2016年7月31日日曜日

2016 INDYCAR レポート 第13戦ホンダ・インディー200 アット・ミッド-オハイオ Day2 予選:ポール・ポジションはシモン・パジェノー

このところやや精彩を欠いていたパジェノーだったが、今季6回目のポール・ポジションを獲得! Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
コース・レコード・タイムで今シーズン6回目のポール・ポジション

 今日の予選でファイナルを戦った6人をQ2通過上位から順に紹介すると、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、ジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)となる。

初タイトルへの正念場を迎えたパジェノー、「残るレースで1勝以上が必要」

 ポツポツと雨が降った時もあった中、ポイント・リーダーのパジェノーはファイナルで1分3秒8700をマークしポール・ポジションを獲得(今シーズン6回目:このうち勝利に繋がったのは2回)。同時に新コース・レコード・ホルダーとなった。このところ勢いを失っているパジェノー。それは守備的な戦い方に偏り過ぎていたから、という考え方は外れていない気がする。早目に開き直っちゃうのが正解とも見える。このポールで再び攻撃モードにシフトできるか? 初タイトルへの正念場を迎えている。
Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  「コース・レコードということより、ポールを獲得できた点が嬉しい。実は背中の下の方を傷めていて、このところ本調子じゃなかったんだ」と予選をトップで終えたパジェノーは告白した。パワーも「オフの間から体が変調を来していたためにパフォーマンス不足だった」とデトロイトでの勝利の後に吐露したばかりだ。パジェノーだけが金曜のチーム会見に顔を出さなかった、その理由が判明した。「雨が降るという予報もあったが、予選中に雨は降らなかった。いやQ2で少し降ったか。そして、それが予選を更に難しいものにしていた。チャンピオンシップを手にするには、これからの残るレースで1勝以上することが必要だ。競争力はこれまでのシーズンでずっと見せ続けることができていると思う」とパジェノーは語った。

パジェノーを猛追するパワー、僅差で予選2位

 
逆転タイトルを目指すパワーは僅差の予選2位。パジェノーの隣から決勝をスタートする Photo:INDYCAR (Matt Fraver) クリックして拡大

  予選2位は現在絶好調。ポイント・ランクで2番手につけ、逆転タイトルを狙える位置にいるパワーだった。逆転ポールを狙ってアタックを続けたが、惜しくもパジェノーに届かず。その差は0.0681秒! 「今日はタイヤ・チョイスが難しかった。Q1はブラックで走り出したが、みんなが最初からレッドでアタックを始めたので、自分も1周でピットしてレッドに換えた。今日の予選は体力的にもハードだった。Q1からほぼ全ラップで予選ファイナルのような攻めの走りを続けた。しかし、それでは体力が持たなさそうだったので、1周だけ息継ぎのためにペースダウンしたほどだった。フロント・ロウならハッピーだ。明日は長い1日になる。このコースを90周するのは、思いっきりタフだ」とパワーは語った。
 明日のレースは、普通に行けばフロント・ロウからスタートするチーム・ペンスキーのチャンピオン候補2人によるガチンコ勝負となるだろう。


負傷が完全に癒えないまま出場した前戦トロントでもクラッシュし、体が万全でないニューガーデンだが、走りの切れ味は衰えず予選3位につける Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  予選3位はニューガーデン。ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシング・チームズの二強に割って入る1分4秒1200を記録した。怪我をしている身とは思えないパフォーマンス。もはや完全にトップ・コンテンダー。それも、コースを選ばない。彼が優勝争いに絡んで行けば、レースは更におもしろくなる。
 予選4位はハンター-レイのものとなった。ホンダ勢トップの彼は、2列目アウト側グリッドからスタートを切る権利を得た。久々にハンター-レイのアグレッシヴなレースを見ることができそうだ。

 2013年のミッド・オハイオ・ウィナー(作戦勝ちだったが……)=キンボールは、ナンバー・ワン・チームの2人がファイナル進出を果たせなかった予選で見事にファイアストン・ファスト6となる大奮闘。そして、1分4秒3644で予選5位となった。

 昨年度ウィナーのレイホールが予選6位。プラクティス1では躓いたが、プラクティス2からはスピードをキープ。グリッド3列目から決勝スタートを切ることとなった。明日も地元ファンから熱狂的な声援を受けて走ることになるだろう。

絶好調だったディクソン、思わぬミスで予選11位に

 メジャーどころ及びプラクティスx3回で速さを見せていながらQ2敗退を喫した筆頭が、なんとミッド・オハイオ5勝のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)。金曜のプラクティス1だけでなく、予選直前のプラクティス3でも最速だったというのにQ2で終了。それも、ギリギリ・アウトとかではない12人中11番手とは意外だった。
 


「セッションの最後に行ったアタックをやめることにしたのは、もうファイナル進出は大丈夫だろうと考えてしまったから。路面が向上していると無線で連絡したんだが、ピットには聞こえていなかったようだ。通信のミスでファイナル進出を逃してしまった。それでも、僕らのマシンがとても速いということに変わりはない」とディクソンは話した。しかし、11番グリッドからの戦いはなかなか難しいものになりそうだ。

ビッグ・ネームのQ1敗退が続出!琢磨もQ1グループ1の10位で予選20位

 エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)、ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)もファイナルを走れず。トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)はまさかのQ1敗退で、14位。セバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)もQ2に進めずに16位だった。

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は、レッド・タイヤx2セット投入でQ2進出を目指したが、グループ1で10位=予選20位。今回はグループ1よりグループ2の方が断然厳しいメンバー揃いではあったが、最後尾から2列目から決勝のスタート(トロントから2戦連続)とは、エンジニアリングに大きな問題を抱えていると書かざるを得ない。

「いい走りができていたと感じられていたのに、Q2にも進めなかった」

Q1からレッド2セットしようという奇策に懸けた琢磨とAJ.フォイト陣営だったが…… Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  「レッド2セットをQ1で投入なんて、ずっとやってませんでした。しかし、プラクティス3を終えた時点での自分たちの置かれた状況から、その作戦で行くしかない、とチーム内で話し合い、決めました。レッドだと走り出してから3~4ラップ目にベストが出る。その想定通りの走りができてたと思います。しかし、路面のグリップ向上がすごく大きく、そこにマシンをマッチさせることが僕らはできていなかった。エアロ・セッティングを軽くして昨日は駄目だったので、今日はダウンフォース多めに変えてったんですけれど、それがうまく行っていなかった。トラブルもなく、ハンドリングも酷いってワケじゃないのに、ただスピードだけが実現できていない。マシンのバランスだって良かった。走らせていてのフィーリングも良好なのに、スピードがついて来ない。何もミスもなくてコレ……というのは厳しい。いい走りができていたと感じられていたのに、Q2にも進めなかった。現状では次の策も尽きている。もう一度チームメイトのものも含めてデータをよく見直し、レースに向けた対応をします。明日まだプラクティス・ファイナルもあるし」と琢磨は逆襲すべく気持ちを切り替えていた。

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