2016年9月5日月曜日

2016 INDYCARレポート レポート 第15戦 インディーカー・グラン・プリ・アット・ワトキンス・グレン・プレゼンテッド・バイ・日立 Race Day 決勝:ディクソンが完勝

ディクソンは走行初日から決勝レースのフィニッシュまで、完全に今年のワトキンス・グレンを制圧 Photo*INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
走りでも燃費でもディクソンがライバル勢を圧倒

 ポール・ポジションからスタートしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)がワトキンス・グレン・インターナショナルで完勝を飾った。60周のレースには3回のフル・コース・コーションが出されたが、ディクソンは後続に10秒、15秒という大差をつけてリードし続け、50周のリード・ラップとともに優勝。最終スティントでは、スピードだけでなく、燃費でも他を圧倒して見せた。完敗を喫したチーム・ペンスキーをはじめとするライバル勢は、大きな衝撃を受けたのではないだろうか。

「マシンセッティングが本当によかったから
時にはダウンシフトしないで走れるぐらいだった」


 この勝利はディクソンにとってはワトキンス・グレン・インターナショナルでの4勝目となるが、キャリア通算では40勝目で、アル・アンサーの39勝を抜いて歴代4位にポジションを上げた。もう彼より優勝数が多いドライバーはAJ・フォイト=67勝、マリオ・アンドレッティ=52勝、そして、マイケル・アンドレッティ=42勝だけになった。

スプラッシュする後続を尻目に、最終スティントで19周を走り切ったディクソン。最初のピットインの直後にフル・コース・コーションが出るというラッキーもあり、終始余裕の展開だった Photo:INDYCAR (Chris Jnes) クリックして拡大
  「急な開催だったにも関わらず、こうしてたくさん集まってくれたファンに感謝する。今日の僕らはピットした直後にイエローが出るなどの幸運にも恵まれていた。トロントとはまったく逆のケースになった。そして、僕らは燃費が非常に優秀だった。マシンのセッティングが本当に良かったから、時にはダウンシフトをしないでも走れるぐらいの感じだった。それで燃費が良かったんだと思う。今週末の僕らはほぼクリーン・スウィープを達成した。これだけ競争が激しいシリーズではそうそう実現できるものじゃない。そういう意味からも、今日の勝利は記憶に残ると思う」とディクソンは語った。また、彼は、「ジャスティン・ウィルソン・キッズ・ファンドに協賛してくれている人々にも感謝したい。今日の賞金を僕はその基金に寄付するつもりだ。このコースがジャスティンは大好きだったから。デイル・コイン・レーシングに初勝利をもたらしたコースでもあった。ここで彼と激しいバトルを戦ったこともよく覚えている」とも話した。

2位走行のヒンチクリフ、燃料が持たず最終ラップでストップ

 
最終ラップのガス欠で2位入賞をフイにしたヒンチクリフ。ブルデイにピック・アップしてもらいピットに戻ってきた Photo:INDYCAR (Mike Harding) クリックして拡大

  ディクソンと同じ41周目に上位陣は揃ってピット・ストップを行ったが、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)、マックス・チルトン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が残り3周でスプラッシュのためのピット・インを行なったのに対し、ディクソンは一度広げたリードを少しずつ減らしながらもトップを保ち続け、無給油で19周を走って勝利のチェッカード・フラッグを受けた。2位でゴールしたジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)との差は16秒5もあった。最終ラップまで2番手を走っていたジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がガス欠でスロー・ダウンし、最終コーナー手前でストップしたためもあってのことだった。ヒンチはゴールできずに18位にランクされた。
 

パジェノーは7位フィニッシュ!パワーはキンボールと接触してクラッシュ 

パワーの後塵を拝す展開となっていたパジェノーだったが、パワーがキンボールと接触してクラッシュし、ポイントリードを拡げることに成功 Photo:INDYCAR (MikeHarding) クリックして拡大
  チャンピオン争いでは、ポイント・リーダーのシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が手堅くスタート・ポジションと同じ7位でフィニッシュを記録し、26点を稼いだ。それに対してポイント・ランキング2番手のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、39周目にチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)のフロント・ウィングが彼の右リヤ・タイヤに接触してバランスを崩し、ガード・レールに激突。リタイヤで結果は20位。11点しか獲得できず、ポイント差はレース前の28点から43点に広がった。
 しかし、最終戦ソノマは賛否両論あるダブル・ポイント。ウィナーがボーナス抜きでも100点を与えられるのに対し、5位だと60点、6位は56点。40点の差は簡単にひっくり返る。

シボレー勢がトップ3を独占!ホンダ勢最上位は4位のデイリー

 3位はエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)が獲得。シボレーの表彰台スウィープが達成された。
 4位でゴールしたのはコナー・デイリー(デイル・コイン・レーシング)だった。初めてのレギュラー・シートを得たシーズンながら2回目のトップ5入り、5回目のトップ10フィニッシュとなった。
 5位は1周目にスピンして最後尾までポジションを落としたセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)。6位はキンボール、7位はパジェノーで、8、9、10位にはアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、RC・エナーソン(デイル・コイン・レーシング)、マックス・チルトン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)とルーキー3人が並んだ。今日のレースではルーキー4人がトップ10フィニッシュを果たしたことになる。

佐藤琢磨、ラストラップ痛恨のスピンでシングル・フィニッシュを逃す

 
 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は17位。最後尾スタートから1周目に17番手までポジションを上げ、8周を終えるところで1回目のピット・イン。少し早過ぎるタイミングだったが、15周目にミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)のアクシデントによるフル・コース・コーションが出された。ところが、この時にフォイト・チームは琢磨を上位陣と同じくピット・インさせたため、大幅なポジション・ゲインをするはずが、再びほぼ最後尾まで順位を下げてしまった。
 

粘りの走りを見せた琢磨。上位陣と遜色ないラップを重ねて、シングル・フィニッシュをほぼ手中に収めたかに見えたが…… Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

  しかし、レースが終盤戦に入った39周目、パワーのアクシデントで3回目のフル・コース・コーションが発生。ここで上位陣がピットに雪崩れ込むのを横目にステイ・アウトし、同じ作戦に出たカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)の後ろの2番手にまで大きく浮上。残り周回で1回ピット・インして給油を行う必要はあったが、上位陣も余程燃費をセーブして走らなければフィニッシュまで給油なしで走り切るのは難しい周回数を残していた。
 燃費セーブとスピードをバランスさせるのは難しく、多くのチームがゴールを前にしてピット・ロードへ。琢磨は48周目に給油を行ない、58周目には9位を走っていた。しかし、ゴール目前の59周目にスピンを喫し、結果は17位に終わった。「シモン・パジェノーをパスしようとして、アウトから仕掛けたんですが、タイヤかすを拾ったのかスピンしてしましいました」と琢磨は説明した。パジェノーをはじめとする、琢磨の前を順位を走るドライバーたちの多くが燃費の極めて厳しい状況にあり、琢磨には5位フィニッシュの可能性すらあっただけに、残念な結果となった。

 残るは最終戦ソノマのみ。その前にカリフォルニア州のコースでは、全チームが集結しての事前テストが来週半ばに開催される。
以上

2 件のコメント:

  1. 日本での中継で観られなかったディクソンのインタヴュー記事を紹介して頂き、ありがとうございます。それにしても、ディクソンの強さは圧巻でした。コーションでの幸運はあったでしょうが、どんなレース展開になっても、ディクソンに対抗出来るドライバーはいなかったと思います。

    琢磨選手は本当に残念でした。トップグループが軒並み燃費走行している絶好のチャンスだったのに、まさかまさかのスピン。全てが噛み合えば、ロングビーチのような結果が出るんですが、今回のガッカリ度はかなり大きいです。チームに残留出来るか不安になってきます。

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  2. ワトキンス・グレンのディクソン、本当に速かった~。燃費もメチャ良くてビックリ。まさに完勝。琢磨選手はテストなしでも何とか戦闘力を確保したものの、あと一歩の状態でレースに臨んだ。最初のピットが早過ぎ、2回目をトップ勢半分と同じタイミングで行なう羽目に。しかし、二度目のチャンスをゲット。ただ、ダウンフォースつけ過ぎのマシンではストレートでの伸び、プッシュ・トゥ・パスを使ったバトルでの苦戦の原因に。それでパジェノーのパスにも少々無理が要ったということのよう。ポコノのクラッシュはセッティング・ミスだったけれど、今回はドライヴァーのエラーという部分は確かにある。しかし、フォイト親子から厚い信頼を寄せられているので、おそらく来年も14号車で戦えるのでは? と期待をしてるけど・・・。

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