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Photo:Penske Entertainment |
インディーNXTでシーゲル、フォスターらと戦ってきた25歳
クリスチャン・ラスムッセン。コペンハーゲン(デンマーク)出身。25歳。独身。
インディーカー・デビューは2024年開幕戦のセイント・ピーターズバーグ。その年はチーム・オーナーのエド・カーペンターとカー・ナンバー20のマシンをシェアし、ラスムッセンはストリート&ロード・コースとインディー500に出場する計画だったが、シーズン中にチームが(エド・カーペンターが)方針変更し、アイオワx2とゲイトウェイはカーペンターが走ったものの、終盤戦のミルウォーキーx2にはラスムッセンを起用した。
ルーキー・イヤーのラスムッセンは、予選ベストはミッド・オハイオでの9位で、レースでの最上位フィニッシュもミッド・オハイオでの9位だった。トップ10フィニッシュはその1回だけだった。
ラスムッセンはインディーNXTの2023年チャンピオンだ。ハンター・マクエルレア(2勝)、ノーラン・シーゲル(2勝)、ルイ・フォスター(2勝)らと競い合い、最多の5勝をマークし、堂々たるタイトル獲得を成し遂げた。2022年のインディー・ライツへのエントリーはアンドレッティ・グローバルからで、2勝をマーク。タイトル獲得イヤーとなる2023年は、HMDモータースポーツにスイッチしての出場だった。
ヴィーケイに代わってECRのレギュラー・ドライヴァーに
2024年にエド・カーペンター・レーシング/シヴォレー入りしたラスムッセンは、リナス・ヴィーケイとのコンビを組んだ。しかし、2025年に向けてECRがアレクサンダー・ロッシを獲得。ラスムッセンの方がシート喪失の危機と見えたが、ヴィーケイが2021年にインディアナポリスのロードコースでECRに久しぶりの勝利をもたらしたドライヴァーだったにも関わらず、チームはラスムッセンの方を選んだ。ヴィーケイは新人いECRを追い出される形となった。
USF2000は参戦2シーズン目、インディ‐・プロ2000は参戦初年度
インディー・ライツ(NXT)は参戦2年目でタイトル!
2017年に母国でF4に出場、ランキング3位となったラスムッセンは、翌2018年にはアメリカのF4に参戦を開始した=当時16歳。そして、新大陸でもランキング3位となった。翌2019年にはUSF2000へとステップアップ。2年目の2020年にはチャンピオに輝いた。さらに、その翌年=2021年にはインディー・プロ2000シリーズに進んですぐさまチャンピオンになり、2022年にインディー・ライツ(2023年からインディーNXTに改名)に参戦開始。初年度はランキング6位で終え、2年目にチャンピオン=インディーNXTとなってからの初の王者となって、インディーカーへのステップ・アップを実現した。ステップ・アップ・カテゴリーで着実に優勝を重ね、タイトルも手にして来たドライヴァーは、トップ・カテゴリーでもキッチリ成績を残すだけ力を備えて来ているということだ。
ラスムッセンは、スポーツ・カーにも参戦して来ている。フル・シーズン・エントリーではないが、2022年からアメリカのIMSAウェザーテック・チャンピオンシップの長距離イヴェントで超激戦区のLMP2クラスに出場を続けて来ている。2024年、彼のチームはデイトナ24時間レースで優勝を飾った。
ドライヴィングはワイルド、かつアグレッシヴだが……
インディーカー2年目(フル・シーズン参戦は初めて)の今年、ラスムッセンはワイルド、アグレッシヴなドライヴィングで世の注目を集め始めた。彼自身がインディーカーに慣れて来ただけでなく、ロッシを迎え、エンジニアリングの強化も進めて来ているECRのマシンが戦闘力を高めて来たということなのだろう。クラッシュをまるで恐れない豪快、大胆な走りには”危険”というレッテルを貼る者もあった。”脅かされても譲らない”という面を見せることが必要な時もあるが、ポートランドの高速シケインでのコナー・デイリーとの接触は、抜きつ抜かれつで熱くなっての”報復行為”のようにも映った。しかも、デイリーのアクシデントは凄まじいものになった。接触は競り合う中で仕方なく発生するものであるべきで、最初から”軽い接触など厭わない”でバトルに臨むべきではない。ラスムッセンは間違った考え方を持ってレースに出場しているのではなく、接触ギリギリまで攻めまくるタイプということでは? そんな彼は2回目の挑戦だったインディー500で6位でのゴールを達成し、第8戦ゲイトウェイではキャリア初表彰台となる3位フィニッシュを25番グリッドからの出走で果たした。さらに、第11アイオワ・レース1では6位、第12戦のレース2でも8位と連続トップ10入りを果たし、第16戦ミルウォーキーで念願の初優勝を飾った。
評価を惜しまないカーペンター「現在最高のオーヴァル・レーサーは彼」」
優勝後にチーム・オーナーのエド・カーペンターは、「現在最高のオーヴァル・レーサーが彼」とラスムッセンを大絶賛。レース終盤にトップを行くアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)を追ったシーンでは、毎ラップのようにリヤが急激に滑ってもステアリングとスロットルの操作でキャッチし続け、見る間に間隔を縮めて行った。自らのカー・コントロール能力に絶大なる自信を持ち、”クラッシュすることなんてあり得ない”と考えているとしか思えない攻めの走りを続け、大逆転優勝を掴み取った。
最終戦ナッシュヴィルもオーヴァル・レース。ラスムッセンは、連勝で2025年シーズンを締め括ることを狙って来るだろう。それが叶わずとも、ファイティング・スピリット溢れる走りで、強敵たちを相手に過激バトルを挑むレースを戦ってくれるに間違いない。
以上
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