2018年3月12日月曜日

2018 INDYCARレポート R1 セント・ピーターズ・バーグ 決勝:セバスチャン・ブルデイがまさかの2連勝!

地元のブルデイが粘りの走りで開幕戦2連覇 Photo:indycar(Chris Owens)クリックして拡大
ルーキーのウィッケンズ、ポール・トゥ・ウィン目前の
リスタートでヒットされてクラッシュ!!


 雨の予報はいつの間にか消え去り、スタート前に青空が広がったセント・ピーターズバーグ。気温が23℃まで上がり、開幕戦は暑さの中で行われることになった。
 ポールポジションはルーキーのロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。予選3、4位でグリッド2列目にもマテウス・レイスト(AJ・フォイト・エンタープライゼス)とジョーダン・キング(エド・カーペンター・レーシング)のルーキーが並んでいた。新しいユニバーサル・エアロ・キットを全車が装着するようになったインディーカー・シリーズの開幕戦は、新旧勢力が入り乱れての戦いが繰り広げられて来ている。
 レースでもルーキーたちは素晴らしい戦いぶりを見せていたが、最終的にトップ10でフィニッシュできた者はいなかった。


PPスタートからウィッケンズはレースをリードする Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 69周のラップリードを重ねたウィッケンズだったが
 ポール・スタートだったウィッケンズはトップ・グループで戦い続け、ピット・タイミングをずらす作戦でポジションを上げて来た面々にも逆転の隙をまったく与えなかった。彼に勝負を挑めるのは、予選13位から最初のスティントで3番手までポジションを大きく上げたアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だけとなった。
 しかし、レース終盤にイエローが連続して出された。そして110周のレースが残り2周となるところで切られたリスタート直後、ターン1でウィッケンズのインに飛び込んだロッシがスライド、ウィッケンズにヒット。ロッシは走り続けることができたが、ウィッケンズはスピンしてリヤからコンクリート・ウォールにクラッシュし、初優勝を目前にしながら1ラップ・ダウンの18位にランクされることになった。

リスタート前、不可解なペースカーからの指示
 その前のリスタートでは楽々とロッシを突き放したウィッケンズだったが、最後のリスタートではロッシがピッタリついて来た。その背景にはふたつの混乱があった。その1は、リスタートでは使用禁止とされて来たプッシュ・トゥ・パスが突然この時だけ使用オッケーになったこと。ふたつ目は、ルーフ上のランプが点灯されてたペース・カーが先導していたラップだというのに、「次のラップでリスタートを切る」との指令が突然飛んだところ。イレギュラーな提案が一挙にふたつされたことで、ウィッケンズは完璧な対応をし切れなかった。



1ターンでインに入ったロッシにヒットされ、ウィッケンズのインディーカー初出場初優勝は潰える Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 「ハンドリングのとても良いマシンになっていた。ペースをコントロールし、必要があれば差をつける走りが可能だった。燃費も求めるられる数字をキッチリ出せていた。110周のレースは、あの109周目までとても良かったんだ」とウィッケンズは悔しがった。「ペースカーがライトを点けていたのにリスタートになったのも不可解だった。ペースカーや、後ろのマシンとの間隔をうまく広げるという準備を整え切らずにリスタートを迎えることになった。突如として厳しい立場に追いやられた感じになった」とも彼は振り返った。
 対するロッシは、「あのリスタートでロバートはトップを守ろうと動いた。そうする権利が彼にはあった。しかし、僕をタイヤかすの乗ったラインに押しやったのが、もうコーナーにかなり入ってからと遅かった。レーシング・ライン上でさえ滑りまくっていたぐらいだから、アレはおっかなかった。本当に残念な、絶対に見たくない結末になった。僕は勝てていたし、彼は2位になれていたはずなのに」という見事なコメントをしていた。
 インディーカー・オフィシャルによる突然のルール変更……それも一度に二つも(!)……はレースに混乱を巻き起こし、ウィッケンズとシュミット・ピーターソン・モータースポーツから勝利を奪い取った。この点は改善を願いたい。

ブルデイ、2年連続の開幕戦ウイン 

Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
  そしてウィナーのセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)は、「1周目にタイヤをカットしてフレッシュ・レッドがパァになった。しかし、作戦も完璧で、こうしてまた勝つことができた。最後のリスタートでは、3位キープにフォーカスして前の2台との間に十分なスペースを取った。そうしたらターン1で前の二人が絡み、僕の前から消えた。インディー500で怪我をして、リハビリは自分だけじゃなく、周りの人たちも大変だった。それを乗り越えて迎えた新しいシーズンだから、開幕戦で3位なら悪くないと思っていたのに、地元で2連勝となったんだからクレイジーな1日になった」と笑いが止まらない様子だった。
 オーナーのデイル・コインは、「マシンの仕上がりからすれば8位ぐらいがいいところだった。それをセバスチャンが走り出4位フィニッシュ可能なところへ持って行き、最後にはラッキーもあって優勝に繋がった。今年も作戦が重要なレースとなって、我々ピットは作戦で彼を上位に進出させることに成功。その後はセバスチャンが見事に仕事をやり切ってくれた」と勝利を解説した。

佐藤琢磨、残念なアクシデントもあり12位フィニッシュ


Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
  予選5位だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、序盤に3、4、5、6番手を走行していたが、35周目にスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がターン1でブレーキングをミスして突っ込んで来てタイヤとマシン後部にダメージを受けた。これで最後尾までダウンして、挽回はし切れずに12位フィニッシュとなった。
 「タイヤかすがすごかった。それでも、あのぶつかり方はないでしょう」と琢磨は残念がった。「あそこまでトップ・グループで戦えていて、トップ・グループと同じピット・ストップ・サイクルでゴールまで戦えるはずだった」とも彼は語った。最終的に、琢磨より後ろを走っていたジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が4位フィニッシュで、琢磨にぶつかったディクソンが6位だったことを考えると、納得できないだろう。
以上

6 件のコメント:

  1. やはり琢磨選手にとっては恐るべき展開になってしまった………(ー_ー;)

    チームのグラハム君が2位表彰台ゲットは嬉しいけど、琢磨選手も表彰台上がれるチャンスもあったのに、ホンマに悔しい、

    3週間後のフェニックスではリベンジ果たしてほしい。

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  2. 6戦連続予選トップ6なのに6戦連続決勝不運!不運の記録は伸ばさないで良いです(涙)

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  3. 共通のエアロになってホンダ対シボレーのエンジン対決にも期待してましたが、上位6台がホンダ勢とまさに圧勝でしたね。

    次こそは琢磨選手にも加わってほしい(ー_ー;)

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  4. インディーカー・オフィシャルによる突然のルール変更……それも一度に二つも

    ショウアップか何か知らんが.....これだから....

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  5. 天野さん、レポートおつかれさまでした。今日は、仕事だったのでレースは録画してます…。ブルデー、連覇ですか!ブルデーファンの私にはすごくうれしいことです‼レースは、荒れたようですが…。でも、勝利は勝利!このまま、次も頑張ってほしいです。さすが、セントピート在住バイクで10分(笑)いつも、村田さんが言ってますが今回はどうだったかな。琢磨選手とグレアムは、明暗が別れましたね…。天野さんのレポート、楽しみにしてます。ありがとうございました。

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  6. いつも思いますがインディは他人のレースを壊した奴に甘すぎますね。しかもジャッジが不安定。
    逆にF1はやり過ぎですが...

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