2012年3月25日日曜日

2012 INDYCAR レースアナリシスR1part2:チップ・ガナッシ・レーシングに何が起きたのか?

開幕前のオープンテストでトップタイムを記録したのがスコット・ディクソンで、2位はダリオ・フランキッティだった。テストは2グループに分かれて行われ、後に走ったグループの方が路面コンディションが良く、タイムを出し易い条件が揃っていたとはいえ、ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングのドライバーふたりは、どちらも開幕戦のポールポジション候補に挙げられることとなった。去年のセント・ピータースバーグでの予選を振り返っても、フランキッティは2位、ディクソンは3位だった。そして、フランキッティはレースでのウイナーともなっている。

 しかし、今になって考えれば、今日の予選前のプラクティス3までで、彼らは満足できるパフォーマンスに到達できていなかったのだ。3回のプラクティスのラップタイムを総合すると、フランキッティは4番手でトップ6に入れていたものの、決して安心はしていられない状況にあった。ディクソンに至っては7番手と、ファイアストン・ファスト6への進出が現実として不安視される順位しか得られていなかった。
 プラクティス3までの総合でトップ6にあったのは、シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)、フランキッティ、マイク・コンウェイ(AJ・フォイト・レーシング)、グレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
 この中からフランキッティのように予選ファイナルに進めなかったドライバーは、コンウェイとレイホールのふたり。彼らに代わってファイナルを戦ったのは、ジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)だった。

 金曜の時点でのターゲット勢は、「プラクティス2ではセットアップの調整を行ったが、ちょっと行き過ぎてしまった」とディクソンは判断ミスがあったことを認め、フランキッティも「まだシャシーとエンジンを勉強中。予選用の良いマシンセッティングを作り上げるためには、今晩と明日のプラクティス3がある。新しいマシンを開発する時には、やるべき仕事がたくさんあるだ」とコメントしていた。ふたりとも自分たちのマシンに100パーセント納得はできていなかった。
 しかし、「ターゲットのふたりなら予選までにはマシンをキッチリ作ってくる」。そう思われていた。本人たちもそのつもりだっただろう。しかし、実際に予選のQ1が始まって見ると、彼らは依然として苦境に置かれたままだった。揃って走ったQ1のグループ2でフランキッティは5番手、ディクソンは6番手とQ2進出はギリギリだった。そして、Q2での彼らの失地挽回は叶わなかった。ディクソンは5周を走って7位、フランキッティは4周のアタックで10位に沈んだ。

「我々のセットアップが必要なレベルに達していなかったのは明らかだ」とフランキッティは敗北を認めたが、「シボレー勢が上位を占めたのは、単なる偶然ではないだろう」と、ホンダエンジンのパファーマンス不足を意味するコメントも残した。
 今回のチップ・ガナッシ・レーシングは、プラクティスからマシンセッティングが本当のトップレベルにはなく、その影響もあって予選で使うレッドタイヤ用セッティングがさらに戦闘力の低い状態になっていた。その点で大健闘していたのがアンドレッティ・オートスポーツとシュミット・ハミルトン・モータースポーツで、彼らの躍進がターゲット・コンビのファイナル進出を阻む形となった。

 競争は昨シーズンまでより厳しくなっている。AJ・フォイト・レーシングのコンウェイ、ルーキーのジョセフ・ニューガデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)もプラクティスまでで光る走りを見せていた。
 ディクソンは、「自分たちのチームの力を信ずる。ここから挽回し、レースでは優勝争いに絡んで行けるはずだ」と話し、フランキッティは、「自分たちにできるのは全力でレースに取り組み、結果を出すこと。まだ策は残されている」と語った。彼らの秘策とは何なのか? どんな戦いぶりを見せるのか? 注目だ。

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