2017年10月18日水曜日

2017 INDYCARレポート 10月16日:動き始めた佐藤琢磨の2018シーズン! レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングでシート合わせ


コクピット両サイドにはもう日の丸と「SATO」の文字があり、ウィンドウ・スクリーン前には「Panaconic」のロゴも。チームこういう気遣いはドライバーにとって嬉しいものだろう Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
2018年のレース・エンジニア、エディー・ジョーンズと対面

 10月16日(月)、佐藤琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)のワークショップを訪れ、チーム・メンバーたちと会い、シート合わせを行なった。
 インディアナポリス・モーター・スピードウェイからクルマで20分ほど西へ行ったブラウンズバーグという町にショップはある。ドラッグ・レース・チャンピオンのジョン・フォース、スポーツ・カー・チャンピオンのウェイン・テイラー・レーシング、そして、ホンダ・パフォーマンス・デベロップメントのシミュレーターなどもあるエリアだ。



2階のエンジニアリング・ルームから見たショップの作業エリア。同時に5台をメインテナンスできるベイがあり、右奥はマシン・ショップ。右の壁の向こう側にトランスポーター2台を停めるスペースがある Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
 琢磨は朝9時にショップ入り。2018年に彼のレース・エンジニアを務めるエディー・ジョーンズと会った。彼らが互いに深く尊敬しているのは、その会話に現れていた。来シーズンの状況やそれに対する期待、RLL及びジョーンズのフィロソフィーなどなど、様々なことを話し合って二人はコミュニケーションを深めていた。

「琢磨はチャンピオンになるためのものをすべて持ったドライバー」
 ジョーンズは、「こうして欲しい……というように私やチームから押し付けることはしない。ドライバーの要望や意見を徹底的に聞き、理解して行くのが自分のスタイルなので。例えば今日のシート作りだが、どんなシートにしたいのか、絶対に妥協はしないで欲しい。一番ドライブし易いものを作ろう。ただし、シート・ポジションは低くし過ぎないように。コーナーの縁石が見えなくて走りのパフォーマンスが下がることがあるから」と話し、琢磨はそれに深く頷いていた。


エンジニアリング・ルームで話す琢磨とエディー・ジョーンズ Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
  ジョーンズは、「何年も彼を見て来ましたが、彼は間違いなくシリーズでも非常に速いドライバーのひとりで、チャンピオン争いに加わる力実力を備えています。チャンピオンになるために必要なのはレースで勝つ力だけでなく、成熟、知性、安定感などがあり、琢磨はそれらを全部持っています。グレアム・レイホールとのチームは強力なものになるでしょう。グレアムはずっと琢磨に憧れて来ました。その一方で、琢磨もグレアムの実力を高く評価しており、二人はお互いを深く尊敬し合っています。これはチームメイトになる時には外せない大変重要なポイントです。私たちのチームは2人のドライバーがチャンピオンシップを争う、シリーズのトップ・チームのひとつになると思います。琢磨と一緒に戦えることに対して、私は今からとてもエキサイトしています」とも語った。

佐藤琢磨「エディーと一緒に働けることは大きな楽しみ」

 

ステアリングとペダルの位置決め。琢磨は足高め、上体寝かせ目のポジションが好みらしい Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

クルーに持ち込んだフォイト及びアンドレッティ時代のシートの説明をする琢磨 Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
 続いて琢磨はシート作りに取り掛かった。AJ・フォイト・エンタープライゼス、アンドレッティ・オートスポートで使っていたシートが持ち込まれ、「腰周りのサポートはフォイトのものがとても気に入っている」、「アンドレッティでは着座位置が前過ぎた」、「両脚の間に垂直の構造物が欲しい」などと、それぞれの持つ良い点を琢磨がクルーに説明。レーシング・スーツに着替えた後、まずはステアリングやペダルのポジションを確認し、その後に2018年用のシート製作作業に入って行った。

水色のシート素材入りビニール袋が入れられ、いよいよシート作り。ドライバーはしばらく座っていなければならない。そのタイミングでエディー・ジョーンズはエンジニアリング・ルームから降りて来て、琢磨とドライビング・ポジションについてトーク Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
  琢磨は、「2018年シーズンが今から本当に楽しみです。この何年間か、RLLはどんなコースに行っても速かった。それはチームが素晴らしいエンジニアリング能力を持っていることの証です。来年からインディーカーは新しいエアロに・パッケージなりますが、僕らはそのことをアドバンテージに変えて頑張って行きたい。優秀なエンジニアのエディーと一緒に働けることも大きな楽しみです。彼はドライバーのことを物すごく考えてくれる。僕らの要望には必ず応えるという姿勢でやってくれるのは嬉しいですね」と話した。



ショップの壁には、インディ500のガレージに掲げるバナーのコレクションが。左下はロジャー安川、右上はダニカ・パトリックのものか、バディ・ライスとの優勝時のものか?? Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 1台体制だった2017年、グレアムのエンジニアリングはジョーンズがメインで、トム・ジャーマンがサブで就いていた。ジャーマンは元チーム・ペンスキーのエンジニアで、2016年シーズン直前に走ることの決まったアレクサンダー・ロッシを担当すべくアンドレッティ・オートスポートに急遽雇われたが、第100回インディー500で優勝したというのに1シーズンを終えるとRLLへと移った。琢磨を迎えて2カーへとチーム体制を拡大する2018年、RLLはジャーマンをグレアムに就け、2013年からグレアムを見続けて来たジョーンズを琢磨の担当に充てる体制を採る。


2 件のコメント:

  1. もう来季のシート合わせですか。
    体制発表といい、動き出しが早いですね。
    期待しちゃいますね。

    ところで、グレアムがずっと琢磨に憧れてきた
    って本当に?

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  2. エンジニアが誰になるか気になっていましたが、今年のサブエンジニアをグレアムに当てるとは意外です。
    琢磨さんのマシンカラーはイエローで決まりなのでしょうか。ハンターレイと見間違えないようにしないと(笑)

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