていた。しかし、そこに加わって行くことは不可能だった」と彼は語った。
 4位はグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)、5位はタグリアーニのものとなった。フランキッティは6位で、11位スタートだったポイント・リーダーのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は7位でのゴールとなった。

0 件のコメント:

コメントを投稿