2015年3月30日月曜日

2015 INDYCAR レポート R1 セント・ピーターズバーグ Race Day :開幕戦勝者はファン・パブロ・モントーヤ

好天の下、2015年シーズンがスタート! Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
パワー、80周目までレースを完全にコントロール

 ポール・スタートだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は110周のレースの80周目までを完全にコントロール下に置いていた。レース序盤の2番手はエリオ・カストロネベス、中盤からはそれがファン・パブロ・モントーヤに変わった。どちらも自分のチームメイトだったが、彼らはチームメイトであるからではなく、パワーに並びかけるだけのパフォーマンスを備えていなかったため、レース・リーダーの座を奪い取るべくアタックを仕掛けることは一度もなかった。レース終盤までチャンスを待つしか道はなかった。同じチームだからマシンの実力は拮抗、打つ手なく後方を走り続けていた。

モントーヤ、ブラック・タイヤでパワーに迫り、早目のピット作戦でトップに
 グリッド上位のドライバーたちはユーズド・レッド・タイヤでスタートし、レース中盤の2スティントをブラック・タイヤで走った。ここでパワーは序盤ほどの差を後続につけることができなかった。2番手に浮上して来たモントーヤがブラックで速さを見せたからだった。

Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
  しかし、モントーヤにも決め手はなかった。トップを走り続けるチームメイトの背後につけることはできるものの、トップの座を奪い取るためのアタックを仕掛けることはできなかった。
 そこでモントーヤ陣営は、ピット作戦でトップを奪うことを狙った。パワーより先にピットに入り、双方のピット作業を終ったところで前に出ていようという作戦だ。
 
 81周を終えるところでモントーヤはピット・イン。ここでタンクに入れる燃料の量を絞り、作業時間を短くしてコースへ復帰した。
 パワーがピット・インしたのは次の周。そして、作業を終えてコースに戻ると、彼の前方3.2秒をモントーヤが走っていた。
 トップを保ち続けられる確信をパワーは持っていたはずだ。それが作戦の差によって2位へと後退しただけでなく、大きな差をつけられてしまった。彼は鬼神の追い上げを開始した。

パワー猛追!しかしそこにはモントーヤの老獪な罠が!!
 モントーヤとの差は着実に縮まって行った。89周目に3秒を切り、91周目には1.5秒を切った。93周目には1秒を切り、97周目には0.6秒以下になった。あと一歩でアタック可能。そう思ったタイミングで0.7113秒へと差が広がった。ペースを落としていたモントーヤが少し差を広げるべくスピード・アップをしたのだ。
 パワーの急追は、モントーヤが敢えてチームメイトを自分に引き寄せる作戦だったようだ。タイヤを酷使させ、逆転のチャンスを減らしてしまおうという考え方だ。老獪かつ、自信に満ちた作戦だ。いかにもモントーヤらしい。


Photo:INDYCAR (John Cote) クリックして拡大
 102周目、少し差が開いた印象だった2人だったが、左直角のターン9でパワーがモントーヤのインへと飛び込んだ。まさか、このタイミングでアタックを仕掛けて来るとは! と誰もが驚いた。しかし、モントーヤはこの行動がある程度読めていたようだ。油断せずにミラーをチェックし続け、相手がインに飛び込んだのを確認するや"絶対に弾き飛ばさせはしない」という走りを見せた。
Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
 2台は接触し、ウィングの破片がコースに飛び散った。幸いにもタイヤのパンクもなく、2台は走り続けた。フロント。ウィングにダメージを受けたパワーは逆転の可能性を失い、しかし2位でゴールした。2015年開幕戦ウィナーとなったのはモントーヤだった。1999年以来のインディカー・ロードレースでの勝利だ。

3位にはチップ・ガナッシのカナーンが入りペンスキーの上位独占を阻止
 ペンスキーの1-2。そして、終ってみれば3位にはチップ・ガナッシ・レーシングのトニー・カナーンが入っていた。彼らはペンスキー勢による表彰台独占を防いだ。


 4位はカストロネヴェスで5位はパジェノー。ペンスキー・ドライバー4人がトップ5入りを果たしたということだ。そして、6位のセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)までがシボレー勢だった。ホンダのトップはライアン・ハンター-レイによる7位で、ジャック・ホウクスワースも8位に食い込んだ。
以上

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