2025年8月24日日曜日

2025 INDYCAR レポート R16 スナップ₋オン・ミルウォーキー・マイル 250 Day1 予選:アレックス・パロウがポール・ポジション獲得記者会見

 天候:快晴
気温:25〜26℃
路面温度:42〜44℃

プラクティスよりも風が強くなる中、午後1時に予選スタート

 昨年のミルウォーキーはダブルヘダーだった。ポールポジションは、レース1がスコット・マクロクリンで、レース2はジョセフ・ニューガーデンだった。彼らはPPを逃したレースで予選2位を確保し、両レースのフロント・ロウを二人で独占した。
 今朝のプラクティスではニューガーデンが最速だった。今年もチーム・ペンスキーの優位が保たれているようにも見えていたが、プラクティス1でのマクロクリンは7番手で、パワーは12番手と今ひとつ振るわなかった。圧倒的とも言えた昨年のようなアドヴァンテイジは、もはや存在しないのかもしれない。
 予選は午後1時過ぎのスタート。午前中のプラクティス時より風が強くなっていた。吹く方向は、ターン1からターン2で変わらなかったが……。


デイリー、平均160mphをクリア! しかしそこから続々と160mphオーバー

 予選アタックはポイント・ランキングの逆。
 最初に平均時速160マイルを上回ったのはコナー・デイリー(フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー)。計測1周目に彼は22秒7686をマークした=160.484mph。デイリーは計測2ラップを両方22秒台に入れた最初のドライヴァーともなった。
 しかし、彼のトップの座は次のアタッカーがさらっていった。ニューガーデンが22秒8144、21秒7665と2ラップ双方を160mph台に乗せたのだ。

ニューガーデンがトップに立ち、マクロクリンが更新!
しかし続くマスーカスがペンスキー勢をごぼう抜きにしてトップに!

 2年連続PPを狙うニューガーデンを上回ったのはマクロクリン。彼の計測1ラップ目は、ここまでの最速となる162mph台に乗った。22秒5315、22秒6470の2ラップでマクロクリンが平均時速161.346mphでトップに躍り出た。
 しかし、まだPPは決まりではなかった。次のアタッカー、デイヴィッド・マルーカス(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー)が22秒4835、22秒5565=平均時速162.246mphで技術提携先のペンスキー勢を上回って見せたのだ。

ハータはターン2でスピン、ローゼンクヴィストは計測1周目にクラッシュ!

 次のアタッカー、コルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・ウィス・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)は計測1ラップ目にターン2でスピン。相変わらずの脅威的マシン・コントロールでクラッシュは避けたが、そのラップ・タイムは37秒台で、2ラップ目も一応計測したが、27秒2462で、彼の予選順位は26位となった。彼の次の次に走ったフェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)が、計測1周目のターン4で激しいクラッシュを演じ、計測タイムなしとなったからだ。

シヴォレー勢トップ6独占の状況をカークウッド、ディクソンが崩す

 ポイント・ランキング6番手のウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)がアタックを終えた時、トップ6をシヴォレー勢が占めていた。ところが、次のアタッカー、カイル・カークウッド(アンドレッティ・グローバル/ホンダ)が22秒7738、22秒8007の2ラップで平均160.353mphとして4番手へと食い込んだ。さらに、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が22秒6638、22秒7414で平均160.951mphとして3番手となった。

オーワード、ディクソンを上回るタイムで2番手に

 パト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)は、マルーカスを上回ることはできなかったが、ディクソンの上を行く162.078mph(22秒4791、22秒6103)をマーク。これでシヴォレー勢の1−2−3となった。

ゆっくりしたウォームアップでアタック開始したパロウ、163mphをマーク!

 そして今年のポイント・ランキング1位をすでに前戦ポートランドで決定しているチャンピオン=アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が登場。朝のプラクティスで2番手につけるタイムをマークしていた彼がどこまでのスピードを出すかに注目が集まった。

 パロウのウォーム・アップ・ラップは24秒1687=151.187mphだった。これはマルーカスの22秒9431や、マクロクリンの23秒1378、ニューガーデンの23秒2235、パワーの23秒4819などと比べると明らかに遅かったが、ディクソンの24秒2255とほぼ同じ速さだった。ディクソンはその直後の計測1周目で22秒6を出しており、パロウもここで大きくスピード・アップをして来るものとの予測ができた。すると、やはり(!)彼は22秒3764という今日の最速ラップをアタック1周目に叩き出した。平均時速はついに163mph台に乗った=163.297mph。2ラップ目にスピード・アップはあるのか? 同レヴェルのスピードを保てるのか、踏ん張り切れずにスピード・ダウンするのか……。誰もが固唾を飲んで注目した2ラップ目は、なんと(!!) 22秒4658。僅かなダウンはあったが、平均時速162.971mphを記録し、4タイム・チャンピオンは歴史あるザ・ミルウォーキー・マイルでの初PP獲得を達成した。ショート・オーヴァルでのPPは今年のアイオワ(レース2)に続くキャリア2個目、オーヴァル・コースでのPPは通算3回目。今シーズンPPとしては6回目、キャリア12個目のPPともなった。

PP獲得を喜ぶパロウ「朝のプラクティスの状態からセッティング変更を行い
自信をもってマシンを操ることができた」

 「マシンが良いものに仕上がっていることはわかっていた。朝のプラクティスから少しのセッティング変更を行なった。スプリングとかウィングとか。そうすることで、もっと自信を持って操れるマシンとなっていた。とにかくマシンの持つ力をフルに引き出した走りを実現したかった。ここでポール・ポジションを獲得できたなんて、信じられない。本当に素晴らしいことだ!」とパロウ。リヤ・ウィングにP1ステッカーを自ら貼った時の彼の笑顔に喜びの大きさが現れていた。

 “パロウの年“を改めて印象付ける大逆転でのPP獲得劇となった。彼のライヴァルであるオーワードは昨日、「パロウがまた今年と同じようなシーズンを送ることは有り得ない」と言っていたが、ここまで強いと、来年同じことが繰り返されたとしても何の不思議もないように感じられる。

PPをさらわれたマルーカス「ウォーム・アップもカウントしてくれたら……」

 マルーカスは予選2位。これは彼のキャリア・ベスト・タイ。またしてもPP獲得を逃したということだ。「ウォーム・アップもカウントしてくれたら僕らがトップだったのに」とマルーカスは笑った。彼らはウォーム・アップからスピード・アップしておくことが計測2ラップで速く走るためには必要と考え、その通りの走りを行った。対するガナッシ勢は、ウォーム・アップは抑え目に行い、タイヤのグリップがアタック2ラップでフルに発揮されることを目指し、パロウの方がPPを掴んだ。

 ガナッシ対ペンスキーを提携チームのメンバーも含めて行うと以下の通りになる。全体的にはペンスキーが上回ったが、肝心のPPはパロウのものとなった。

ガナッシ

 パロウ:PP
 ディクソン:予選5位
 マーカス・アームストロング:予選16位. 
 キフィン・シンプソン:予選20位
 フェリックス・ローゼンクヴィスト:予選27位(アクシデント)

ペンスキー
 マルーカス:予選2位
 マクロクリン:予選4位
 パワー:予選6位
 ニューガーデン:予選8位
 サンティーノ・フェルッチ:予選23位

 パロウとガナッシの大健闘により、ホンダは今季10回目のPP獲得を果たし、シヴォレーは最終アタッカーによってPPを奪われた。

予選の後には、プラクティス2=ファイナル・プラクティスも行われた。
以上


0 件のコメント:

コメントを投稿