2018 INDYCARニュース 1月14日：ダン・ガーニー他界

ダン・ガーニー　1931年ニューヨーク生まれ　F1、スポーツカー、NASCAR、インディーカーのすべてで優勝した最初のドライバーだった　写真は67年のインディー500　

 伝説的アメリカン・レーシングドライバー
 
　悲しいニュースが飛び込んで来た。昨日、アメリカを代表するレーシング・ドライバーであり、レーシング・コンストラクターであり、チーム・オーナーでもあったダン・ガーニーが亡くなった。肺炎をこじらせてのことだという。86歳だった。

2014年、ロングビーチGPでAJフォイトとともにオートグラフセッションに姿を見せたダン・ガーニー。1967年のル・マン24時間をフォードGT40 Mark4で制した二人だ　Photo:INDYCAR クリックして拡大

F1からストックカーまで
オールラウンドな活躍で残した偉大な足跡
 
　ドライバーとしてF1グランプリで4勝し、ル・マン24時間レースもアメリカ車のフォードGT40に乗って制覇し、インディーカー、ストック・カーでも活躍したガーニーは、アメリカを代表する伝説的レーシング・ドライバーだ。

1970年のインディー500。マシンはオルソナイト・イーグル・オッフィー。ガーニーは1962年から9年連続でインディー500に出場し、予選は65年ロータス・フォードでの2位、決勝は68年、69年の2度の2位が最上位だった。ドライバーとして最後の挑戦となったこの年は3位でフィニッシュしている。Photo:INDYCAR クリックして拡大

 自ら作ったF1マシン＝イーグルで1勝（1967年ベルギーGP)を記録し、インディー500でもコンストラクターとして2勝。それらを含めインディーカーでは51勝もマークしている。

チームオーナーとしてもその実績は燦然と輝く

　ハコのレースもガーニーとAARは素晴らしい記録を残している。SCCAトランザムにクライスラー・バラクーダ、IMSA GTU/GTOにトヨタ・セリカを作って臨み、GTOではチャンピオンの栄冠を獲得。その後プロトタイプマシンのトップ・カテゴリー＝IMSA GTPに進むとポルシェ、ジャガー、ニッサン、シボレー、マツダと闘い、こちらでもタイトルをトヨタとともに奪取している。
　1996年にトヨタがインディーカーへの参戦を開始し、イーグル・シャシーもインディーカーに復活。しかし、残念ながらAAR最後のオープンホイール・マシンは勝利を挙げることはなかった。 

1966年のインディー500でこの年のウィナー、グレアム・ヒルと　Photo:INDYCAR クリックして拡大　

　CART時代にだったか、カリフォルニア州サンタ・アナのAARのワークショップを訪ね、インタビューをさせてもらったことがあった。帰り道のフリーウェイで鳴った携帯に応えるとそれがガーニーさんで、「さっきの話だけど、アレコレ話し過ぎちゃったところがあった。気配りをして欲しい。どこまで書くかは任せるけど」とのことだった。本人自らに電話をもらったのにも驚いたが、「XXの部分は書いちゃダメ」などとは言わず、こちらを信頼してくれたところがまた嬉しかった。

1967年インディー500のフロントロウ3人。ポールポジションのマリオ・アンドレッティ（右）、予選3位のゴードン・ジョンコック（左）とともに　Photo:INDYCAR クリックして拡大

 　アメリカ・レース界伝説の男のことを、私はかなり長いこと“ミスター・ガーニー”と呼んでいた。でも、いつの頃だったか、敬意と親しみを込めて"ダン”と呼ぶように変えた。
 長身でハンサムな彼は、とても温厚なジェントルマンで、いつもにこやかだった。二輪のエンスージアストでもある彼が、パドックを颯爽と白いホンダ・ダックスで走っていたのを思い出す。合掌。