2016年4月3日日曜日

2016 INDYCAR レポート R2 フェニックス Race Day 決勝:フェニックス・ウィナーはスコット・ディクソン

今回の優勝はディクソンにとってフェニックスでの初勝利でもあった Photo:INDYCAR (Chris Owens)

ディフェンディング・チャンピオンのディクソン、今季初優勝

 夕方の6時15分にスタートした2016年ヴェライゾン・インディーカー・シリーズ第2戦デザート・ダイアモンド・ウェスト・ヴァレー・フェニックス・グランプリでは、予選6位でグリッド3列目の外側からスタートしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が今季初優勝を飾った。
 太陽がターン1のグランド・スタンドの向こうに落ち、気温も路面温度も下がって行く中での戦いでは、予想されていたとおりにオーバーテイクがあまり見られなかった。ダウンフォースが大き過ぎてマシンは安定し、タイヤの摩耗も少なかったために、スティント終盤でもラップ・タイムのダウンは小さかった。


ペンスキーの二人を襲った思わぬタイヤ・アクシデント

 それでも、2位は予選10位のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が獲得し、3位では予選9位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がフィニッシュと、意外にも予選トップ5は誰ひとりとして表彰台に上ることができなかった。ポール・スタートだったエリオ・カストロネヴェスと、予選3位のファン・パブロ・モントーヤ、チーム・ペンスキーの2人の優勝候補は、同じタイヤ・トラブルで勝利のチャンスを失った。カストロネヴェスは40周目のターン1で右フロント・タイヤにトラブル発生。それによってトップに立ったモントーヤも、次のスティントを43周走った時点、グリーンでの走行が30周を越えたところで、同じく右フロント・タイヤがトラブって緊急ピット・イン。どちらもピットに戻るまでにタイヤ内側の角が割けていた。ファイアストンのチーフ・エンジニアは、「非常に珍しい、近年経験していない種類のトラブルなので、オハイオ州アクロンに戻って原因究明に努めたい。いかにして発生したトラブルか、現時点で推測を語ることは控えたい」と話していた……が、彼らはキャンバーをつけ過ぎ、片側だけがヒート・アップしてしまったのではないか。2、3位でフィニッシュした2台は、セッティングが異なるのか、同じトラブルには見舞われず。2、3号車がその後のレースを問題なく走り切れたのは、タイヤの内圧変更などで対応したためだろう。
 予選2位だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)は4位でゴール。予選4位だったチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)は他車とのアクシデントで後退した。

「最後にリスタートがあったとしても優勝できたと確信している」

 レースのスタート時に39℃もあった路面温度は、ゴール時には30℃まで落ちていた。気温は28℃から26℃とさほど下がらなかったが……。温度の下がったレース終盤にトップのラップ・タイムは19秒台に入ったが、レースの大半でのペースは、ずっと20秒台中盤から後半。しばらく走ってトップ・グループがバック・マーカーに追いつくと、オーバーテイクの難しさから膠着状態が作り出されていた。同じペースで延々と周回する退屈なレース展開となっていた。

 こういうレースでドライバーには辛抱強さが求められ、ピット・ストップの速さも大きな武器になる。ディクソン向きのレースになっていたということ。そして、彼のクルーたちも完璧な仕事をしていた。
 「インディーカー・シリーズに復活したフェニックスで勝つことができてうれしい。2月に来たテストの時から、フェニックスが持つインディーカー・レースへの情熱を強く感じていたからね。自分にとってはスムーズな週末ではなかった。予選では少しセッティングを外してしまっていた。それでも、レースで勝つことができた。シーズンの序盤にして1勝目を挙げられたのはとてもいいことだ。チームにとってフェニックスでの初勝利ともなった。今日のレースではタイヤのマネジメント、燃費、ピット・ストラテジー、ピット・ストップ、様々なファクターが重要になっていた。とても難しいレースだった。コースのコンディションもレース中に大きく変化した。今日はイエローでのゴールになったが、最後にリスタートがもう1回あったとしても、僕らには十分なスピードがあったので、勝てたと確信している」とディクソンは語った。

パジェノー、自身初のポイントリーダーに
モントーヤが沈んだレースでウィル・パワー粘りの3位

 開幕から2戦連続で2位フィニッシュしてパジェノーはキャリア初のポイント・リーダーに。「ポイント・トップはすごい事。去年うまく行かなかった点が今年はすべて計画通りにうまく行っている。今日はクルーたちが頑張ってくれた。マシンも速かった。この調子を保って行きたい」とチーム・ペンスキー入りしてから3回目の表彰台に上った彼は喜んでいた。
 パワーの3位は素晴らしい結果。特に、開幕戦ウィナーのモントーヤが9位に沈んだレースとあれば、尚更だ。パワーはレース後、「今日はピット・クルーが最高だった。オーバーテイクのできないレースになっていたから、辛抱強く燃費をセーブして走り続けるしかなかった。自分にとって今シーズン最初のレース。3位は悪くない」と話していた。

レースはロッシのアクシデントでイエロー・チェッカーに

 レースがイエローでゴールとなったのは、ルーキーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がターン4で壁にヒットしたから。GAORAのテレビ放送で私、「ライアン・ハンター-レイが壁にヒットして壊したリヤのホイール・ガード上のウィングの破片がコース上にあったから」と説明してしまいましたが……。実際に、それはコース上に残ったままの、危険な状況であったのは確か。インディーカーはそれは放置してグリーンでのゴールを目指したようですが、ロッシのアクシデントも発生……でイエロー・チェッカーとするしかなかったってところですかね。

佐藤琢磨、厳しい状況の中で5ポジションアップの15位に

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は15位でゴール。プラクティス1序盤のクラッシュで、ほとんどまともな走行ナシのまま決勝を迎えたことを考えると、マシンを壊さず、5つポジション・アップしてのゴールは悪くなかった。

 ホンダ勢トップはグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)による5位。予選19位からのフィニッシュなのだから、見事な戦いぶりだった。
 シボレーが1-2-3-4フィニッシュ。ショート・オーバルでのパフォーマンスではシボレーがホンダを、予選でも決勝でも大きく上回っていた。
 次戦はカリフォルニア州のロング・ビーチ=ストリートだ。開幕戦のセント・ピータースバーグのストリートでは、シボレーが1-2フィニッシュして、ホンダは3位を手にしていた。
以上

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