2020年7月5日日曜日

2020 INDYCARレポート R2 GMRグラン・プリ 決勝:スコット・ディクソンがGRMグラン・プリを制して開幕2連勝


Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ディクソンがチョイスした作戦は
ブラック・タイヤでのスタートと3ストップ


天候:晴れ
気温:3133

 昨日の予選でQ3進出をギリギリ逃す7位となった直後、「明日はチームごとに違う作戦が試されるはず」とスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング))は話していた。マスク越しの表情を見ていても、さほど落胆している様子はなかった。マシンの仕上がりには手応えを掴んでいたということだ。今朝のウォーム・アップで最速ラップをマーし、自信を深めて臨んだレースで彼とチームが選んだ作戦は、ブラック・タイヤでのスタートとピット・ストップ3回というものだった。
 
Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
10周でブラック・タイヤを交換!
2回目のピット直後のイエローで一気に攻勢に



 ブラックには僅か10周で見切りをつけた。その決断力が勝利を呼び込んだ。レース展開も味方した。彼が2回目のピット・ストップを終えて間も無く、大健闘していたルーキーのオリヴァー・アスキュー(アロウ・マクラーレンSP/シヴォレー)がクラッシュ。これで出されたフル・コース・コーション中に予選16位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)とジョセフ・ニューガーデンチーム・ペンスキー/シヴォレー)など序盤の先頭グループは2回目のピット・ストップに向かった。ディクソンが2ストップ作戦の3人の後ろの4番手につけたのに対して、パワーたちは13番手以下に埋もれることとなった。


2ストップ作戦が的中したかに見えたレイホールをパス

一気に引き離してディクソン開幕2連勝達成


 2ストップ作戦のグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)も素晴らしい走りを続けていたが、今日のペースではディクソンが明らかに優っており、50周を前にメイン・ストレートでトップに躍り出た。そして、その後はぐんぐんと差を広げてGMRグラン・プリでの初優勝へと逃げ切った2017年から3年連続でチーム・ペンスキーのドライヴァーに続く2位フィニッシュとなっていただけに、今日の勝利をディクソンは喜んだ。もちろん、シーズン・スタートから自身初となる2連勝を挙げたところにも気分を良くしていた。これでキャリア通算優勝回数は48回に伸び、歴代2位のマリオ・アンドレッティまで4勝に迫った。そして、6度目のタイトル獲得に向けても非常に幸先の良いスタートを切ったと言える。


Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 「戦いが厳しいインディーカーのレースで優勝できると、本当に嬉しいし、自分が幸運だと感じる。マリオに追いつくのに4勝。まだまだその道のりは長い。やるべきことにフォーカスして、勝利とタイトル獲得を目指せば、結果はついてくる。そうは言うものの、インディーカー・シリーズでの勝利はひとつひとつが素晴らしいものだと感じる。今日はレッド・タイヤで走った最初のスティントがポイントだった。リヤ・タイヤを消耗させ過ぎてしまったので、その後のピット・ストップでセッティングに変更を施した。するとマシンはどんどん良くなって行った。しかも、自分たちには条件の良いレッド・タイヤが残っていた。1ラップしか走っていないセットと、2ラップしかしていないセット。自分たちが優勝を目指して戦えるとの認識を強く持った。それにしても、開2レースを両方勝てるとは自分たちでも驚きだ。しかし、この2勝が何かを保証してくれるわけじゃない。
 
Photo:INDYCAR (Joe Skibinski)クリックして拡大
 この勝利は嬉しい。喜んでいるよ。確か過去3年、このレースは2位フィニッシュだったはず。500じゃないけれど、インディアナポリスでまた勝つことができた、という点でも素晴らしい。今年から僕はマイク・キャノンというエンジニアと組んでいるんだけど、とても良い感じだ。自分たちのチームは、物事の見方が変わったと思う。過去20年間かそれ以上、僕らのチームは成功をしてきているけれど、同じことを繰り返していた。キャノンだけでなく、フォードGTプログラム、耐久レースの経験者たちがインディーカーのプロジェクトに加わったことで、新鮮な視点を持つことができ、それが進歩に大きく役立っていると思う。ブラッド・ゴールドバーガーというエンジニアは、ダンパー、クルマのセットアップ、オーヴァル用マシンの仕上げ方など、さまざまな面で大きなプラスになっている。キャノンのことは好きだね。彼は素晴らしい人物だから。本物のレーサーでもある。彼自身がレーサーで、彼のレースに対するアプローチが好きだ。のんびりとはしているが、几帳面で、とにかくやれることはなんでも次々トライするってタイプではない。思慮深いんだ。これまでのところ、それで楽しいスタートを切ることができている、この調子をキープすることがまずは目標になる。シーズンがどう進んで行くか、楽しみだ」とディクソンは話した。


 予選では開幕戦テキサス、第2戦インディーとシヴォレー勢がポール・ポジションを連取したが、レースでは5度のタイトル獲得歴と歴代3番目の優勝数を誇るディクソンが、チップ・ガナッシ・レーシング、ホンダ・エンジンとともに2連勝を記録した。

レイホール、粘って2位! 3位は後方スタートのパジェノー


Photo:INDYCAR (Joe Skibiski) クリックして拡大
2位はレイホール。3位は20番グリッドからスタートしたシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)だった。


 レイホールはレースを通して安定したスピードを保ち続け、昨年のテキサスでの3位以来となる表彰台に上った。
 パジェノーは予選がQ1での敗退だったが、ディクソンとほぼ同じ作戦だったことで展開を味方につけ、やはりディクソン同様にレース・ぺースが良かった。開幕戦テキサスで2位だった彼は、2連続のポディウム・フィニッシュだ。  


予選20位から3位入賞したパジェノーは30℃オーバー、ウインドスクリーン付きマシンでの戦いに疲労困憊 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 4位はコルトン・ハータ(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート/ホンダ)。5位は19歳のオランダ出身ルーキー=リーナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)がつけた。
安定した走りで上位につけ、4位争いを繰り広げたハータとヴィーケイ Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 いきなりオーヴァルで……となったデビュー戦テキサスでは序盤にしてスピン、クラッシュしたヴィーケイだったが、ロードコースでの戦いではステディな走りを最後まで続けることができていた。

佐藤琢磨、スタートすぐのマシントラブルも克服
あきらめない走りでトップ10フィニッシュ

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)は、17番グリッド
からスタート。ペースが上がらず最後尾まで下がったが、そこから徐々にペースを復活させて行って10位フィニッシュ……という非常に粘り強レースを戦った。
 「走り出してすぐにリヤ・サスペンションの一部が壊れてしまった。それでマシンは想定した通りの動きをしなくなり、曲がりづらくなっていました。それでもフロント・ウィングを大幅に立てて行くことで対処して、最後の方にはまずまずのペースで走ることができいました。何台ものマシンとバトルを続け、彼らをオーヴァーテイクして行ってのトップ10フィニッシュとなりました。グレアムが2位でゴールしたように、自分たちのマシンには力があった。だから10位という結果じゃ満足できないし、嬉しくないけれど、状況を考えれば良い結果にできたかな、と思います。レースが終わってカウルを開けた時、どんなトラブルが起きていたのかはすぐにわかった。チームの人たちもそれを見てこの状態で、よくあれだけの走りができたな。バトルを戦い抜いてトップ10入りまでしたのは凄いと喜んでくれていました。チームの士気が上がったと感じました。オフの間からトライして来ている新しいロードコース用セッティングも良い感触が得られていますから、壊れたパーツの対策がどこまでできるかわかりませんが、それを行なって臨む次のロード・アメリカが楽しみです」と琢磨は語った。
以上

0 件のコメント:

コメントを投稿