2012年9月3日月曜日

2012 INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア 決勝その2 最速でも勝てないウィル・パワー、ポイントリードは17点へと縮まった

ポールポジションからレースをリードしたパワーだったが。Photo:INDYCAR LAT USA
 気まぐれなボルティモアの雨がパワーから勝利を遠ざけた
 
 またしても勝利はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の手からこぼれ落ちた。ポールポジションからレースをリードしたパワーだったが、彼をその座から引き摺り下ろしたのは気まぐれな雨だった。
 スタート前から心配されていた雨は、6周目には早くもポツポツと降り始めた。ところが、その雨は路面を急激に濡らす強さではなかった。コースの一部分が完全に滑り易いコンディションとなったものの、コース全体はウェットコンディションにはならない、実に奇妙な状況だった。レインタイヤに換えるか、スリックのまま走り続けるか、その判断は非常に難しかった。
 それでも路面は徐々にだが着実に濡れて行った。そこへフルコースコーションが重ねて出された。7周目にはエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)がクラッシュし、その後には多重アクシデントも発生した。そして19周目、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)のアクシデントで3回目のイエローが出された時、トップを行くパワーがピットロードへとステアリングを切った。「レインタイヤに換えるか、スリックのまま行くか、その判断は本当に難しかった。そこへ無線交信の混乱も重なった。自分とピットが同時に話してしまったんだ。僕はピットに入ることとし、レインタイヤにスイッチした」。
 この決断が失敗だった。結果論だが、それは紛れもない事実だ。パワーはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)やセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)を従えてピットインし、スリックで走り続けるリスクを冒したライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にトップの座を明け渡した。ランキング2位のハンター-レイがこの展開を完璧に利用してトップに立ったのは驚きだった。

最後のリスタートでもポジションダウン


 7番手まで下がったパワーは、すぐにまたスリックへと戻すためのピットストップを行なう羽目に陥った。雨は考えらたより遥かに短時間で止んだのだ。53周目にパワーはトップに復帰したが、それはハンター-レイたちとのピットタイミングのズレによって巡って来たトップでしかなかった。
 57周目、パワーはピットに入り、順位は7位へと逆戻り。そこから5位まで挽回。ところが、ゴールを目前にルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)とオリオール・セルビア(パンサー-ドレイヤー・レインボールド・レーシング)にパスされ、セルビアだけは辛うじて抜き返し、6位でゴールを迎えた。
 パワーが不運だったのは、レース終盤にイエローが重なった上、オフィシャルの不手際でアンダーイエローの周回数が多くなったことからライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)とディクソンに給油の必要がなくなった点だった。彼らがスプラッシュのためにピットに向かっていれば、パワーは4位でゴールできていたはずだった。しかし、彼は6位でゴールすることとなったのだ。

「まだポイントを保っているのでハッピーだ」とパワー

 
 エドモントンではエンジン交換のペナルティで後方スタートとなり、3位まで追い上げるのがやっとだった。ミド‐オハイオではスタートから57周をリードしながら、ピットの位置の悪さから最後の最後で勝利を手放した。ソノマではフルコースコーションの出されるタイミングが最悪で、ここでも最多リードラップを記録したが優勝はチームメイトの手に渡った。そして今回、彼を勝利から遠ざけたのは天気、そしてピットの判断だった。「毎週々々、最速のマシンを手にしているのに勝てない。最速も最速、ライバルたちを突き放す速さを見せているのに」とパワーは悔しがった。「シーズン序盤に3連勝した時、そのままシーズン終盤まで勝てないままで行くなんて考えもしなかったよ」とも彼は語った。
 残るは最終戦のフォンタナだけとなった。パワーは、「最後のレースではとにかくゴールまで走り切りたい。そして、タイトル獲得でシーズン終了としたい。まだポイントリードを保っているんだからハッピーだ。状況は悪くない。今日のレースがこういうパターンになる可能性は考えていた。勝てなかったのは悔しいが、タイトルは簡単になんか獲れないものなんだ。これからもベストを尽くし続け、最後の最後まで戦い抜くだけ」と努めて明るく語った。

J

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