2022年6月5日日曜日

2022 INDYCARレポート R7 シヴォレー・デトロイト・グランプリDay2 プラクティス2:涼しい午前中開催だったプラクティス2での最速はアレクサンダー・ロッシ

 

Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

 朝、涼しいコンディションの中で始まったプラクティス2

 今日のプラクティスは午前8時半スタート。インディーカー・シリーズでここまで朝早くから走るのは珍しい。朝6時半のデトロイト・エリアは気温が12℃しかなく、走行開始時でも15℃までしか上がっていなかった。それでも空は雲ひとつない快晴。日差しがあったために、そこまで寒いと感ずるコンディションではなかった。
 昨日のプラクティス1は気温が26~27℃で、路面温度は39~42℃だった。今日は気温が15~16℃で路面は20~23℃とその差が非常に大きかった。予選は午後12時35分開始。どれぐらい温度は上がるのか。コンディションにどれだけ合ったマシン・セッティングとできるかが予選では試される。

昨日トップタイムのカークウッド、いきなりクラッシュ
続いてジョンソン、ケレット

 プラクティス2は赤旗で寸断された。デトロイトらしい、といえばデトロイトらしい。路面自体のグリップが低い上にウルトラ・バンピーだからだ。
 最初の赤旗は、昨日のプラクティス1でトップだったカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が開始早々3分でタイヤ・バリアに突っ込んだことで出された。同じルーキーのデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)をパスしようとインに入ったところ、相手側がそれを察知しておらずにインへと切り込んで来た。まだタイヤを温めているラップだったマルーカス側の不注意で起きてしまったように見えたアクシデントにより、カークウッドは貴重なプラクティス・セッションのほぼすべて失った。マルーカスの方はというと、アウト側からさらに弾き出される形となってエスケープ・ゾーンに進むことができ、ダメージはカークウッドとの接触による最小限のもので済んだ。
 次はジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)によるスピン&ストール。こちらはもはや恒例行事。すでにロード&ストリートにおいてはルーキーではなくなっているが、改善はあまり進んでいない。”本当に彼で良かったのか?”というインディー500ルーキー・オヴ・ザ・イヤー受賞の話題を蒸し返したくなった人も少なくないのではないか。
 3番目はダルトン・ケレット(AJ・フォイト・エンタープライゼス)のハード・クラッシュ。インディー・ライツでトップ・チームから4シーズンも出場しながら優勝なし、表彰台6回も全部が3位という彼がトップ・カテゴリーにステップ・アップしてきたところがそもそも問題。お金があれば出場してオーケイというものではないはずだ。

レッド・タイヤシミュレーションのタイミングで
今度はパワーがスピン、パジェノーがコース上に停止


 この後の2回は大ヴェテランが原因を作った。それも、みんながレッド・タイヤで予選シミュレーションを行おうというタイミングでだった。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がスピン&ストールし、シモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)は、セッション終了まで3分少々というところでレッド・タイヤを装着し、2番手につけるベスト・ラップを記録した。そして、その翌周にマシンにトラブルが発生してコース上にストップ。セッションは残り1分で再開されたが、パジェノーの出した赤旗まででセッションは終了していたのと同じだった。

混乱の中でロッシがトップ・タイムをマーク

 続け様に出された赤旗を掻い潜るようにレッド・タイヤで好タイムをマークしたドライヴァーたちが上位に並んだ。トップはアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)で、タイムは1分15秒8101。2番手は1分15秒8803のパジェノー。3番手はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)=1分15秒9118で、4番手はエリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)の1分16秒0412。そして、ルーキーのマルーカスが1分16秒1180で5番手に食い込む健闘を見せた。
 6番手はスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)=1分16秒2550。
 7番手は1分16秒2628をマークしたフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)。昨日のプラクティス1でほとんど走れなかったハンディを乗り越えての奮闘だ。
 8番手に食い込んだあのはルーキーのデヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)。この人もインディー・ライツで走りながら優勝を一度もしないままインディーカーへとステップ・アップしてきた。この位置につけているのは、ケレットよりは将来性アリということか。


ブラック・タイヤではチップ・ガナッシ勢が優勢

 9番手はアレックス・パロウ。チップ・ガナッシ・レーシング軍団の最上位が彼。スコット・ディクソンは13番手、インディー500ウィナーのマーカス・エリクソンは14番手だったが、彼らはブラック・タイヤでは速かった。レッドでのアタック・ラップが赤旗で遮られたために上位につけることができなかっただけだろう。チーム・ペンスキーのパワーも19番手とこのセッションの結果は悪かった。
 10番手はロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)=1分16秒3981。11番手は佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)=1分16秒4348。12番手はパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)=1分16秒9952で、彼のベストはブラックで記録されたものだった。


佐藤琢磨もブラック・タイヤでは3番手!
マルーカスも好調でチームとしては順調な仕上がり


 琢磨はブラックでの6周目に1分17秒5854を出して6番手にランクされ、次の周には1分17秒1074までタイムを縮めて3番手につけた。続く8周目も1分17秒2106と好タイムをマーク。ベストはレッドでの記録となったが、赤旗によってクリア・ラップを取れなかったセッションであり、チームメイトがトップ5入りしていることからも分かる通り、マシンの仕上がりレヴェルは順位以上のものとできている様子だ。

Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

 「マシン・セッティングは良くなっています。でも、今日は赤旗が多過ぎて、ちゃんとしたクリア・ラップは取れませんでした。それはみんな同じなのかもしれないけれど……。ブラック・タイヤでマシンを作るところはうまく行っていて、だから常にトップ10に入るタイムを出すことができていました。しかし、余裕はないですね。予選では今のセッションでのセッティングを少し変えて走ることになると思います」とプラクティス2終了後の琢磨は語っていた。
以上

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