2016年8月1日月曜日

2016 INDYCARレポート 第13戦ホンダ・インディー200 アット・ミッド‐オハイオ Race Day 決勝:シモン・パジェノーが今季4勝目でポイント・リードを広げる

今シーズン4勝目を挙げて、パジェノーはタイトルに向けての勢いを取り戻した Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
序盤からレースをリードしたパジェノーだったが……
 ポール・ポジションからスタートしたシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、チャンピオンの座を争うチームメイトのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を突き放してスタートからトップを快走した。しかし、15周目にフルコース・コーションが出され、彼はトップから12番手まで後退した。イエローの原因はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が珍しく少々強引なパスをエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)に仕掛けたことにあった。2台はキー・ホール入口で接触、ディクソンのフロント・サスペンションが壊れ、ヘアピン状コーナーの出口付近に9号車はストップした。
 さらに、第2スティントの後のピット・ストップで、パジェノーはパワーの先行を許した。パジェノーより多く走った2周で思い切りハード・プッシュをしたのだろう、パワーがコースに戻ると順位が前に出ていた。


アレシン、初優勝のチャンスをピット・ロードでのミスで逃す
 この時点では、序盤のピット・タイミングの良さを味方につけたミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がトップに立っていた。しかし、彼はピット・ロードでジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)にぶつかってしまい、ペナルティも科せられて初優勝のチャンスを失った。彼にゴー・サインを出したクルーのミスだった。
 更に、90周のレースの61周目、ジャック・ホウクスワース(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)とのバトル中にターン1でコース・オフ。2回目のフルコース・コーションが出された。そして今度は、ホウクスワースのアクシデントが起こる少し前にピット・ストップを行っていたコナー・デイリー(デイル・コイン・レーシング)が、全員がピットに雪崩れ込んだ62周目にステイ・アウトしてトップに躍り出た。


66周目、激しい攻防の末パジェノーがパワーをパス

 パジェノーの前には、まだパワーという強敵も残されていた。最後のリスタートは66周目。バック・ストレッチの加速でパジェノーはパワーにアタック。2台は軽く接触しながら最初の右コーナーへと飛び込んで行った。ここでパワーはポジションを守ったが、パジェノーは攻め手を緩めなかった。右・左と連続するコーナーで並びかけ続け、最終コーナー手前のカルーセルでパワーのインサイドに飛び込んだ。そして、最終コーナーで前に出た。

 最も手強い相手をパスしたパジェノーだったが、まだ前にはデイリーがいた。タイヤはブラックだったが、素晴らしいペースで彼は逃げ続けた。ただし、18号車の燃料はゴールまで持つはずがなかった。

トップのデイリー、ラスト5周でスプラッシュのためピット・イン
首位に立ったパジェノー、パワーを寄せ付けず今季4勝目!


 デイリーは全力で走り続けてリードを8秒以上へと広げた。そして、ゴールまで5周というところでスプラッシュ&ゴーを行なうためにピットへ。これでトップの座は再びパジェノーの元へと返って来た。そして、燃費に苦しむパワーに4秒以上の差をつけて今シーズン4勝目。パワーの追い上げムードに水を差し、シーズン終盤を迎えて流れを自分の側へと引き寄せることに成功した。デイリーは最終的に6位でゴールした。
 「今日は今年の自分にとってのベスト・レースだった。GP・オヴ・インディも嬉しい優勝だったけれど、今日はもっと良いレースだった。自分の力を信じて思い切りアタックし、チャンピオンシップとレースでの勝利を争う相手をパスすることができた。インディーカーのドクターたちのおかげでレース中に痛みはまったく感じなかった。今、レースを終えて痛みが戻って来ているけれど、優勝できたから気にならないよ」とパジェノーは笑った。


ポイント・アドバンテージは58に拡大!タイトル武向け大きく加速
 47点差でミッド・オハイオを迎えたパジェノーだったが、次戦ポコノには58点へと差をまた大きなものとして向うことができる。シーズン中盤戦は失敗を恐れてか慎重になり続け、勢いを失っていた。しかし、今日の彼はまったく見違えるようなファイターぶりを見せた。「今日、僕らは自分たちに必要な戦いと結果を実現した。残る4レースもこのままアタック・モードで戦って行くよ。アグレッシヴに行くべき時が来たんだ」とパジェノーは初タイトルへと突き進むことを宣言した。

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