2016年6月27日月曜日

2016 INDYCARレポート 第10戦 コーラー・グランプリ Race Day 決勝:ウィル・パワーがシーズン2勝目

パワー本来の走りが戻ってきた! Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
堂々のポール・トゥ・ウイン!強いパワーが復活

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がポール・トゥ・ウィン! デトロイトのレース2から2戦連続優勝だ。テキサスはレース途中でストップしている状態なので。
 今シーズン2勝目。通算27勝目を彼は喜んでいた。去年は1勝しかできなかったので。「今日のレースはとても満足の行くものになっていた。以前の自分が持っていた速さを取り戻したと感じられたの。それがとてもうれしい」とパワー。確かに、ピット・インした時以外ではトップを明け渡すことなく優勝まで逃げ切ったのだから、数年前の“強いパワー”が戻ってきたようにも感じられた。スタートからゴールまで、トップの座を脅かされるシーンはほとんどなかったのだ。

絶好調のディクソン、わずか6周でまさかのノー・パワーに! 
PPのパワーはレッドでスタート。予選から激しく争ったディクソンとオープニングから火花を散らす展開となるが、あっけない幕切れに Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
  パワーはラッキーでもあった。最も手強いライバルとなるはずだったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)がエンジン・トラブルでリタイアしたからだ。それもたったの6周で。パワーの勝ち方にケチをつけるつもりなどサラサラないし、最初のスタートで“絶対にトップは譲らない!”という意思表示をした、あの走りは実にパワーらしかった。少しずつ、確実にパワーらしさが戻ってきていると見るべきなのだろう。
 パワーはファースト・スティントでトップを守り通した。彼は新品のレッドをスタート時に履いていた。“トップ死守”への意気込みがそこに現れていた。対するディクソンは、レッドでもユーズド……なんだが、これがフロントのみで、リヤはフレッシュx2という激レアな組み合わせになっていた。1本のレッド・タイヤ後輪が空気漏れ(=ファイアストンの生産時のミスでサイド・ウォールの一部分が薄くなっていた! 滅多にあることじゃないが、起こり得るトラブルとファイアストンのチーフ、デイル・ハリグルは説明)したため、それを交換してもらった。そして、ルールの許す範囲のこととして、1本を新品に換えた……らリヤは両方新品になっちゃった。何たるラッキー。ということで、ディクソンはフレッシュ・レッドをセカンド・スティント以降に温存したいたのだが、この幸運を使うことなくディクシーのレースは終わった。


レース終盤、猛追してきたカナーンを最後はプッシュ・トゥ・パスを使って突き放すことに成功! Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  「終盤にイエローが出た時には、“オマエはいつもリスタートでミスをしている。今回は絶対にベストのスタートを切らなくては”と考えた」とパワー。確かに、近頃のパワーの印象だと、勝てそうなレースを取りこぼすシーンが多かった。しかし、今日の彼は違った。「プッシュ・トゥ・パスはできる限り使わないようにしていた。終盤にとっておくことが重要だとわかっていたからだ。その通りの戦い方をしていたのが役に立ったよ」とパワーは振り返った。
 2位でゴールしたのはトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。最後の最後で彼はパワーに急接近した。最終ラップを告げるホワイト・フラッグの下を潜り抜けた彼らの差は0.4336秒しかなかった。フレッシュ・レッド装着のTKが大逆転をやってのけるのか? とも思われた。しかし、ブラック装着のパワーは一切隙を見せず、逆にカナーンを突き放して勝利のゴールへと飛び込んだ。


「全レースでポイントリーダーを倒す!」

 今日の勝利でパワーは失っていた自信を取り戻した。そして宣言した。「どのレースも勝つことだけを考えて走る。ポイント差はポイント・リーダーとのものだけを考えればいい。自分とトップの間のランキングにいる人たちなど関係ない。ポイント・トップのドライバーより前のポジションでゴールすることを重ねるだけだ。それがチャンピオンシップを獲るためには必要だ。全レースでポイント・リーダーを倒す!」と堂々と言い切った。パワーは逆転チャンピオンを目指す。ポイント・リーダーはチームメイトのシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。残り7戦で(途中まで進んでいるテキサス含め)、差は82点。逆転はあるか?
 今日のパワーはこんな話もした。「以前の自分に戻るだけだ。このオフの僕は健康を害していた。それでトレーニングが充分にできていなかった。食物アレルギーも問題の原因になっていた。ある日突然、それまで食べられていたものが食べられなくなった。僕は破壊されてしまったかのように感じていた。他にも幾つかの問題が体に生じていた。それが近頃、ようやく以前と同じような健康な状態に戻ってきた」。開幕戦の“病欠”は、この体調問題が原因だったようだ。

 9戦目終了でペンスキー勢が6勝目。ランキングもパジェノー、エリオ・カストロネヴェス、パワーの順でトップ3を彼らが占めることになった。強過ぎる。
 シボレーは8勝目を挙げた。こちらは更に強い。昨シーズンから積み上げたエアロのリードと、総合力で他を突き放している二強チームを抱えているのが彼らの強みだ。


レイホール、ホンダ勢最上位の3位表彰台獲得!
快走を見せた佐藤琢磨、ピットレーン速度違反2回で17位に沈む


 3位はレイホール。今季2回目の表彰台(1回目はバーバー・モータースポーツ・パークでの2位)だ。9戦で2回目は少ないが、トップ5は9戦で5回目。
 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、予選15位から序盤の2スティントで7位までポジション・アップする快走を見せた……・が、ピット・スピード・リミッターの誤作動でピット入口で0.1mphのスピード・オーバーx2回。こういうとこだけなぜか超・厳格なインディーカーのルールにより(計測サイドの誤差だって有り得るのに)、ピット・ロードのドライブ・スルー・ペナルティx2回で17位フィニッシュに終わった。チームメイトのジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)も1回、ギャビー・シャヴェス(デイル・コイン・レーシング)も2回、琢磨と同じペナルティを食らった。要対策だ。


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