2018年7月16日月曜日

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Race Day 決勝:トロントは予選2位からポイント・リーダーのスコット・ディクソンが優勝

タイヤかすで滑りやすいコンディションを制し、ディクソンがキャリア通算44勝となる今シーズン3勝目を挙げる。これでポイントスタンディングでも2位との差をさらに29ポイント広げる結果となった Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
ニューガーデン、33周目リスタートでまさかのクラッシュ!

 昨日の予選の戦いぶりは見事だったが、今日のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は”らしくない”ミスでポイントを稼ぎ損ねた。まだレース序盤の33周目に切られたリスタートで、彼は最終コーナーで僅かにラインが膨らんだためにタイヤかすを拾い、壁にぶつかってしまった。
 

フロント・ロウ2台による序盤のトップ争い Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
 「正直、なんで壁にヒットしてしまったのかわからない。タイヤかすとか埃に乗ってしまったんだと思う。イエロー中にコース清掃がされていたが、すでにかなりのタイヤかすが出ていた。まっすぐ壁にぶつかってしまった。その原因の一部は僕にある。ミスを冒したということだ。しかし、あんな状況に陥るとは予期していなかった。グリップが低いのは理解していたが、ゼロ・グリップになるとは考えていなかった。フロントが完全に流れた。優勝か、悪くとも3位フィニッシュができるマシンだったと思う。レースにはこういう日もある。今後のレースでポイントを取り戻さないと。まだまだ最終戦までの道のりは長い」とニューガーデンは話した。
ディクソン、パワー脱落後のレースを完全にコントロール


終盤、周回遅れとなったハンター-レイに前を塞がれ、2位のパジェノーに詰め寄られるシーンもあったディクソンだが、ハンター-レイがピットストップして前が開けると一気にスパートして優勝。最終コーナーでウォールに軽く接触する瞬間もあり、ハードに攻め続けての勝利でもあった Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
  勝ったのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。慌てず騒がず、スタート直後からニューガーデンの背後にピタリとつけてチャンスが訪れるのを待っていた彼は、相手のミスで楽々トップに立つと、そこからはまったく危なげなくゴールまで悠々と走り切った。ウィル・パワー’はサスペンション・トラブルで早々に優勝争いから離脱。シモン・パジェノーは2位でゴールしたが、ディクソンを脅かす存在とはなれていなかった。
 「体力はもう残っていない。体力的に本当に厳しいレースだった。勝つことができて嬉しい。滑り易い路面でのリスタートは難しかった。トップに立つチャンスを待っていた。その望み通りになってからは、後続を突き放すことができた。この調子でポイントを積み重ね、差を広げて行きたい」とディクソンは喜んでいた。ニューガーデンに並ぶ今シーズン3勝目。トロントでの3勝目はキャリア通算44勝目だ。

ロッシ8位、ハンター-レイ9位
ポイント上位陣はニューガーデン以外も不本意な結果に

 
コースはわずかにラインを外すと猛烈なタイヤかす地獄という様相に Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 
  ニューガーデンは最終的に9位。序盤にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に追突してフロント・ウィングを壊したアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は8位。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)はブレーキがロックし易い症状からタイヤ・バリアに突っ込んで周回遅れに陥り16位。ポイント上位陣はディクソン以外全員結果が酷かった。アイオワではギヤボックスのトラブルもあって上位フィニッシュができなかったディクソンだが、すぐ次のレースで優勝。チャンピオンシップ・ポイントは464点まで伸び、トロントを迎えた時に33点だったニューガーデンとの差を62点まで広げることに成功した。ロッシはランキング3番手を保ちはしたが、ディクソンとの差は41点から70点に広がった。ニューガーデンとの差は8点で変わらず。そしてハンター-レイは、ブレーキが頻繁にロックする症状によりタイヤ・バリアに突っ込んで周回遅れに。彼はトップとのポイント差が52点から91点まで大きく開いてしまった。
ユニバーサル・エアロをつかんできたパジェノーが2位
ウィッケンズ、ヒンチクリフの地元カナダ勢が3-4位に

 
パジェノーはディクソンを攻略することはできなかったが2位表彰台をゲット。佐藤琢磨はパジェノーを追い詰めるところまで来ていたが…… Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

  2位はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。未勝利だが、テキサスに続く今シーズン2回目の2位。ディクソンにアタックするスピードはなかったが、ウィッケンズを突き放すことはできており、徐々にユニヴァーサル・エアロ・キット装着マシンのセッティングとドライヴィングをマスターして来ている、ということのようだ。
 

プロとして初の地元レースを迎えたウィッケンズが3位表彰台 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックし
 3位はロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。ルーキー・シーズンに3回目の表彰台。チームメイトのジェイムズ・ヒンチクリフもすぐ後ろの4位でゴールした。彼らの地元トロントのファン、そしてカナダのファンは大喜び。プロモーターは彼らの人気に頼り過ぎず、もっと大々的なプロモーションを展開して欲しい。そうすればホンダ・インディ・トロントはもっともっと大きなイベントとできる。

力強く戦っていたマルコ・アンドレッティ
ラスト2周の燃料不足で4位入賞を逃す

 
マルコ・アンドレッティは一時18番手にまでポジションを落としたものの、そこからオーバーテイクを繰り返して4位まで浮上した Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大

 今日のアンラッキー大賞はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とのバトルを戦って4位に浮上。しかし、ゴール前2周で給油のためのピット・イン。結果は10位に。「週末を通してトップ4の実力を見せていた。予選は失敗したが、レースでは14番手スタートから4位までポジションをあげることができた。表彰台の可能性もあった。悪くとも4位というレースを戦えていた。コールド・タイヤでも速かった。タイヤかすを拾って滑りまくっているライバルたちもいたが、自分たちは大丈夫だったので、アドバンテージを掴んでいた。しかし、残り2周で燃料の警告ランプがついた。ガックリ来た」とマルコ。エンジニアによる燃費計算のミスなのか、給油マンがホースを早く抜いてしまったためなのか……原因はまだ判明していないが、マルコがまたも不運で好リザルトを残し損ねたのは事実だ。
表彰台を狙える展開に持ち込んだ佐藤琢磨だが
5位走行中の66周目、最終コーナーでウォールにヒット

 
マルコ。アンドレッティ、ヒンチクリフに先行する佐藤琢磨。ファステストラップを出した直後の66周目、最終コーナーでクラッシュしてレースを終える残念な結果に Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 琢磨はニューガーデンと同じように最終コーナーの壁にヒットし、レースを終えた。マルコのすぐ後ろの5番手を走っていいた時のことだ。スタートでパジェノー、その後すぐにロッシをパス。ニューガーデンのミスで3番手に浮上できるはずだったが、チームが「スタートなし」と無線で指示したため琢磨は加速せず、パジェノー、ウィッケンズにパスを許した。そのおかげでヒンチクリフに追突され、その後ぐらいからマシンが不調に陥った。ディクソンと勝負ができていたかはわからないが、パジェノーより速く、序盤にして彼の前を走っていたのも事実。2戦連続の表彰台、今シーズンの自己ベストとなる2位フィニッシュを逃して琢磨は悔しがっていた。

1 件のコメント:

  1. 天野さん、取材おつかれさまです。トロントは、暑かったみたいですが日本も猛暑です‼暑いです‼その暑さに負けないレース…今年でいちばんの見ごたえのあるレースだったのではないかと思いました。琢磨選手とマルコの熱い争い、琢磨選手とロッシの争いもすごく見ごたえがありました。琢磨選手が、いちばん活躍してたのでは?それだけに、琢磨選手のクラッシュは残念でなりません。レース後のインタビューも、すごく怖かったので…息をのみました。レイホールもクラッシュで後退しましたし、ブルデーはスペシャルカラーのマシンをくわしくみることもできないくらいの苦戦でしたね。ハンターレイとロッシは、とっちらかってましたし。マルコは、最後に燃料不足はかわいそうでしたね…。調子がよかっただけに残念。私が、インディを観始めた2015年はとっちらかってたレースが多くてでも見ごたえのあるレースが多かったけど最近はきれいにまとまったレースが多くて少しつまらなさもありました。でも、今日のトロントは本当に見ごたえがありました‼琢磨選手、ミドオハイオでトロントのうっぷんをはらしてほしいですね。天野さんも、熱中症に気をつけて取材してくださいね。次も、楽しみにしてます。そろそろ、来年の契約話が出てくるころですかね…。

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