2020年2月20日木曜日

2020 INDYCARレポート今シーズン注目のチーム その2:デイル・コイン・レーシングも2020年の注目チーム


フェルッチのマシンと、派手なカラーリングのステアリング Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
21歳のフェルッチが一躍チームリーダーに

 インディーカー2年目のサンティーノ・フェルッチ。2020年のエントリーはデイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァンからに変わる。カー・ナンバーも19から18になるが、去年といちばんの違いはチームメイトが業界でも一二を争う実績と豊富な経験と持っていたセバスチャン・ブルデイからルーキーに替わるところ。フェルッチはインディーカー2シーズン目にして、21歳という若さでチームのリーダー的役割も果たさねばならなくなる。


インディーカー2年目の今年、狙うは初優勝

 去年のフェルッチはインディー500でルーキー最上位となる7位フィニッシュを飾り、テキサスでキャリア・ベストとなる4位でゴール。アイオワで奮闘を見せ、ポコノでも4位フィニッシュし、ゲイトウェイでは97周ものリード・ラップを記録して初優勝目前まで行った。結果は2週連続、3回目の4位。表彰台にはあと一歩届かず、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを惜しくも獲り逃した。しかし、2020年に向けた土台は築き上げた。2年目は早い段階で表彰台を実現し、初勝利を狙う……というのが彼らの目論見だ。サーキット・オブ・ジ・アメリカスでの合同テストでは、1483640のベストで27人中20番手と決してよいポジションではなかったが……

チームメイトとなるのは22歳のルーキ、パロウ!

スーパーフォーミュラ経由のインディーカーデビュー

 フェルッチの新チームメイトになるのはアレックス・パロウ(22歳)。去年は日本でスーパーフォーミュラに参戦していた。ユニークなステップ・アップ・ルートでのインディーカー挑戦が始まる。COTAでの合同テストでは先輩チームメイトを大きく上回るタイムで9番手に食い込んだ。それでも、「もっと速く走れていたはずなので、ちょっと残念」とコメント。テスト終了間際の赤旗連発でベストのラップを遮られた……という意味なのだろうが、同じ境遇の人は何人もいたので、今回は素直にトップ10入りを喜んでいればいいと思う。

 パロウのアメリカ進出はチーム・ゴーとDCRとのジョイントで実現したが、実はこの日米提携、初めてではない。「1990年、ディーン・ホールという若いアメリカ人ドライヴァーを走らせた時、僕らは一緒だった」とデイルは話した。30年も前のことだ。その後しばらくして日本のチームはル・マン24時間で総合優勝を飾るまでになり、アメリカのチームはインディーカーでの初勝利から5勝を積み上げた。


昨年のミッド・オハイオのテストでの好成績で起用を決意

 ヨーロッパ出身なのに、「出たいのはインディーカー」とパロウは言い続けて来たという。その理由は、「ストリートからオーバルまで色々なコースがあって、競争もすごく激しいから」で、「F1に特に強く惹かれることはなかった」というのだから驚く。COTAでのテストでは60周を走破し、ベストは1477070。トップだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)との間には0.9467秒の差があったが、大きな自信をつけたようだ。
 「去年、ミッド・オハイオでテストした。レースの翌日で路面にラバーが乗っていたのは事実だが、パワーのポール・タイムより1秒以上速く走った」とデイル・コインはパロウ起用を決意した背景を話した。
 その才能をCOTAで遺憾無く発揮したパロウは、「悪天候で1日目と2日目の午前中に走れなかったのは残念だったが、テストの成果は上々。2日目の午後はかなり忙しくなったけれど、楽しくもあった。多くの項目をテストし、多くを学んだ。良い1年の始まりになったと思う。インディーカーのエアロスクリーンは視界が悪くなるのでは? と心配していた。しかし、そんなことは全然なくて、視界は完璧に良好だった」とコメントした。


パロウ、なぜか本拠をテキサス州オースチンに


 パロウの話でもうひとつ驚いたのは、2020年シーズンを戦うにあたり、彼がテキサス州オースティンにベースを置くという話。インディー500とインディーカーGPがあるので滞在がほぼ1ヶ月の長さになるインディアナポリスにするか、DCRの本拠地のあるシカゴ周辺とするのが普通考えられるパターンで、国内時差を考えると東海岸に住んでいた方が有利だが、「テキサスが好き」とか、「気候が温暖」などを理由にオースティンを選んだんだとか。スペイン出身の22歳を惹き付けるテキサスの魅力とは?
夏の間は温暖を通り越して酷暑になるが?
テキサス州々都は北米大陸のほぼ真ん中/南側というロケーション。移動には便利そう……だが、その地理的条件がほとんど変わらず、エアラインのハブになっているテキサスの他の大都市x2=ダラスかヒューストンにせず、オースティンを選んだのはなぜ?
シリーズ転戦にどこまで便利だったか、オースティンのどんなところに利点/美点はあるのか、翌年も住み続けたいか、シーズン終盤にでも聞いてみたい。


テキサスの洗礼に興奮を隠せないパロウ

「想像していた以上にクレイジーで楽しかった」

 さて、COTAでのテストが終わってすぐ、パロウとDCRウィズ・チーム・ゴーは同じテキサス州内を休む間も無く北上、2020年のシーズン第9戦の舞台となるテキサス・モーター・スピードウェイに向かった。オーバルでのルーキー・テストがあったためだ。
 オーバルを初めて経験したパロウは、「オー・マイ・ガッド! 凄い1日になった。初めてのオーバル走行だったが、本当に速かった。テキサスのコース、すべてのラップが最高だった。自身の陸上スピード記録は215.150mph(=346.250km/h)へと更新された。クレイジーだけど、とても好きになった。これをやってる人たちもクレイジーだが、みんな大好きだ」とトゥィートした。125周を走って、「クレイジーな経験だった。でも、とても気に入った。オーバルで走るのって最高だった。自分の想像していた以上にクレイジーだったけれど、同時に、期待していた以上に楽しかった。最初はバンクとスピードに目を大きく見開いていた。何もかもが本当に速いと感じた。こういう時は一歩ずつ着実に行かないとならない。小さな部分にまで注意を行き渡らせることも重要。ごく小さなセッティング変更でマシンは良くなり、走行ラインも僅かな違いが効果を発揮する。僕らはゆっくりしたペースで走り始め、スピードと自信を築き上げて行った。夏にここに戻って来た時には、暑いし、レースでは多くのマシンが自分の周りを接近して走る。今回と大きく異なる環境になることは十分わかっている。しかし、今日、こうして初めてのオーバル走行を体験でき、完璧な1日とできた。オーバルでレースができることが今から待ち遠しい。もうすでにオーバルでのレースに向けて興奮している。自分はオーバル・レースを気に入るとは思っていたが、自分で考えていた以上に好きになった。今シーズン、ついにオーバルで走れる。それはすごいことで、本当に嬉しい」とパロウはコメントした。

 GP3
F2を同時期に戦っていたフェルッチとパロウ。21歳と22歳は2020年のNTTインディーカー・シリーズをチームメイトとなって戦うことになった。とても若いコンビは良きライバルとなって切磋琢磨し、アメリカン・トップ・エンジンズの世界に旋風を巻き起こしてくれることと期待したい。

以上

0 件のコメント:

コメントを投稿