2016年5月24日火曜日

2016 INDYCARレポート 第100回インディアナポリス500 Day9 プラクティス8:月曜のプラクティス、最速はニューガーデン

予選は2位、決勝用セッティングで走ったこの日のプラクティスではトップと、好調なニューガーデン Photo:INDYCAR (Doug Mathews) クリックして拡大
今年で3回目となる予選翌日の月曜日のプラクティス

 予選後の月曜日にプラクティスが行われるようになったのは、2年前の2014年。それ以前は、予選が終わったらカーブレション・デイまで走行ナシって大胆なスケジュールだった。それがインディってコトで、業界じゃ受け入れられていた。


 予選が2週末、トータル4日間だった頃、つまりは伝統あるスケジュールが保たれてた時代は、予選落ちしないよう必死でセッティングを頑張ってる人を気遣うこともせず、予選通過を確実にした面々が決勝用セッティングを煮詰める走行を、予選アタックを宣言する者のいない時間帯にガンガンやっていた。単独走行でマシンのチェックしたい予選未通過組と、トラフィックでの走りをインプルーブしたい予選通過組がコースを共用するという、極めて理不尽というか、不公平というか……ある意味、強者に有利な、アメリカらしいルールになっていた。アメリカ伝統のレースなんだから、当たり前だけど。

違和感がなくなってきたインディーの新スケジュール

 今は予選が1週末の2日間になっていて、予選じゃターボのブーストが上がるなんてルールもできてるもんだから、予選日にせっせと決勝用セッティングを……なんて不可能。以前より走行時間&日数が激減してることでもあるし、予選終了後の月曜日に決勝用セッティングの時間を全員に与えましょうってコトになった。大変ロジカルで、良い決断と思う。クルーは働く日が1日増えちゃうけれど……。


月曜朝は恒例のポール・ポジション獲得記念撮影 Photo:INDYCAR(Chris Owens) クリックして拡大
  今年はプラクティス初日の走行が6時までと、普通のスケジュールに戻されてもいた。去年は初日だけ午後7時までと、1時間長くされてたんだよね。前はルーキー・オリエンテーションだけで走行日があったけど、近頃はチームの負担減も考慮して、走行初日にやっちゃう。彼らが正午から2時まで走るんで、ベテランの走行時間は2~6時になって、4時間じゃちょっと短いから5時間に増やした……ってことだったんだと思う。それが今年はサラッと毎日6時までに変更されてた。
 シリーズにフル出場しているチームのクルーたちは、グランプリ・オヴ・インディアナポリスからインディー500に休みナシで雪崩れ込む。GP決勝翌日は走行ナシだったとはいえ、スーパー・スピードウェイ用マシンの準備をしなくちゃならない。そして、月曜にインディー500用の練習走行が始まる。正午から夕方6時までと、毎日やたらと長く走る。以前は午前11時スタートで、「ランチ・ブレイクはそれぞれが勝手にとって」ってものだったから、今のスケジュールだと早目のランチをして、午後は仕事に専念……てのが可能になっている。少しだけれど、待遇改善はされているワケだ。今年は火曜日が雨で、走行が丸一日ナシになった。疲労の溜まってたクルーたちにとっては、天の恵みだったと思う。予選直前の金曜日は、朝から雨が続いたので、夕方7時まで1時間走行が伸ばされたけど……。

週末の天候も計算に入れ、33台が精力的に走行

パックで走行しセットアップを確認する琢磨 Photo:INDYCAR (Doug Mathews) クリックして拡大
  予選は昨日で終了。「お疲れさま!」と、今日の走行は30分だけだが遅い12時30分スタート。終了も午後4時と、2時間も早く終わる。この3時間半でやることは、決勝用のマシン・セッティング。パックで走ってアレコレ確認する。燃料をたくさん積んでで、減って行くのと同時に起こるハンドリングの変化を確認したり、タイヤの摩耗具合をチェックしたり。週末の天気予報が不安定……カーブ・デイの走行がちゃんと行われるか……という事情もあって、今日は予選を終えた33台が多くの周回を集団走行、短い間隔での1列作っての走行……でこなしていた。
「日曜に向けた仕上がり具合を最もよく示すのが今日」
トップタイムのニューガーデン、自信のコメント


 気温は22~26℃と、昨日ほどじゃないが、暑い1日。それでも、今日のスピードはドラフティング効果バリバリありなんで、それなりに速くなっていた。そして、今日の場合は、「1番速かった!」と手放しで喜ぶことはできない。気分はいいだろうけれど。でも、今日遅かったら、決勝に向けて不安が膨らむ。速ければそれに越したことはない。そんな状況で最速ランナーになったのは、昨日の予選で傷心の2位となったジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)。スピードは227.414mphで、予選よりは3mphも遅い。ダウンフォース多めで走ってるので、ね。
 「今日はみんなパックを作って走っており、レースに向けた貴重な経験、データ収集ができた。日曜日の戦いに向けた仕上がり具合を最も良く示すのが今日だと思う」と話していた。

チップ・ガナッシの二人が2,3番手とレースモードでは好調
予選25番手のピッパ・マン、5番手タイムをマーク


 今日の2番手はトニー・カナーン=226.393mphで、3番手はスコット・ディクソン=226.339mphだった。予選では望むパフォーマンスをまったく発揮できていなかったチップ・ガナッシ・レーシング・チームズのベテラン2人だが、レース・モードではシッカリ速い。この2人はインディー500での優勝経験もある。

 4番手はセイジ・カラム(DRR・キングダム・レーシング)=226.045mph。チップ・ガナッシ・レーシング・チームズのレギュラー・シートを失った20歳は、ガナッシの契約チームとして彼を2年前に走らせたデニス・ラインボールドのチームで今年はスポット参戦しているのだが、決勝を前にした重要なプラクティスでスピードを見せた。



プラクティス後の会見でマンはこの笑顔 Photo:INDYCAR(Dana Garrett)

 驚いたのは、5番手がピッパ・マン(デイル・コイン・レーシング)だったこと。226.006mphで予選25位だった彼女が225.833mphとは(!)

 今日一番多く走ったのは、カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)とマックス・チルトン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)で、117周。マンも116周を走行。
 逆に少なかったのは、アレックス・タグリアーニ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)の10周。昨日の予選中のアクシデントでダラーラ製タブのフロント部を傷めたため、佐藤琢磨のスペアに35号車用エアロ・キットを装着して走行。







ポール・シッターのヒンチクリフは17位。ペンスキーはタイム出ず、パワー18位、モントーヤ20位、パジェノー22位。逆に不気味ですらある Photo:INDYCAR (Mike Harding)
 今日はシボレーが1-2-3-4。チーム・ペンスキーは96周も走ったウィル・パワーの18番手が最上位だったのに。
佐藤琢磨、85周を走行しタイムは16番手
「レース用マシンのベースラインは出せました」


Photo:INDYCAR (Dana Garrett) クリックして拡大
  琢磨は224.629mphのベストで今日の16番手だった。重ねた周回数は、プラクティス開始以来で一番多い85周。
 「いい1日でした。ようやくトラフィックでのマシンの状態を感ずることができました。今日は少しのテスト項目がありました。そのうちの幾つかが良く、幾つかは効果がなかった。レース用マシンのベースラインは出せたと思います。今日からの数日間でこれまで収集したデータを解析し直します。僕らとしては、金曜日のカーブ・デイにもまだ試したい項目があるので。とりあえず、今日の走行ではそれなりに良いポジションにつけることができていたと思います」と琢磨はコメントした。
 プラクティス1日目からファスト・フライデイまででも、これぐらい走り込めてたらよかったのに……と思う。
以上

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