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Photo:Penske Entertainment |
ペンスキー勢優位なショート・オーヴァル戦
まずは昨年の予選を振り返る
2015年以来インディーカー・レースが行われて来ていなかったウィスコンシン州の伝説的オーヴァル=インディアナポリス・モーター・スピードウェイより古い1903年創業のザ・ミルウォーキー・マイル(その名の通り1マイル・オーヴァル)が、昨年ついにカレンダーに復活……したばかりかダブルヘダーを開催した。
近年のショート・オーヴァルで優勢にあるのは、もう間違いなくチーム・ペンスキー。2020年まで遡っての戦績を見て欲しい。
アイオワ(ダブルヘダー) 8戦・7勝
2024年 ウィル・パワー1勝 スコット・マクロクリン1勝
2023年 ジョセフ・ニューガーデンが両レース制覇
2022年 *パト・オーワード1勝 ニューガーデン1勝
2020年 ニューガーデン1勝 シモン・パジェノー1勝
ゲートウェイ 5戦・4勝
2024年 ニューガーデン
2023年 **スコット・ディクソン
2022年 ニューガーデン
2021年 ニューガーデン
2020年 ニューガーデン
ナッシュヴィル 1戦・未勝利
2024年 ***コルトン・ハータ
ペンスキー勢は5年間に行われたショート・オーヴァルでのレース14戦で11勝を挙げてきた。そんなデータがある中で復活するミルウォーキーでのレースがシーズンのド終盤にスケジュールされ、しかもダブルヘダーとは……何らかの意図を感じざるを得ないが、それよりも伝統ある“ブル・リング”のカレンダー復活を喜ぼう。
2024年はハイブリッドがシーズン途中から導入された。オーヴァルでのハイブリッド・マシンはどんな運動性能を示すのか、どんな走りが可能なのか‥‥夏に事前テストが行われた。そしていよいよレースウィークエンドの予選が迎えられたわけだが、快晴で強い陽光が照りつける中、気温が29℃まで上がったコンディションでの2連続アタックでは、案の定、レース1のポール・ポジションをマクロクリン、レース2のPPをニューガーデンが獲得し、レース1の予選2位はニューガーデン、レース2の予選2位はマクロクリンと、両レースのフロント・ロウ独占をチーム・ペンスキーはやってのけた。彼らはショート・オーヴァルでのマシン・セッティングでライヴァル勢が知らない何かを掴んでいるのだ。最速ラップはマクロクリンがアタック1周目に記録した22秒5086=平均時速162.341mphだった。
昨年のレース×2をプレイバック
レース1は6番手スタートだったオーワードが勝利し、パワーが2位で、3位はJHRのコナー・デイリー!
予選8位からオーワードが勝った。プラクティスからレース用のマシン作りに強くフォーカスしていた彼は、気温や路面の温度が下がって行くレース中のコース・コンディションにマシンをうまく合わせ、1回目のピット・ストップ以降にペース・アップ。10秒もの大量リードを築き上げ、トラフィックの処理の巧みさでライヴァル勢を上回っていた。
伝説のオーヴァルがシリーズ復帰。その最初のレースで勝ったのは25歳のメキシコ出身ドライヴァー(テキサス州育ちだけど)だった。2位はパワー。そして、デイリーの3位フィニッシュは、2017年にインディーカー参戦を始めたフンコス・ホリンジャー・レーシングにとって初めてとなる表彰台登壇だった。4位はサンティーノ・フェルッチ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)で、シヴォレー勢が1-2-3-4を達成。
予選2位だったニューガーデンはレース終盤にマーカス・エリクソン(アンドレッティ・グローバル/ホンダ)と絡んでリタイア。インに飛び込んだエリクソンにオーヴァーテイクされることを拒み、ギリギリのスペースしか与えなかったニューガーデンだったが、タイトなラインに閉じ込められたエリクソンが一瞬マシンのコントロールを失い、両車は接触。エリクソンがスピンしてニューガーデンを道連れにした形となった。今から考えると、このアクシデントがニューガーデンが今も悩まされている衝撃的&長期的な不運のスタートだった。
レース2ウィナーはマクロクリン
土曜日のレース1は夕方スタートだったが、日曜開催のレース2は日中に行われた。ところが、土曜日に続き、このレースも暑くない、どちらかと言えば涼しい中での闘いとなった。
ウィナーは予選2位だったニュー・ジーランド出身ペンスキー・ドライヴァーが優勝した。ニューガーデンはPPだったが、最初のスタートが取り止めにされた直後に後続に追突されてクラッシュし、0周リタイア=2日連続リタイア。先輩ドライヴァーとは対照的に、マクロクリンがオーヴァル2勝目へと逃げ切った。前日のオーワードによる優勝ともども、インディーカーは新時代へと突入し、新スターたちが誕生したかにも見えたが、マクロクリンは今シーズン、インディー500でのスタート直前のクラッシュからなのか、スランプに陥っている。
しぶとさを見せつけ、予選17位だったディクソンが2位フィニッシュ。ハータが3位だった。彼らふたりはピット・ストップをライヴァル勢より1回少なくする作戦を成功させた。4位は前日のレース1同様にフェルッチだった。
(後編に続く)
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