2019年5月15日水曜日

2019 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第103回インディー 500:今年最初のインディー500向けプラクティスを走った佐藤琢磨が語る


テストがよかったので順調な滑り出しにできた
気になるところがハイライトされてきた
 
 「オープンテストが良かったことで、順調な滑り出しにできた。テストの時より全然今日は暖かく、タイヤも磨耗が早いし、バランスシフトも大きい。まだ30周もしていないのに、もうあのタイヤは使わない。この間のテストよりもタイヤのライフが短い。今日の天候によるコンディションで得られるダウンフォースも少ないので、気になるところちがハイライトされて来ているというか......。それを午後に修正したいと考えているところ」

テストのときのダウンフォースで行ったら今日は軽すぎた

「この間のテストの時は空気が重過ぎた。リッチ過ぎて、なんかすごくマシンのフィーリングが良かった。悪かった人はいなかったんじゃないかな? シェイクダウンで、イニシャル・セッティングが合っていた、合っていなかったっていうのはあったんだろうけど、グリップ感ではみんな苦労していなかった。それが今日は、この間のダウンフォースで行ったら軽過ぎちゃったんで、逆にダウンフォースをつけてってましたけど」

今のところは、マクドナルドのセッティングがよい方向に行っている

 「今年からレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング入りしているエンジニア、アレン・マクドナルドのセッティングは、クルマ作りのコンセプトが去年までのものとはまるで違う。だから、エド・カーペンターが速くて、スペンサー・ピゴットも速い(マクドナルドは去年、エド・カーペンター・レーシングでテクニカル・ディレクターを務めていた)。グレアム・レイホールも今日、最初のうち、まだ多くの人がトウを使ってスピードを出して来るまで速かったでしょ?
  今のところは、マクドナルドのセッティングが良い方に出てますね。ただ、僕らがわからないのは……去年とはまず路面が違う。コーティングがされているので。タイヤが変わっている。そして、エアロも去年とは違うので、一概に右から左に、彼のセッティングを今年の僕らのマシンに移したから上手く行くってものじゃないんだけど、基礎となるセッティングは、方向性としては凄く良いので、ここから上手にチューニングして行きます。あと、まだわからないのがトラフィックの中でのクルマの動き。こないだのテストでそれはやらなかったから。今日ちょっと、バーッて前のクルマに追いついてって、トウでいいラップができた時はワーッてフロントを持ってかれちゃった。予想以上に、ドラフティングでハンドリングが受ける影響の度合いが大きくて、あれ?   ついて行くのは結構大変なんだなと感じた。それに比べると、シモン・パジェノーとエリオ・カストロネヴェスは、2台でくっついたまま速いスピードで走って、追い抜くこともできていたから、今の時点で言うとペンスキーの方が僕らよりクルマの動きは良さそう。速度というより、トラフィックの中での動きはペンスキーの方がいい」

午後はチームメイト二人でグループ・ラン

 「午後のプラクティスではトラフィックでのテストをチームメイト2人と行うつもり。ジョーダン・キング(インディー500にレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからスポット参戦)は、まだくっついて来るだけで、抜けないと思う。でも、クルマが良いので、彼も割と早く踏めるようになると思う。グレアムはこの間のテストの時よりもマシンがずっと良いと言っているので、多分二人で今日からグループ・ランができるでしょう。でも、2台だけだとちょっと寂しい……と言うか、乱気流も少ないので、まずは2台で走って、ある程度自信がついたら、他の集団を見つけて多分、走るようになると思います。いずれにしても、今日の夕方からみんな結構なパックで走り出すことになるはず」

 「ファイアストンの新しいタイヤは、全体的なグリップ感が増している。あとは、ダウンフォースが少なくなっている時、だから、トラフィックに入っている時のグリップ感の落ち具合が去年より良い。新しいコンパウンドかコンストラクションか知らないけれど、フロント・タイヤが去年よりもずっとグリップが効いているので、そこは集団走行で役に立つと言うか、助かると思う」

 「エアロ・パーツが増えて、セッティングのバラエティが増えたことについては、みんな色々とやってるけど、あれはダウンフォースを増やすためと言うより、単純にエアロ・バランスのシフトをちょっと抑えようとしているんだと思う。ただ、それをやることによってトータルのダウンフォースは落ちているので、その代わり、今年からガーニー・フラップの装着が許されることになった。その結果、ダウンフォースのゲインできるんだけど、ドラッグは去年よりも全然増えているよね。去年はガーニー、ダメだったから。
 ドラッグが増えれば、オーヴァーテイクはもちろん増えることになる。去年はダウンフォースが圧倒的に足りな過ぎた。誰もオーヴァーテイクできていなかったでしょ?
勝ったウィル・パワーでさえ、前を走っていた人がピットに入るまで前に出ることができなかった。去年は史上最悪の500だったよね、オーヴァーテイクという意味では」

インディーに戻ってくるたびに、毎年難しさもすごさもわかってきた

 「今年は僕にとって10回目のインディ500。どういうリザルトだったにせよ、10年続けて来ているってことに対して、思うことはたくさんある。いい思い出も……もちろん特別な2017年の思い出もあれば、初めて壁の洗礼を受けた思い出もある……でも、みんながインディアナポリス・モーター・スピードウェイをレースの聖地って言ってるけど、その意味が今は本当にわかるようになっている。最初に来た時は、もちろんスケールがデカイから、F1の世界を見てても、ここではビックリするじゃない?
   あんな30万人も観客がいたら。すごいなって思ったけど、あの頃はまだちゃんと理解ができていなかった。でも、毎年戻って来る度に、難しさもすごさも本当にわかって来た。それが2017年の優勝で完結された……じゃないけど、ここは本当に特別だなとなった。だから、大事に、大事にやってますよ。これまでだって、ずっと大事にやってたけど、キッチリ、キッチリとプログラムを作って行って、最後の最後に繋げようとしている。結局、準備はもう何ヵ月も前から始まってるんだけど、走行は今日から始まって、それは決勝日の最後のスティントにクルマが最も良くなるようにすることを目標にしたものだから。そういう意識で今年のインディー500に挑みたい」

 「火曜日からプラクティスで、走れる時間は以前に比べて随分と少ない。全然、マンス・オヴ・メイじゃない。ウィークだ。火、水、木と3日間走ったらファスト・フライデイ。その次の日はもう予選でしょ?
だから、難しさは増している。全然時間が足りない。そういう意味で、今日のように出足がスムーズだったのは良いこと」

 「今日は走り出しの2時間のプラクティスで、計画していたプログラムをほぼこなしたけれど、思っていたよりも良くはなかった。リヤが滑り出しちゃって。え、こんな早く来ちゃうの?って感じだったから。それを修正するのが午後の目標。トラフィックの中で幾つかのことを試す。多分、今朝のセッションでそういう状況になっていたのは、タイヤをどう扱ったかによるものだと思う。最初の510周でタイヤをどうトリートしたかで全然違って来る。この間のテストでのグレアムがそうだった。今日のグレアムは、後ろは全然平気だったけど、前がなくなっちゃってた。ほんのちょっとしたことで、そこは大きく変わって来るので、レースに向けて把握をしておくことが重要」

 最初の2間の走行で佐藤琢磨は、30周弱を走行。自己ベスト=227.249mph7番手にランクされた。トップはエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)の228.653mph。琢磨のトウなしのベスト=222.735mphは、今日の8番手だった。こちらのトップはエド・ジョーンズ(エド・カーペンター・レーシング)の224.320mph。シヴォレー・ユーザーのECRが今年もインディではペース・セッターを務めている。カーペンターのトウなしスピードも4番手の好位置。スペンサー・ピゴットはスピード=227.661mph7番手、トウなしスピードも7番手だった。

以上

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