2015年4月20日月曜日

2015 INDYCARレポート R3 トヨタ・グランプリ・オブ・ロング・ビーチ 決勝:スコット・ディクソンが今シーズン初優勝=ロング・ビーチでも初勝利! 佐藤琢磨は15位……と思ったら、最終ラップで18位へ

ディクソン、今季初勝利、ロング・ビーチ初勝利! Photo:INDYCAR (Chiris Jones) クリックして拡大
1回目のピットストップに勝負の分かれ目が……
 
 第41回トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチは、ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)がレース序盤からトップを守り続けた。

ディクソン、スタート後の1コーナーでモントーヤをパスして2位に浮上 
Photo:INDYCAR (Richard Dowdy) クリックして拡大




 予選3位からスタート、最初のターン1へのアプローチでアウトからファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)をパスしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、序盤はカストロネヴェスに差を広げられていたが、1回目のピット・ストップでまんまとポジションを入れ替えることに成功した。

 そこには彼にとっての幸運、エリオにとっての不運があった。ディクソンより1周遅くピットに入ったエリオは、作業を終えてすぐにピットからダッシュできなかった。彼のすぐ前のピットボックスを使うトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)が最悪のタイミングでピットインして来たからだ。
 広げた手を掲げてエリオをホールドするクルー。余計にかかったのは2秒以上あったのではないか……。そして、それはディクソンがトップに出るのに十分な差だった。

カストロネベス2戦連続2位でランキングトップのモントーヤに肉薄
対するモントーヤもパジェノーとの3位争いを制して表彰台に


 トップに立ったディクソンは自分のペースで疾走。エリオとの間の差を4秒以上へと広げ、そこからは悠々とタイム差をチェックしながら走り続けた。その結果、ゴールでは2.2221秒という大差がついていた。

ディクソンを祝福するエリオ Photo:INDYCAR(Richard Dowdy)

 ディクソンは3戦目にしてシーズン1勝目。逆に、エリオはまだ勝利がない。2戦連続の2位はさすがで、ポイントでもトップのモントーヤに3点差に迫っている。
 モントーヤもしぶとい。チームメイトのシモン・パジェノーに一時先行されたが、パスし返して3位フィニッシュし、今年2回目の表彰台に上った。
 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は予選18位から“1周遅れの”20位でゴールと、予選で始まった不運を振り払い切れずに惨憺たる結果に終った。

 

ホンダ勢はアンドレッティの8位が最高位
予選4位のハンター-レイはハンドリング不調に沈む


 ホンダ勢はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)の8位がベストで、カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)が9位。2人がトップ10入りするにとどまった。予選で4位と奮闘していたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、ロング・ビーチでの2勝目を狙うはずが、ハンドリング不調で13位でのゴールが精一杯となった。

粘り強い戦いぶりを見せた佐藤琢磨。次戦バーバーへの手応えをつかむ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は20位スタートからポジションを上げられないまま序盤を消化。辛抱強い戦いぶりと、ライバル勢のトラブルなどに助けられて15位まで順位を上げた。今回はその順位でのゴールを受け入れるしかない、というレースとなっていたわけだが、最終ラップの最終コーナーを抜けてから3つポジションを落とすこととなった。18位でのゴールということだ。エンジニアの計算ミスで最終ラップにガス欠に陥り、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)、ギャビー・シャベス(BHA/BBM・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)、コナー・デイリー(デイル・コイン・レーシング)が琢磨をパスして行った。キンボールは2戦連続で琢磨にヒットする残念なオマケつきでもあった。
 
佐藤琢磨、ホンダ勢で一番早いラップに手応え

最後に不必要なポジション・ダウンとマシンへのダメージがあったが、琢磨は明るい面を見ていた。「ホンダ勢で一番速いラップを出せていた。もちろん、1スティントを通した速さの維持などでまだ課題はあるけれど、土曜日のプラクティス3までマシン・セッティングで苦しんでいながら、最終的にマシンを速いものに仕上げることできました」と手応えを語っていた。そして、「もう数日後のバーバーは開幕前に合同テストを行なっているからデータはあるし、自分たちのポジションもだいたいわかってます。3戦を戦って得たデータもあるので、走り始めから良い仕上がりのマシンとしてレースウィークエンドを戦いたいと考えています」と琢磨は意気込みを見せた。

2 件のコメント:

  1. 天野さん、取材お疲れ様でした。しかしAJのピットは遅いですね。
    琢磨の14号車は特に右リアのクルーが毎回遅い気がするのですが
    現地で見られていて如何でしょう?
    それにしてもあれだけ接近隊列があるのに、全くオーバーテイクゾーンに
    入れる気がしませんでした。オリジナル・エアロの後方乱気流はやはり
    凄くてなかなかスリップが効かないような気がします。

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    1. 確かに、フォイト・チームのピット作業スピード、残念ながら昨シーズン半ばから遅いです。
      今年はエアロ・キットの導入があり、インディー500用マシンの準備もエアロ・キットが4月1日までに供給しなくちゃならないってルールなので、クルーたちは本当に忙しく、ピット作業の練習を重ねる時間を奪われちゃってるんじゃないでしょうか?

      もちろん、それは他のチームも同じのはずですが、フォイトは1台から2台に体制を拡大したし、チームとして色々と大変な時期なのだと察しています。
      昨シーズンの後半、明らかに作業スピードの遅かった後輪交換担当クルーがいましたが、彼はもうフォイト・チームにいません。その後任にはアンドレッティなどで長年働いて来たクルーが起用されています。14号車のピット・スピードは良くなる方向にあるはずなんです。

      ただ、レース・ウィークエンドのプラクティス中とかの練習回数がペンスキーに比べて少ない。トップ・チームが努力を惜しまないでいるのに、劣っているチームがそれ以上の努力をしようという姿勢を見せない・・・そのメンタリティは理解しがたいです。
       この責任はクルーチーフにあるのか、あるいはチームリーダーであるラリー・フォイトにあるのか・・・。いずれにせよリーダーシップの欠如と私には見えています。

       オーバーテイクがしにくいのは、今回はイエローが1回でリスタートも1回しかなかったからでは? それをエアロ・キットのせいにしていいのかどうか・・・まだ判断に苦しんでます。
       ロング・ビーチではタイヤ・チョイスの作戦がグリッド前方と後方の2パターンしかない状況でしたから、みんな同じぐらいのタイヤの減り具合で、パスが実現しにくくなってたんだと思います。

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