2022年6月13日月曜日

2022 INDYCARレポート R8 ソンシオ・グランプリ・アット・ロード・アメリカ Race Day 決勝:ジョセフ・ニューガーデンがシーズン3勝目

今シーズン3勝目を挙げたニューガーデンはポイントランキングも首位と32ポイント差で3番手に Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

ニューガーデン、1回目のピットストップでロッシを逆転!
昨年のロードアメリカと前戦デトロイトのリベンジを達成

 予選2位だったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は1回目のピット・ストップでトップの座をポール・シッターだったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)から奪うと、一気に差を広げてシーズン3勝目へと突っ走った。
 ペンスキーのピットクルーの仕事ぶりも見事だったが、セカンド・スティントからのニューガーデンの走りも、今日は無敵だった。この勝利でニューガーデンはふたつのリヴェンジを果たしたと言える。そのひとつ目は、優勝目前でギヤボックスが壊れた昨年のロード・アメリカに対するもので、ふたつ目はタイヤ戦略でポール・トゥ・ウィンのチャンスを失った先週のデトロイト。


オープニングラップから10周目まで3回のフルコース・コーションが出るが、ロッシはトップをキープ。15周目にロッシとニューガーデンは同時にピットに入る Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

アウトラップから一気にロッシを引き離して勝負あり

 今日のレースでは、ブラックにスイッチした直後のニューガーデンの速さが際立っていた。ロッシの前にピット・アウトすると、ニューガーデンはそこからの7周で快足(のはずの)ロッシに7秒もの差を築き上げた。2回目のピットストップの後にロッシがニューガーデンとの差を少しずつ削り取っていったが、それはロッシが追い上げて行ったからではなく、ニューガーデンがプッシュをやめたことで差が減って行っただけと見えていた。

レース終盤、2度のリスタートもニューガーデンは盤石
チャンスを得たはずのロッシだがエリクソンに2位を明け渡す

 ゴールまで10周を切ってから出された2回のフルコース・コーションもニューガーデンの勝利を脅かすものにはならなかった。ロッシとの差は一気にほぼゼロとなったが、最終コーナー手前から加速する彼になぜだかロッシはまったくついていくことができなかった。それどころかゴール前3周のリスタートでロッシはエリクソンにパスを許し、ゴールは3位となった。インディー500チャンピオンはしぶとい走りで2位フィニッシュ。ポイント・リーダーの座に復活した。

ニューガーデンは今回の勝利で、ロード、ストリート、オーヴァルの3種のコースすべてを今シーズン最初に制したドライバーとなり、ピープルレディ・フォース・フォー・グッドチャレンジボーナスを100万ドルをゲット。50万ドルはチーム・ペンスキーとナッシュビル地域出身のニューガーデンに、50万ドルはニューガーデンが選んだチャリティ団体に寄付されるという Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

 「今日のレースではずっと集中力を保っていた。マシンが路面をガッチリ掴んでいた。シヴォレー・エンジンもパワフルだった」とニューガーデン。これで今シーズン3勝目。複数勝利はまだ彼しか記録していない。しかし、ニューガーデンのポイントスタンディングはエリクソン、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に続く3番手だ。

チームメイトバトルを制したグロジャンが4位
レイホールが22番手スタートから8位に


ピット戦略がはまってレイホールはジャンプアップに成功 Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大

 ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)は終盤のバトルでチームメイトのコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)をパスして4位。ハータは5位でゴール。フェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)が6位、スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)が7位。
 イエロー中の9周目にピットする作戦が大当たりしたグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が22番手スタートから8位でゴール。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は予選順位と同じ9位。10位はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングで走るデンマーク出身ルーキーのクリスチャン・ルンドガールドだった。


パワー、デフランチェスコに追突されコースアウト19位
オーワードはエンジントラブル、パロウは接触でリタイア
ポイントリーダーはエリクソンに


チームメイトのパロウと接触したエリクソンは53周目のリスタート後にロッシをオーバーテイクして2位フィニッシュ。パロウに対しては「本当に申し訳ない」とコメント Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

 デトロイトで勝ってポイントリーダーとなっていたパワーはルーキーのデヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)に追突されてクラッシュ。ピットでノーズ交換してレースに戻ったがゴールは19位。ポイント・ランキングは2番手に下がった。ゴール直後のメイン・ストレートでパワーはデフランチェスコのマシンに軽くだが体当たり。ターン5で追突する前のターン3でパワーを二度ほど突っついたルーキーのドライヴィングにもかなり問題はあったが、レースを終えてからのパワーの行為には何らかのペナルティが今後課せられることになるだろう。

コースアウトしたパロウは、破損したフロント周りを修復してコースに復帰するが、36周でマシンを降り27位 Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

 デトロイト終了時点でランキング3位につけていたパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)は47周目にエンジン・ブローと思われるトラブルでリタイア。同4位でロード・アメリカを迎えていた昨年度チャンピオンのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は、レース序盤にチームメイトのエリクソンと接触してリタイア。彼らふたりのポイント・スタンディングはそれぞれひとつずつ下がっている。

佐藤琢磨、コース上でオーヴァーテイクを重ねるも
ピットストップで順位を落としたのが響き15位に


 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は予選19位からブラック・タイヤでスタートし、ファースト・スティントで12番手まで順位を上げた。しかし、最初のピット・ストップで抜いていたライヴァル2人に抜かれてしまい、2回目のピット・ストップでも順位を落としたため、上位でのフィニッシュを果たすことは叶わなかった。ピット・タイミングを違えた相手も混走する状況下、琢磨はブラックでもレッドでもオーヴァーテイクを重ねていた。

コース上で奮戦を続けたこの日の佐藤琢磨。レース終盤はカストロネヴェス、パワー、ヴィーケイらと激しいバトルを繰り広げた Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

 「スタートで2台パスして、その後にも何台かを抜いて順位を上げて行きました。しかし、最初のピットストップで順位を落としたことがその後の展開に大きく響きましたね。ピット前に抜いた相手にまた前を出られてしまって、その後はピットストップを終えるとまた同じポジションに戻ってしまっている……ということの繰り返しになっていました。リスタートで強さを見せ、サイドバイサイドのバトルを戦って何台かをパスすることもできていたという点では楽しいレースになっていました」と琢磨は語った。来週の火曜日に琢磨は次戦の行われるミッド・オハイオでプライヴェート・テストを行う予定になっているので、ミッド・オハイオでのパフォーマンスに期待したい。
以上


0 件のコメント:

コメントを投稿