2022年2月27日日曜日

2022 INDYCARレポート R1 ファイアストン・グランプリ・オヴ・セイント・ピーターズバーグ Day2 予選:スコット・マクロクリンがキャリア初ポール・ポジション

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マクロクリン、予選ベストリザルトを大きく更新してPP獲得!

 2022年のNTTインディーカー・シリーズ開幕戦のポール・ポジションはスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)のものとなった。昨年チーム・ペンスキーからの出場でルーキー・オヴ・ザ・イヤーに輝いたニュージーランド出身ドライヴァーは、予選でのキャリア・ベストは5位(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ/ロードコースでのGMRグランプリ)だったが、それを大きく上回るPPという好結果を2シーズン目最初のレースで手に入れた。

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予選までに急騰した路面温度にもうまく対応!
パワーを逆転してのペンスキーフロントロウ独占

 路面温度が30℃付近だった午前中のプラクティス2でトップ・タイムをマークしていたのがマクロクリン。午後12時半からの予選までには路面温度が47℃まで急上昇したため、2セッション続けてトップを取るのは容易ではなかったが、彼らはマシン・セッティングでもドライビングでもコンディションの変化に最もうまく対応していた。Q1のグループ1とQ2でトップ・タイムを続けて出し、Q3でもトップの座をずっと守っていた先輩チームメイトのウィル・パワーを最後の最後に劇的な大逆転で下し、マクロクリンの初PPがなった。2セット目のユーズド・レッド・タイヤでトライした1ラップのみのアタックは、タイヤ・ラバーの最も乗るセッション終了間際ギリギリを狙って敢行された。そこで59秒4821を叩き出したマクロクリン。パワーは59秒6058でトップにいたが、掴みかけていたキャリア65回目のPP獲得を逃すこととなった。


喜ぶマクロクリン「マシンがとても良かった
シヴォレーエンジンのドライバビリティも向上している」


 マクロクリンとパワー、チーム・ペンスキーがフロント・ロウの2グリッドを独占した。彼らのもう一人のチームメイト、ジョセフ・ニューガーデンの予選結果は9位だった。

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 初PP獲得を知らされ、コクピット内で喜びを爆発させていたマクロクリンは、「キャリア初PP。嬉しい驚きだ。言葉がない」とコメントした。彼は続けて、「2021年も自分はスピードを見せることができていたと思う。しかし、予選やレースですべてを揃え、好結果を掴むことはできなかった。今年はあまり自分自身にプレッシャーをかけず、やるべきことをやろうという考え方。それが今日できて、PPを獲得を果たした。今年はエンジニアがベン・ブレッツマンに変わっている。去年までシモン・パジェノーと長年コンビを組んでいたエンジニアだ。彼との仕事はオフの間からとてもスムーズに進んできている。去年の全レースを一緒に振り返り、何をどうすればもっと良いパフォーマンスを発揮できたかを検討した。自分がどの部分で強く、どこで不利なのかを一緒に考えた。そういうオフを過ごした後に迎えたセイント・ピーターズバーグで、私たちはついにすべての要素を揃えることができた。マシンの仕上がりは本当に高いレヴェルにあって、トレーラーから降ろして以来セッティングはほとんど変えていないぐらいだ。予選でのアタックでもミスはなかった。ウィル(・パワー)やジョセフ(・ニューガーデン)のデータを見て、自分たちのマシンをどうすべきか考えた。予選には以前よりもリラックスして臨み、パニックせずにアタックすることができていた。今シーズンに向けてはシヴォレー・エンジンの進歩も大きい。特にドライヴァビリティが向上している」と話した。初PPから勢いを保ったまま初勝利と行くだろうか。なお、マクロクリンにとって初のPPは、チーム・オーナーのロジャー・ペンスキーにとっては通算285個目となった。

自信を見せるパワー「去年の自分たちには何が足りなかったか
シーズンオフに徹底的に検討してきた」


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 パワーは、「昨シーズンのセイント・ピーターズバーグ、私たちの予選順位は20位だった。それに比べたら今年はずっといい。マシンも自分も力を出し切ったと思う。フロント・ロウだからね。スコット(・マクロクリン)のPP獲得を祝福する。彼は去年から才能の高さを見せていた。PP獲得は何も驚くことではない。若いけれどレースをよく知っている彼は、インディーカーで1シーズンを戦い、マシンに対する理解がさらに深まっている。去年の自分たちは厳しいシーズンを送った。何が足りてなかったのか、このオフの間に私たちは徹底的に検討。予選でのパフォーマンスが悪かったので、Q3に進めるように色々とやってきた。その結果、今週末のマシンは非常に良いものとできている。明日のレースでも予選と同様にレッド・タイヤの持ちがポイントとなりそうだ」と語った。

予選3番手のハータがホンダ勢最上位!
4番手にはヴィーケイが

昨年インディーGPで初優勝を飾るが、後半戦では結果を出せなかったヴィーケイが順調に開幕戦を迎えている Photo:Penske entertainment クリックして拡大

  予選3、4位でセカンド・ロウからスタートすることになったのは、コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)とリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。2022年シーズン最初の予選ではシヴォレー勢がトップ4の3台を占め、ホンダ勢のトップはハータによる3位となった。

結局グロジャンは予選5位に。結局不利益を被ったのはなんの落ち度もない琢磨だけということに Photo:Penske entertainment クリックして拡大

 予選5位はロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)。6位はシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)。トップ6で見るとシヴォレーとホンダは3台ずつでイーヴンだ。

マシンの修復は間に合った佐藤琢磨だったが予選はQ1敗退に

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は予選22位。Q1のグループ2で8周のアタックを敢行。ベストはレッドでの1分00秒2930だった。今朝のプラクティス2でグロジャンに追突されてダメージを受けたマシンは、予選までになんとか修理が間に合った。しかし、プラクティス2で新品ブラックでのアタックも行えておらず、レッドタイヤでの走行もゼロという琢磨陣営は多くを期待できる状況にはなかった。

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 「クルーがマシンはちゃんと直してくれました。しかし、もっと先のレヴェルまでマシンを持って行っていないとダメでしたね。プラクティスでレッド・タイヤを使えなかったツケが予選で回ってきました。まったく未知の世界だったために、タイヤ・プレッシャーも全然低過ぎました。2周目、3周目に速いラップを出すことを狙っていたのは自分たちだけでした。暑くなったコンディション下では1ラップ目がベストでした。デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRでの初めての予選は、もっと良いマシンで、もっと良い走りができると思っていたので、今日の結果は非常に残念です。予選での我々はブラック・タイヤでのパフォーマンスは悪くなかったんです。でも、ブラック、レッドともにライヴァル勢とはタイヤの内圧のストラテジーが全然違ってたんじゃないのかな? 対応ができていなかった感じです。午前中より路面温度が大きく上がっていたので、タイヤの熱の入り方がすごく早く、アウト・ラップからグリップしてました。決勝は追い上げる戦いになります。明日のウォーム・アップに向けてセッティングをもう一度見直して、レースに備えたいと思います」と琢磨は語った。

ガナッシ勢はディクソンの7位が最高
アロウ・マクラーレンの2台はいずれもQ1敗退


オーワードは予選まで昨年後半のパフォーマンスに届いていない Photo:Penske entertainment クリックして拡大
 今年最初の予選でチップ・ガナッシ・レーシング勢はひとりもQ3に進めなかった。スコット・ディクソンによる7位が最高位で、マーカス・エリクソンが8位、朝のプラクティス2でクラッシュした2021年チャンピオンのアレックス・パロウは10位という結果になった。ジミー・ジョンソンは最下位の26位。
 ショッキングだったのはアロウ・マクラーレンSPの2台が揃ってQ1敗退を喫したこと。去年急成長をしたチームだが、飛躍の年になるとの期待も高い2022年の初戦の予選順位はパト・オーワードが16位、フェリックス・ローゼンクヴィストが21位だったのだ。明日のレースでどこまで巻き返すか。

開幕戦ルーキー予選最上位を獲得したカークウッド Photo:Penske entertainment クリックして拡大

 ルーキー最速はカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)の12位。デビュー戦でQ2進出というのは素晴らしいパフォーマンス。女性ドライヴァーのタティアナ・カルデロン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は25位だった。
以上


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