2011年9月18日日曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 ウォームアップ:武藤英紀、ウォームアップ14番手に「ブラックでスタートして赤、赤、赤でつなぐ作戦で行こうと考えています」

武藤英紀は決勝4スティント作戦を想定してウォームアップを走行。
Photo:Naoki Shigenobu
チームメイトともども着実にセットアップ向上を果たす

 予選は22番手だった武藤英紀(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)だが、決勝日朝のウォームアップでは14番手につけた。チームメイトのアレックス・タグリアーニも15番手とほぼ同じ位置にいた。久しぶりのインディーカー・レースとなる武藤だが、決勝に向けての準備は着々と進めることができている様子だった。

――この30分間で何をやったんですか? いいウォームアップにできましたか?

武藤英紀:満タンで走ることが今回やることの最初でした。それと、レッドタイヤを試したかったんですけど、決勝に取っておくことになりました。というのは、今日のレースがおそらく3ストップの、つまり4スティントになるから、ブラックでスタートして赤、赤、赤で繋ぐ作戦で行こうと考えてます。

――ブラック、レッドの耐久性はどうなってるんでしょう?

武藤:英紀:耐久性というか、黒は表面でどんどん滑ってっちゃって内圧が上がっちゃうんですよ。赤の方は、スライドが少ない分、内圧のコントロールはし易いですね。ブラックだと結構滑るんでね、滑らない時は内圧が上がらなくて、滑り出すと一気に上がっちゃう。

――ブラックでの周回数を減らす。そういう作戦が良いと考えられるんですね?

武藤英紀:そう思いますね。僕らはそう考えてます。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント85 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 ウォームアップ 「予定していたセッティングの確認や調整などができませんでした」

Photo:Naoki Shogenobu
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL

栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day3 9月18日
ウォームアップ 1分40秒7471 20位 9周走行

佐藤琢磨、ウォームアップも不完全燃焼の20位

 快晴の空の下、昨日までより蒸し暑いコンディションでファイナルプラクティス=ウォームアップセッションは行われた。燃料を多く積んだ決勝用セッティングの最終確認、ブラックとレッドの両タイヤの評価、決勝用のタイヤのスクラビングなどが行なわれる重要なセッションだが、これは30分間と短い。しかも、今回は2台のマシンのコースオフにより、実際に与えられた走行時間は12分程度となっていた。
 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)はいつも通りにブラックタイヤの新品を履いてセッション開始。1ラップでスクラビングを終え、ユーズドのブラックへとタイヤを交換。マシンのチェックを始めた。しかし、4周を走ってピットインすると、ここで長い時間ストップ。この間にイエローが出て、それが解除されてコースに復帰すると、すぐさま2回目のコーション。最後は残り1分プラスでの走行再開となったが、ここからは走れたのは2連続のラップだけ。結局、琢磨は9周が計測されたが、ベストは最終ラップの1分40秒7471で、26台数中の20番手にランクされるものだった。このラップがなければ彼は今週2回目のセッション最下位となるところだった。チームメイトのEJ・ビソは18番手、トニー・カナーンは21番手と、3人揃って決勝直前のプラクティスでのパフォーマンスは芳しくなかった。


Jack Amano(以下――):あまり走れませんでしたね?

佐藤琢磨:そうなんですよ。

――ピットに長く留まっていましたが、何かマシンにトラブルが出たんですか?

佐藤琢磨:トラブルっていえばトラブルでした。自分たちが考えていたプログラムで、替えるべきものがあったんですけど、それが準備されていなかったんです。

――決勝に向け、タイヤの評価、セッティングの確認や調整などができなかったということですね?

佐藤琢磨:全然できなかった。タイムを取れたラップはハッキリ言って最後の1ラップだけだったから……。

――最後はレッドタイヤを装着しての走行でした。その1周で得た感触は?

佐藤琢磨:それはそこそこに良かった。でも20番手ですよ。

――決勝を前に苦しい状況になってしまっていましたが、頑張ってください。

佐藤琢磨:はい。頑張ります。

ウォームアップの最後、レットタイヤで走行する佐藤琢磨。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR インサイド情報&レポート 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル:コンクエスト・レーシングオーナー、エリック・バシェラールインタビュー「オリベイラのパフォーマンスはファンタスティック!」

Photo:INDYCAR
オリベイラの起用で今シーズン初のQ2進出

 エリック・バシェラールは、全日本F3選手権への出場経験も持つベルギー人。アメリカでは91年にインディライツでチャンピオンになっている。初めて走ったオーバル=フェニックスの1マイルでいきなり優勝しちゃったのは衝撃的だった。その後CARTシリーズにステップアップし、97年からはチーム・オーナーとしてCART、その後インディーカーにコンクェスト・レーシングを出場させている。

Jack Amano(以下――):日本でJP・デ・オリベイラを走らせることになったのは?

バシェラール:私たちは開幕戦からルーキーのセバスチャン・サーベドラを走らせて来ましたが、インディ ジャパンからのシーズン終盤の3レースでは彼を使わないことになっていたんです。我々のチームはドライバーを探していて、ロジャー安川がJP・デ・オリベイラとの間を取り持ってくれました。交渉はスムーズに進み、今回の参戦に漕ぎ着けることができました。セレモニーがサポートをしてくれることが決まり、JPにインディーカーデビューのチャンスを用意することができました。JPは毎年インディジャパンを見に来てたんです。このレースへの出場に強い興味を持っていました。

――サーベドラの予算はボルティモアまでだったんですね?

バシェラール:そうです。

――ケンタッキーとラスベガスでは誰を走らせるのか決まっていますか?

バシェラール:ケンタッキーではインディライツで走っている若手を起用する計画です。ラスベガスは未だ決まっていません。

予選でオリベイラはフォーミュラ・ニッポン王者の実力を見せつける。
Photo:INDYCAR(Brian Simpson)
――今週起用しているJPのパフォーマンスはすごく良いですね?

バシェラール:私たちも大変満足しています。確かに彼はツインリンックもてぎのコースをよく知っています。しかし、インディーカーというマシンのことは知りません。タイヤについても知りません。今週インディーカーに初めて乗ったということを考えると、3回のプラクティス、そして予選で彼が見せたパフォーマンスはファンタスティックと表現して良いでしょう。インディーカー・シリーズの競争は本当に激しいというのに、事前のテストも一切行なえず、金曜に初めてインディーカーを走らせたのですから。


――ドライバー経験も豊富に持つ身として、レッドタイヤをどう捉えていますか? 
ユニークなアイディアであることは間違いありませんが、レースをおもしろくする要素となっていると考えていますか? テストができないし、ちょっと未知の部分が多く過ぎているとは思いませんか? ルーキーには大きな不利となりますよね?

バシェラール:私はレッドタイヤは良いと考えています。使い方は作戦にも関わってくるし、おもしろいと思います。もちろん、ルーキーにとっては難しいものですが、我々チームはブラック、レッドの両タイヤについての情報やデータを持っています。それらはサーキット毎に異なりますし、ブラックとレッドのコンビネーションもコースによって変って来ますが、どのレースでも走行前にある程度がわかっている、あるいは、ある程度の予測がついています。これらの状況を考えても、今週のJPの仕事ぶりが素晴らしいと言えるんです。初めてレッドタイヤを使った予選で第2セグメントに進んだんですから。


――金曜の時点で、JPはレッドタイヤについて、予選前のプラクティスで性能を試したいと言っていましたが、実際にはそうしなかったようでしたね?

 バシェラール:私たちは予選で第2セグメントに進める可能性が高いと考え、レッドタイヤは予選用に残すことに決めました。もし予選前のプラクティスで使っていたら、そのセットは予選で最高のパフォーマンスを発揮できなくなりますからね。

――レースも楽しみですね。

バシェラール:はい。JPは経験も豊富ですし、このコースをよく知っていますから、レースでも良い走りが期待できると思います。

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル:ポール・シッターのスコット・ディクソンに聞く

Photo:Naoki Shigenobu

「正統派のサーキットを走り、戦うということは最高の喜びだよ」
――昨日のプラクティス1回目は15番手タイム。そこから今日のポールポジションへと上り詰めたプログラムとは?

スコット・ディクソン:昨日のプラクティスでは路面がまだ全然悪かった。そういう状況では走り出しの数周が微妙かつ重要で、そこで僕はうまいことラップをまとめ上げられなかった。だから僕のポジションは悪かったんだ。昨日のプラクティスでは、多分大多数のチームが2セット目のタイヤを投入していたと思う。でも、僕らは1セットだけにしたんだ。
――昨日の順位、タイムは全然気にしていなかったと。
スコット・ディクソン:そのとおり。僕らは1セットだけの使用だった。全員のラップを1セット目だけで比較したら、僕はトップ3に入れていたはずだよ、ベストのラップを完成させられなかったというのにね。そして、みんなが2セット目を使い始めてから、彼らのラップタイムが僕らのものより良くなった。だから、僕らとしては他チームのことは一切気にせずに、段階的にマシンを良くして行くよう走行を重ねていたんだ。今回のコースは誰にとっても初めてのコース。自分たちとしては、最初っからジックリと時間をかけてコースを学んで行こうって考えを持っていたんだ。それに、ダリオ(・フランキッティ)が走り始めからとても速くて、そこからマシンを進歩させることもできていた。僕らは少しずつマシンのセッティングに変更を施して行き、着々とマシンを良くして行くことができていたんだ。
Photo:Naoki Shigenobu
――ツインリンクもてぎのコースは、実際に走ってみてどうですか? 映像やコース図などのデータだけから想像、想定していたものとイメージはかなり近かった?スコット・ディクソン:僕は2、3年前に乗用車でだけれど、ここを走ったことがあったんだ。でも、やっぱりシミュレーターとかを使っても、実際に自分で走ってみないと目印だとか、色々なことがわからないものだね。それを改めて感じたよ。コースのグリップレベルがどのくらいあるのか、タイヤのパフォーマンスはどの程度なのか、といった部分はわからない。自分たちの想定と違っていたのは、例えばターン4だね。あそこは簡単にアクセル全開で回れると見てたんだけど、実際に来て見たらブラックのニュータイヤでも、レッドであってもフラットアウトでは行けなかった。そういう違いはたくさんあった。でも、正しく作られたサーキットを走るというのは、本当に楽しいことだよ。アップ&ダウンがあって、低速から高速までバラエティ豊富なコーナーがあって……という正統派のロードコースを走り、そこでレースを戦うっていうのは最高の喜びだね。