2019年5月12日日曜日

2019 INDYCARレポート R5 インディーカー・グラン・プリ Race Day 決勝:シモン・パジェノーが残り2周でスコット・ディクソンをパスして今季初勝利

パジェノー、ラスト2周での大逆転勝利! 自身インディーカー・グラン・プリ3勝目、ペンスキーは今年もインディーカー・グランプリを制した Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 レース終盤、ウェットタイヤを選んだディクソンがトップに

 曇天・低温というコンディションで始まったレースは、心配されたとおりにレース終盤が雨になった。路面が完全なウェットになる前の60周目、エリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)がスピンしてフルコース・コーション。ここでほぼ全車がピットしたが、ウェット・タイヤを選ぶのが結果的に正解だった。





59周目、4位でルーティンのピットインに入ったディクソンはレインタイヤに換装。同一周にピットインしたニューガーデン、オーワードらはこの時ブラックタイヤをチョイスして再度のピットインを余儀なくされ、ディクソンが独走状態に Photo:INDYCAR (Doug Mathews) クリックして拡大
 トップ・グループはここでスリックをチョイス。もう一度ピットする羽目に陥り、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がまんまとトップの座を取り戻した。


ニューガーデン、スリック選択が裏目に

 カストロネヴェスがスピンした頃には雨があまり降っていない状況で、13番手スタートから優勝するチャンスを手にしかけていたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は、「まだ路面はそんなに濡れていない」とピットにリポートし、スリックをチョイス。ペースカーの後ろを走るうちに路面がどんどんウェットに変わって行ったために、レイン・タイヤに交換するために、もう一度ピット。ここで外したタイヤがピット・ボックスから転がり出し、ペナルティの対象となって優勝のチャンスは消滅。15位にまで順位を落としてのゴールとなった。

独走態勢を築いたかに見えたディクソンだったが
背後から急浮上したパジェノーが残り2周でアウトサイドパス!

 
上位陣がピットインした60周目にステイアウト、ピットオープンとなった63周目にピットインしたパジェノーは迷わずレイン装着し、64周目に6番t根でコースに復帰。最後のリスタートに臨んだ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

 85周のレースは、65周目に最後のリスタートが切られた。ここでディクソンはジャック・ハーヴィー(メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・ASPM)、マテウス・レイスト(AJ・フォイト・エンタープライゼス)という、あまり経験が豊富でないドライバーたちを大きく突き放すことに成功。あとは今季初勝利へとラップを重ねるだけと見られた。ところが、一度多いピットストップをしてレインタイヤを装着、6番手でリスタートを切ったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が、エド・ジョーンズ(エド・カーペンター・レーシング)、スペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)をパスして4位へ浮上。その勢いでレイストの初表彰台の夢を砕き、さらにはハーヴィーもパスしてディクソンの背後に迫った。
 さすがにディクソンまでは届かないと思われていたパジェノーだったが、トップを行くディクソンのペースが落ちたために急激に差を縮めることに成功。残り2周、彼はディクソンの意表を突くアタックでアウトからパス。トップに躍り出るや、リードを広げてゴールへ逃げ切った。2017年最終戦ソノマ以来となる久々の優勝は、キャリア12勝目。インディカーGPはこれで3勝目で、同レースでの勝星数はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に並んだ。このレースは今回が6回目だが、全てチーム・ペンスキーがウィナーとなっている。

喜ぶパジェノー「自分のキャリアの中で最もうれしい勝利」


パジェノーは2017年最終戦ソノマ以来、自身キャリア12回目の勝利。ディクソンはインディーカー・グランプリ3年連続の2位で、キャリア43回目となるランナーアップ。ハーヴィーは初のポディウムだ Photo:INDYCAR (Doug Mathews) クリックして拡大
「最後の5ラップは本当に頑張ったが、それ以上に今日のレース自体が本当に驚くべき戦いになっていた。みんなは燃費セーブでもしているのか? と思うほど僕らは速かった。シェヴィーが素晴らしい仕事をし、エンジン・パワーを与えてくれた。3勝でウィルに並んだのも素晴らしいことだし、チーム・ペンスキーだけが勝つレースといいう記録を保てたところも嬉しい。自分のキャリアの中で、最も嬉しい勝利となった」とパジェノーは語った。

シヴォレー、ホンダの4連勝を阻止
予選でのホンダ優位を跳ね返す今季2勝目


 ハーヴィーとメイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・ASPMは初の表彰台となる3位フィニッシュ。レイストの4位も高く評価されるべきものだろう。
 シヴォレーは開幕戦に続く2勝目を挙げ、ホンダの連勝を3でストップさせた。今回はロードレースでホンダ勢が予選トップ4を占めてアドヴァンテージを持っているかに見えたが、作戦とウェット・コンディションでの走りの良さによってレイスト、ジョーンズ、ピゴットが4、5、6位でフィニッシュ。ほとんど目立たないレースを戦っていたパワーも7位でゴール。ホンダの上位独占は阻まれた。


佐藤琢磨、ニューガーデン同様にタイヤチョイスが裏目に

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は14位でのゴールとなった。ニューガーデンらと同じく60周目からのイエローでスリックを選ぶ作戦ミスがあり、レイン・タイヤを装着すべくもう一度ピット。ウェット・コンディションでのバトルではポジションを次々上げて行く戦いを見せてくれるものとの期待がされたが、逆に順位を下げててしまった。「雨を想定してダウンフォースをつけて行ったチームもありましたが、チーム・ペンスキーのように空力をトリムして行ったところもありました。僕らはその中間ぐらい。その空力セッティングだったのか、タイヤの内圧設定だったのか、今日の僕らはウェットでもマシンが曲がって行かなかった」と厳しい戦いを終えて語った。ポイント・スタンディングはレース前の4番手から5番手へと一つ下がった。今日のウィナー、パジェノーがランキング11番手から一気に琢磨の一つ上の4番てまで一気に浮上したのだ。

以上

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