2022年2月28日月曜日

ジャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン:スコット・マクロクリンがポール・トゥ・ウィン!

マクロクリン、ポールtoフィニッシュで初優勝! 昨年大苦戦を強いられたチーム・ペンスキーにとっても、大きな開幕戦勝利となった Photo:Penske entertainment  クリックして拡大

完璧な戦いぶりでつかんだインディーカー初勝利

 「スタート直後のターンで飛び出してしまうような馬鹿な真似だけはしたくない」と言っていたスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)が、ほぼ完璧な戦いぶりでインディーカー・シリーズでの初勝利を飾った。自分を追い込み、プレッシャーをかけるスタイルのマクロクリンだが、今日は自分のペースで優勝を目指す戦いぶりが実現できていたようだ。全長1.8マイル、コーナー数14のストリート・コースを100周して争われるレースでは、ピット・タイミングをずらして優位を得ようとするチームが幾つも出現。その中には百戦錬磨のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もおり、マクロクリンは常にトップを走り続けるレースを戦えたわけではなかった。

スタートから大きなアクシデントもなく進んでいった Photo:Penske entertainment クリックして拡大

今日の正解はレッド―ブラック―ブラック
逆張りに出たパワー、イエローのタイミングに翻弄される

 しかし、実質的なトップを保ち続け、フル・コース・コーション1回というセント・ピーターズバーグとしては珍しくクリーンなものとなった戦いでは、純粋にスピードの一番高かったエントラントが最も優位となった。予選2位だというのにブラック・タイヤでのスタートという逆張り作戦に出たパワーは、その唯一のイエローが出たタイミングによってブラックのメリットをフルに享受できなかっただけでなく、レッド装着の第二スティントを長くしなくてはならず、3位でのゴールが精一杯となった。レッドーブラックーブラックというタイヤ・ストラテジーで戦った面々は結果的にレッドで走る周回を少なくし、安定したラップタイムで走り続けることが可能なブラックのメリットを活かすことができた。

パロウ、ピットストップでジャンプアップ
マクロクリンに迫るが届かず


しぶといレース運びでマクロクリンを追い詰めたパロウ Photo:Penske entertainment クリックして拡大

  パワーの後退により、2番手はアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)のものとなった。10番手スタートから彼が大きくポジションを上げたのは、イエロー中のピット・ストップだった。ここでクルーたちが驚異的なパフォーマンス。コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)の前にパロウは出た。

周回遅れのデフランチェスコに詰まってしまい、パロウに真後ろに食いつかれたもののマクロクリンは冷静さを失わずトップでフィニッシュ Photo:Penske entertainment クリックして拡大

 ゴール前20周でトップに返り咲いたマクロクリンは、リードラップ最後尾にいたルーキー、デヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)が道を譲ってくれなかったことでパロウの急接近を許した。しかし、ここでパニックに陥ることなく、トップを堅持。0.5095秒の差をつけて初勝利のチェッカード・フラッグを受けた。

「やっと勝つことができ、ほっとしている」
 

表彰台で喜びを爆発させるマクロクリンと、祝福する3位のパワー Photo:Penske entertainment クリックして拡大

「最初のスタートでトップを守り、そこからはリズムに乗って走り続けることができた。世界最高のチームで走っているのだから15位フィニッシュは許されない。今日は体制に見合う結果を手にすることができた。やっと勝つことができ、ほっとしている。初勝利をとても特別なものと感じている。素晴らしい週末になった。いいスタートを切って、リズムに乗って行くことができた。燃費も支持通りの数字を達成し続けた。チーム・ペンスキーのストリート用マシンは速いことがわかった。ロング・ビーチが楽しみだ。それにしても、ゴールを前にしてパロウが背後に迫ってきたのは本当に大変だった。冷静さを保ち、燃費セーブもしなくてはならなかったからだ。シヴォレー・エンジンのドライヴァビリティ向上が勝利に貢献してくれた。燃費も良かったことで優勝できたのだと思う」とマクロクリンは喜んでいた。

シヴォレーエンジン、ドライバビリティの向上を立証

 昨シーズンのストリート5戦ではコルトン・ハータとマーカス・エリクソンが2勝し、パト・オーワードが1勝。エンジン・マニュファクチャラーで見るとホンダが4勝でシヴォレーは1勝だった。ライヴァルに大きく水を開けられたシヴォレーとイルモアエンジニアリングは、このオフにはダイノでのテストにかつてないほどに時間を費やし、広い回転域で高出力が得られるエンジンを目指した。開幕戦でのシヴォレー・ーユーザーたちは広い回転域でレスポンスが良くなっていることを実感していたようだった。

開幕戦2位に喜ぶディフェンディングチャンピオン
「このリザルトはストリートでのキャリアベスト!」

 2位はパロウ。今年もスペイン出身の24歳はしぶとい。タイトル防衛を目標とする彼は開幕戦から表彰台に上ってみせると、「開幕戦は2位。スーパー・ハッピーです。私たちのマシンは速く、燃費も良かったからレース終盤に優勝をかけたバトルをすることができた。昨年のセントピーターズバーグは17位でしたが、今年は2位。10番手スタートから2位まで順位を上げただけでなく、トップの真後ろまで行ってプレッシャーをかけることさえできました。2位は自分にとってストリートコースでのキャリアベスト。この調子で2戦目以降も戦って行きたい」と語った。

耐えて3位のパワー「今日は力を出し尽くした」

 3位のパワーも上機嫌だった。「今日のようなシーズン・スタートはとても嬉しい。今日を振り返ると、本当に安定感のある戦いを行えていた。あのイエローによってレッドで中盤戦のフルスティントを走らなければならなくなった。それでも表彰台に上った。そこが本当に、本当に嬉しい。イエローが出た時には、トップ10が精一杯かと考えた。それが3位。素晴らしい結果が手に入った。自分たちのパフォーマンスにも満足している。今日のレースでは力を出し尽くした。チームも置かれた状況の中でベストの仕事をした」と彼はコメントした。

ますます高まるコンペティションのクオリティ

 2022年も若いドライバーのキャリア初優勝でシーズンは幕を開けた。2年連続だ。去年の開幕戦はバーバー・モータースポーツ・パークば舞台で、ウィナーはパロウだった。そして、その後にパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がキャリア初優勝を挙げた。
 今年も続々と初優勝ドライバーが現れるのか……というと、そうでもなさそうだ。現在未勝利のドライヴァーで優勝の最も近くにいるのは、おそらくジャック・ハーヴィー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だろう。6人いるルーキーは参戦体制から見て優勝まで一気に行くことへのハードルは高そうだが、昨年度インディライツチャンピオンのカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)を筆頭に優秀なドライバーばかり。参戦チームもレベルアップをしていることで競争のクォリティはますます高まっている。出場全員の力の差が非常に小さい中に収まっているのだ。


22番手スタートからトップ10フィニッシュ!
佐藤琢磨、デイル・コイン初戦で大きな手応え

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は22番手スタートから10位フィニッシュ。11のポジション・アップで今日の”ザ・ビッゲスト・ムーヴァー”となった。ルーキーのチームメイトがアクシデントによるリタイアを喫した中、琢磨とカー・ナンバー51のクルーたちはソリッドな戦いぶりを見せた。勝利を逃したパワーと同様のブラック・スタートで、中盤のフル・スティントをレッドで走り切るという厳しいタスクを課せられながら、プッシュし過ぎない走りで安定したタイムでのラップを重ね、ウォームアップ直後に話していた通りにトップ10フィニッシュを実現。インディーカーでの通算200戦目を満足の行く結果をものにした。

「荒れないレースで目標の10位を達成できたのは
リアルに強かったということだと思います」

琢磨のドライビングとチームのサポートがかみ合い予選22位から11ポジションアップを果たす Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 「ストレートな戦いで11もポジション・アップ。棚ぼたみたいな10位ではありません。このチームの今日の実力は高く評価していいと思います」と琢磨は移籍先での初レースを高く評価した。「ウォームアップでクルマが良い方向に行きました。それで、レースでは10位を狙って行くことにしました。今日のように荒れないレースでその目標を達成できたのは、リアルに強かったということだと思います。ピット・ストップも安定していました。みんな落ち着いて作業をしてくれていました。予選までは苦しい流れだったので、そこから挽回できたのはチームの素晴らしいサポートによってだったと思います」とも琢磨はコメント。新体制での初戦は大成功だった。
以上

0 件のコメント:

コメントを投稿