2018年5月25日金曜日

2018 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第102回インディアナポリス500 メディア・デイ:いいクルマになればなるほど、暑い中ではパフォーマンスはすごく高くなるはずなので、まずカーブ・デイでいいクルマにして、それを目指したいです」

23日のコミュニケーション・デイに佐藤琢磨はレイホールとともにインディアナポリスの学校を訪れた。琢磨の右はフンコス・レーシングでインディ・ライツを走るビクトール・フランツォーニ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
「すごく楽しみになってきました」

Jack Amano(以下――):予選後、少し時間が経ちましたが、リラックスできましたか? 相変わらず忙しかったみたいですが?


佐藤琢磨:はい。少しリラックスする時間がありました。フィジカル的にもそうだし、気持ちも大分、状況を見て落ち着いて来て、同時に今日は折り返しで、今日からまたボルテージが上がって行くので、明日のカーブ・デイに備えて今日もエンジニアと話をして、すごく楽しみになって来ました。


予選前にファンにサイン。インディー500前年ウィナーの人気は絶大だ Photo:INDYCAR (Dana Garrett) クリックして拡大
「インディー500のチャンピオンがこれだけ讃えられることに感謝
自分がその立場になると、今まで見てきた何倍にも感じます」

――ディフェンディング・チャンピオンとして戦うインディー500、予選までで感じて来ていることは何ですか?
佐藤琢磨:本当に感謝ですね。すごく誇りに思うし、だけどインディー500のチャンピオンがこれだけ讃えられるっていうのは、勿論これまでに見てきてるんですけど、自分がその立場になると何倍にも感じます。IMSやインディーカーのプロモーションだけじゃなく、ファンからのリアクションもすごいものがあります。本当に小さな子が僕のTシャツを着て、ダイキャスト・モデルを持って叫ぶんです。そんなシチュエーションていういのはこれまでも勿論ゼロじゃぁなかったけども、今年はもう毎日どこかでそういう声が上がってましたね。12ヵ月前に自分はここで勝った。そしてまた改めてインディー500に挑戦するんだなって興奮もするし、嬉しさもあるし、あとはもう一度成功したいなって気持ちになりますね。

――側で見てると忙し過ぎやしないか、と心配になるほどですが?
佐藤琢磨:確かに忙しさはありますけども、ハッキリ言ってこの12ヶ月ずっとこんなだったし、むしろPRは最小限に抑えてるんです。チームPRも含めて、こちらが擦り切れちゃう、ドライバーがエネルギーを使い切っちゃうので、なるべく抑えてもらっています。だから忙しいは忙しいけど、そんなに例年と変わらない感じで来ていると思いますね。
「序盤戦はリザルト的に納得いかないレースがたくさんあった
だからこのインディアナポリス500で力強く戦いたい」


――去年のインディー500以降、そして今年のシーズン序盤戦をどう見ていますか?
佐藤琢磨:去年のシーズン後半、予選も含めトップ・ホンダ勢のひとりとしてやって来たわけですから、今年もその勢いを開幕戦から反映させたかったんですけど、ポテンシャルは見せつつもリザルト的には納得行かないレースがたくさんあって、どこかでこうターニング・ポイントを作りたかったんだけど、それがないままインディー500を迎えた。だからこのインディー500で自分としては、マシンの完成度は去年ほどではないけど、やっぱり、ここで力強く戦いたい。特に、チャンピオンとして迎えられているので期待値も注目度も高いだろうから、その中でより良いレースをしたいという気持ちが強いです。
「カーブ・デイに向けてクルマを大きく変更しているはずなので
それが上手くいい方向に行くことを願っています」


Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 ――最初に、”またやる気が出て来た”とあったのは、エンジニアやチームメイトと話し合って、何かいいアイディアが生まれたということでしょうか?

佐藤琢磨:そうですね。一般的な週末だともうほとんどやり直しはきかないですよね。プラクティス、予選、ウォーム・アップ、決勝で。もう、その一連の中で良いクルマ作りの方向性が見えないとうまく行かないことがほとんどなんだけど、それがインディーの場合は、もちろんレース・デイは1日だけなんだけど、そこに行くまでに度重なるプラクティスとかがあるんで、正直いろいろなやり直しがきく。なので、1回1回期待を持って毎朝来て、走って「ああっ!」って落胆する日も多かったんだけど、でも、それらを基に、「よし、もう1回いいクルマにしよう!」って気持ちにいつも自分を奮い立たたせてくれるのがインディー500というイベントだと思います。今年の予選の後は、もちろん残念だと感じていました。予選1日目から2日目の復活はすごく良かったと思うんだけれど、それでもやっぱり16位にしかなれなかったわけだから、そのスピードをいかにレース・デイに反映させるかっていう意味で、特に予選直後の月曜日の苦しいプラクティスを経て、明日のカーブ・デイを迎える。そこで今回一番大きくクルマを変更しているはずなので、それがうまく行く方向になることを願っていますね。そういう意味ではすごく楽しみですね、今。

「今年のクルマはチーム内でも差を埋めるのが難しい」

――今年の苦戦の理由は、予選までを振り返って何だと分析していますか?

佐藤琢磨:このクルマの持つ難しさだと思います。さっき、去年のレース・エンジニアのギャレット・マザーセッドと立ち話をして結構いろいろな情報交換をしたんだけれど、やっぱり彼らもすごく悩んでる。僕ら自身もチーム内でもクルマ同士の差を埋められなかったですよね、結局。他のチームでもそれが見えているじゃないですか。極端なのはセバスチャン・ブルデイのところだよね?
 1台はとんでもなく速くてファステスト・ホンダだったけども、1台はバンプ・アウトされちゃった。コンシスタントにパフォーマンスできているのはカーペンターのところとペンスキーだけ。アンドレッティ・オートスポートも去年までで言うと、出場させる多くのマシンのパフォーマンスをゼロコンマ数パーセントの差の中に納める準備を毎年して、コースでのパフォーマンスも同じように反映されたので去年も6台、ほとんど差のないままプラクティス、予選、決勝を戦えた。でも、今年は彼らでさえバラバラじゃないですか。 僕らも、去年レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングも決勝でグレアム・レイホールとオリオール・セルヴィアは力強く走ったと思うんですけど、そのセッティングは全然使えなかった。それは新しいクルマになったから、というのはわかるんですけど、じゃぁ、良くして行こうとして、いいセットアップが見つかったんだけど、それをからの2台に投入しても、跳ね返って来るリザルトが違う。だから、そこはすごく混乱しますね。 今年の予選に関しては、これ以上もうドラッグは削れないっていう予選になっていました。去年までだったら、ウィングを寝かせてドラッグを削って、ダウンフォースも削って、ドライバーとクルマのチャレンジでラップ・タイムを出せたんだけれど、今年はもうこれ以上ドラッグは減らせないって状況で走らなければいけなかったんで、ある意味でちっともチャレンジングじゃなかったんですよね。難しさはあるけど、自分で攻めた分、スピードが跳ね返って来るんじゃなくて、何をやっても速くなれない苦しさがあった。じゃ、決勝はどうなのかっていうと、これ以上ダウンフォースはつけられないってところまでセッティングが来てるんですよね。それでも去年よりもずっとダウンフォースは少ない状況で走らなきゃいけない。だから前のクルマに近づけないっていうことで、出場者みんなが苦労をしている。そうした中でベストのセッティングを見つけなきゃいけないんですけど、そこら辺が、今年大きく変わったパッケージングで一番苦労しているところ。エンジニアリング・サイドで何とかしようとしてもできないっていうところに歯痒さがあります。


「暑くなれば環境が変わるのでチャンスも増えると思います」

――レース・デイは暑くなるという予報が出ていますね。さらにセッティング、そして戦いが難しくなると言うことですか?
佐藤琢磨:難しくなるんだけど、暑い方がいいですね。もうこの際。暑くなることでマシン間の差が大きくなる可能性もありますよ。いいクルマがより強い状態で走れるって状況になることも。けども、逆に言えば、例えば2012年のように100年近いインディーの歴史の中で最も暑くなった日のレースで、予選と決勝でメーカーの立場が逆転したじゃないですか。今年もそうなるとは思えないけれど、しかし、暑くなれば環境が変わるってことでチャンスも増えますから、僕としてはカーブ・デイでいいクルマにして、いいクルマになればなるほど、暑い中ですごくパフォーマンスは高くなるはずなので、それを目指したいです。

以上

1 件のコメント:

  1. 琢磨選手の最後の方のコメントを読む限り、ギャンブル的要素がないと勝負ならないのでしょうね。

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